「自分だけの秘密基地」と旅するバンライフ。実践者に聞く、自由な車中泊のすすめ

「自分だけの秘密基地」と旅するバンライフ。実践者に聞く、自由な車中泊のすすめ

「自分だけの秘密基地」と旅するバンライフ。実践者に聞く、自由な車中泊のすすめ

ライフスタイルが多様化する中、「家に住む」という概念もアップデートされつつあります。今回は旅をするように暮らす「バンライフ」という生活スタイルについて、実践者にインタビュー。車中での暮らしぶりやメリット、お金事情までたっぷり伺いました。

そもそも「バンライフ」とは?

そもそも「バンライフ」とは?

暮らしや働き方の多様化が進む中、ここ数年密かなブームとなっているのが「バンライフ」です。英語を掛け合わせた造語である「バン(VAN)+ライフ(LIFE)」は、文字通り車を使ったライフスタイルのこと。2011年にラルフローレンの元デザイナー、フォスター・ハンティントン氏が車旅の様子を配信したことを機に、世界中に広まっていきました。

石川県の奥能登で暮らす中川生馬(なかがわ・いくま)さんが、バンライフに出合ったのもちょうどこの頃。バックパッカーとして日本中を歩く中で、「自分だけの秘密基地」とともに旅するバンライファーの暮らしぶりが琴線に触れたといいます。

中川さんは実践者へのヒアリングやキャンピングカーショーでのリサーチはもちろん、ときにはキャンピングカーメーカーの工場にまで足を運んで理想の一台を探し求めました。そして車内高や広さ、何より運転のしやすさを決め手に相棒となるキャンピングカーを選んだそうです。

コロナ禍で売上を伸ばすキャンピングカー業界。初心者におすすめのモデルは?

コロナ禍で売上を伸ばすキャンピングカー業界。初心者におすすめのモデルは?

一般社団法人日本RV協会が作成する「キャンピングカー白書」によると、2021年には過去最高となる635.4億円※を売りあげたキャンピングカー業界。バンライフ人気が数字として顕著に表れたこの結果について、中川さんはコロナ禍におけるライフスタイルの変化も大きく関係していると分析します。

※特種用途自動車(8ナンバー)とそれ以外の新車・中古車の売上合計額

ここ数年、三密を避けながら手軽にレジャーを楽しめるツールとして、性別や年代を問わず幅広い層から注目を集めているキャンピングカー。バンライフと聞くと、アメリカのトレーラーハウスのような車をイメージされる方も多いですが、日本では「近場かつ短期間のミニマル旅」としてのバンライフ文化も根付いているといいます。

この他、防災面で役立つ実用性の高さも人気を後押しした理由の一つ。サブバッテリーが搭載されているため、エンジンをつけなくてもある程度は生活用の電力をまかなうことができ、断熱処理がなされた車体もあります。何よりしっかり休めるプライベート空間を確保でき、避難生活にも対応できます。

長期の車中泊に適したバスタイプやトレーラータイプのキャンピングカーも展開されていますが、初心者バンライファーには、よりコンパクトな「軽キャンピングカー」や「バンコン」がおすすめ。手頃な価格帯かつ公道をスムーズに走行できるので、最初の一台に適しているのだそうです。

軽キャンピングカー

軽ワゴンや軽トラックをベースにしたキャンピングカー。車両価格が約200~300万円と比較的安く、車体も小さいので取り回しも自在です。一方で、積載量が少なく、大人数の車中泊には向かないというデメリットがあります。

バンコン

箱型ボディのバンをベースにしたキャンピングカーです。十分な広さと積載量、取り回しやすさを叶える万能モデルで、DIYやオプション設定によって自分仕様にカスタマイズできるのも大きな魅力といえます。

小回りが利くことや費用感を考えると軽キャンピングカーが手軽ですが、就寝時の快適さや積載量を踏まえるとバンコンが実用的でしょう。一人旅かつお試し目的であれば軽キャンピングカー、家族や友人と本格的にバンライフを始めたい場合はバンコン、といったように用途や乗車人数に応じて選択すると良いでしょう。

バンライフの初期費用、維持費はいくらかかる?

バンライフの初期費用、維持費はいくらかかる?

バンライフを送るためには、一般的な乗用車を所有する場合と同様に色々な場面でお金がかかります。車両購入費や各種税金、維持費など、バンライフにかかる費用の内訳を確認してみましょう。

車両購入費(ローン費用)

バンライフを始めるにあたって新たに車両を購入する場合、軽キャンピングカーやバンコンタイプでは250~400万円前後の費用がかかります。この他、DIYやオプション装備によって追加費用が発生します。

車検費用

キャンピングカーは、2~3年の頻度での車検が義務付けられています。費用に関しては、特別なメンテナンスが必要になるカスタム車を除いて、一般的な家庭用乗用車と大きな違いはありません。

自賠責保険、任意保険

人身事故に備える「自賠責保険」と、対人事故や車の破損に備える「任意保険」の保険料がそれぞれ発生します。加入が義務付けられている自賠責保険は車種別に一律ですが、任意保険料は設定する補償や適用範囲によって金額が異なります。

各種税金

一般的な乗用車と同様、キャンピングカーにおいても「自動車重量税」と「自動車税(軽自動車なら軽自動車税)」が発生します。軽自動車以外の乗用車は、車両重量や排気量によって金額が異なり、特種用途自動車に該当する「8ナンバー」を取得しているキャンピングカーは、乗用車よりも税金が安くなります。

メンテナンス費用

走行距離や使用頻度などに応じて、メンテナンスにかかる費用は異なります。例えば、オイル交換やエレメントなどの消耗品交換、タイヤの履き替え、搭載している設備や家電の修繕などで、年間約15~20万円を見込んでおくと安心です。

ガソリン代

走行距離に応じて、ガソリン代や電気代が発生します。車両サイズや排気量などによって異なりますが、バンライフを送りながら全国を駆け回る場合には、月に数万円かかる場合もあります。

駐車場代

キャンピングカーの駐車場所を探すときには、「車庫証明」の許可がおりるか否かが重要なポイントになります。万が一、自宅内や所有する駐車スペースに停められない場合には、より広いスペースを別途契約しなければなりません。

中川さんによると、バンコンや軽キャンピングカーでバンライフを始める場合、初期費用+1〜2年分の維持費で500万円を想定しておくと安心できるとのこと。のちのち慌てないためにも、購入費(ローンの返済)や車検費用はもちろん、保険料や税金も計算したうえで十分にシミュレーションしておきましょう。

どこにでも自分の部屋を持ち運べる!バンライフの魅力とは

どこにでも自分の部屋を持ち運べる!バンライフの魅力とは

バンライフと聞くと、「車中泊をしながら日本中を移動する長期旅」をイメージしますが、近年のブームの背景にあるのは「週末バンライフ」「連休バンライフ」といった、より挑戦しやすいスタイルです。実際に、中川さんも「自宅×バン」の二拠点生活を満喫しています。

中川さんは、バンライフはリビングや仕事部屋を外へ持ち出しているような感覚だといいます。「移動手段として使えるのはもちろん、車を停めればいつでも自分が最も落ち着ける空間を確保できます。愛車に乗って知人宅に伺うことも多いんですが、快適すぎるのであえて車内で寝ることもしょっちゅう(笑)」とその楽しみ方を語ってくださいました。

また、仕事道具をすべて持ち込んで車を「ビジネスの拠点」にすることで、出張先でも高いパフォーマンスを発揮できるといいます。機材を運び出す手間を省けるだけでなく、どこでも快適に仕事できるフレキシブルさも手に入るのです。

どこにでも自分の部屋を持ち運べる!バンライフの魅力とは

バンライフのメリットにはこのようなことがあげられます。
・旅行中の宿泊費や移動費を節約できる
・もしもの災害時にも拠点、充電スポットとして活用できる
・時間や場所に制限されず、自由に旅ができる
・ビジネスの拠点として、いつどこにいても仕事に没頭できる

夏の暑さやマナーなど、バンライフを送るうえでの注意点

夏の暑さやマナーなど、バンライフを送るうえでの注意点

ビジネス拠点や災害時の備えなど、様々なメリットがあるバンライフですが、車で暮らすという特性上、ときにはトラブルが生じることもあります。快適なバンライフを送るためにも、次の注意点もチェックしておきましょう。

真夏のバンライフは暑さに注意

基本的に、軽キャンピングカーやバンコンには車用のエアコンしか搭載されていないため、車のエンジンを切るとエアコンも一緒に切れてしまいます。気温の高い日に、温度が急上昇してしまう車内にそのままいるのは非常に危険です。バンライフを始めるのであれば、まずは秋から春にかけてトライしてみましょう。

中川さんも、夏場の暑さに悩まされたバンライファーの一人。暑さを解決するために、通気性を高めてくれる換気扇や網戸などを導入しました。とくにこだわったのはリヤゲート後方部で、フルオープン+網戸仕様に改造し、夏場でも風通しをよくすることで乗り切ったそうです。

バックモニターで、命と愛車を守る

比較的コンパクトな軽キャンピングカーやバンコンといえど、幅・高さ・長さは一般的な乗用車よりも大きめに設計されています。目視やミラーだけでは確認できない角度もあるので、命と愛車を守るためにも必ずバックモニターを付けるようにしましょう。

休憩、宿泊は現地のマナーを厳守する

道の駅やサービスエリアなど、公共の場における休憩・車中泊マナーを守るのも、バンライファーの務めです。新しいライフスタイルとして注目されているからこそ、ネガティブイメージにつながらないよう一人ひとりが意識しなければなりません。

まずは気軽にトライ!「週末バンライフ」のすすめ

まずは気軽にトライ!「週末バンライフ」のすすめ

より気軽なバンライフが浸透する中、実際に中川さんの周囲にも「週末バンライフ」「連休バンライフ」を楽しんでいる人が多いのだそう。仕事や家庭の都合上、頻繁に遠方まで出かけられない場合でも、生活拠点から近いエリアでミニマルに旅ができるのです。

「バンライフに向いているのは、『新しい何か』に出合いたい好奇心旺盛な方ですね。車だからこそ普段は行けないようなニッチなスポットにも行けるし、そんな場所に自分のプライベート空間を持ち込むこともできる。この非日常感こそ、バンライフの醍醐味です」と、愛車を眺めながら微笑む中川さん。コロナ禍でライフスタイルの選択肢が増えている今こそ、バンライフを始める絶好の機会かもしれません。

まとめ

まとめ

密を避けながら旅ができる「バンライフ」は、忘れかけていた旅の楽しさを思い出させてくれるはず。動くオフィスとしても活用できるので、出張や営業で遠くへ行く機会の多いビジネスパーソンにも適しています。限られた余暇を満喫し、人生を豊かにするためにも、ミニマルなバンライフにトライしてみませんか。

この人に聞きました
中川生馬さん
中川生馬さん
キャンピングカー、車中泊スポット予約サービス「Carstay」の広報責任者(PRO)の他、スタートアップや中小企業の広報を担当。都内大手企業の広報職を経て、2010年にバックパッカー&バンライフの旅をスタート。2013年に、現在の居住地である石川県穴水町岩車の田舎へと移住した。現在はシェアハウスやサテライトオフィスなど、多目的かつ多機能な「田舎バックパッカーハウス(穴水町川尻)」や、車中泊スポット「バンライフ・ステーション」などを運営している。
ライタープロフィール
山本 杏奈
山本 杏奈
金融機関勤務を経て、フリーライター/編集者に転身。現在は企業パンフレットや商業誌の執筆・編集、採用ページのブランディング、ウェブ媒体のディレクションなど、幅広く担当している。

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