プライベート空間でキャンプを楽しめる!「山地購入」と知っておきたいその注意点

プライベート空間でキャンプを楽しめる!「山地購入」と知っておきたいその注意点

プライベート空間でキャンプを楽しめる!「山地購入」と知っておきたいその注意点

コロナ禍をきっかけにキャンプブームが到来しています。誰にも邪魔されずプライベートな空間でキャンプを楽しみたい場合、山地を購入するという選択肢も。今回は実際に山を購入する魅力や注意点について、森林ジャーナリストの田中淳夫さんにお聞きしました。

個人で山を買うブームが到来!?

個人で山を買うブームが到来!?

コロナ禍をきっかけに、人との距離を保ちやすく、非日常を味わえるキャンプの人気が高まっています。3、4年前からキャンプブームの兆しはありましたが、2年ほど前に芸能人が山を買い、たった一人でキャンプを楽しむ「ソロキャンプ」の動画が爆発的にヒットしたことから、「ソロキャンプ」が2020年に流行語大賞を受賞しました。それが火付け役となり、プライベートなキャンプ空間を求めて個人で山を購入する方が急速に増え始めました。

田中さんによると、日本では木を育てて木材を販売する林業を目的とした用途が圧倒的に多いことから、土地そのものの価値よりも土地に生えている木や育てることができる木の種類で山の価値が決まるといいます。そのため土地そのものの値段はごく僅かで、個人でも購入しやすい価格で販売されることが多いようです。

相場は1ヘクタール(サッカーコート1面半程度)で数十万円から高くて200万円ほどで、都心の土地に比べればかなりお得に感じられるかもしれません。しかし、安いからといって安易に購入すると思わぬトラブルに遭う可能性もあると田中さんは指摘します。実際に山地を購入するときに気をつけたいポイントにはどんなことがあるのでしょうか。

山地を購入するメリット・デメリット

山地を購入するメリット・デメリット

長年、森林や林業に関する取材を続け、自身でも親戚から譲り受けた山を開墾した経験を持つ田中さんは、山を購入する前提として、メリット・デメリットだけではなく利用目的や状況も含めて考えることが重要だといいます。購入前にはそれらを十分に理解・検討することが大切です。

山地を購入するメリット

山の大きな魅力は、同じ場所にいながら常に新鮮さを感じられることだと田中さんはいいます。山は、数メートル歩くだけで景色が変わり、天候によって光の差し込みや風の流れ、気温の変化、草木の匂いなど、常に変化に富んで五感を刺激します。さらに昆虫や動物との出会いなどもあります。

山地を購入すれば、山の中に自分だけの空間を作ることができます。山でどのように遊ぶかを考え、その空間を設計し少しずつ形にしていくことは、自分の山を持つからこそできるメリットの一つ。道を作ったり、デッキを築いたり、焚火の場所を考えたり、遊び場を整えていくことによって充実した時間を過ごせるのだそうです。

特に田中さんがおすすめするのが、焚き火です。焚き火は炎を見つめるだけでリラックスして過ごすことができ、その火を使って様々な調理を楽しむこともできます。周囲に燃え移らないように細心の注意を払いながら焚き火ができるように整える空間づくりは、手間がかかることもありますが、その分、完成したときの喜びもひとしおです。

山地を購入するデメリット

山を開墾することは楽しいという一方で体力的にきつく、ときには数年に及ぶ作業が必要になることもあります。なかなか完成にいたらず疲れてくると、自分の山を魅力的に感じなくなっていくことも。また、使用する敷地は、草刈りや樹木の手入れを定期的に行う必要があります。自分好みの空間を作るには、自身の体力や確保できる作業時間に合わせた設計が必要です。

その他にも、自分の山とはいえ、近隣住民とのトラブルにならない配慮をすることも必要です。

過去には、焚き火を山火事と勘違いされて近隣住民に通報されたり、川の水を汚してしまい下流の農家の水を利用する権利(水利権)を侵害してトラブルになったりする事例もあったそうです。

また、購入した土地が国定公園などで自由に開墾できないことが後から発覚する場合もあるため、条件なども事前に確認しておきましょう。

たまにしか行くことができない中で予想外の問題が起きてしまうと、メリットよりもデメリットのほうが大きく感じてしまって次第に足が遠のき、結果的に手放してしまうケースもあります。

山を購入する際は、損得や純粋に自然をどれだけ好きかということだけではなく、リスクも理解したうえで慎重に判断したいところです。

では、実際に山を購入するにはどうしたら良いのでしょうか。

山を購入するには?

山を購入するには?

山地の購入方法

山を購入する場合、事前の情報収集が重要です。最近は実際に山を購入された方や山林専門の仲介業者がSNSやウェブサイト上で情報を発信しており、山の楽しみ方から購入前の注意点、販売中の山の情報など、以前よりも容易に情報収集ができるようになりました。

また、実際の購入にあたっては知識が豊富な山林専門の仲介業者に相談すれば、山の選び方や手続き方法、購入後の管理の仕方なども教えてもらえます。購入前には現地に赴いて、その山地や周囲環境を見ておくと良いでしょう。

山地購入の際に気を付けたいポイント

山を購入する際は、土地の所有者などを調査し、境界の位置と面積を測量する「地籍調査」が済んだところを購入するのがおすすめです。山は所有者が不明な土地が多く、境界線をはっきりさせることで土地の売買や相続などの際のトラブルを防ぐことができるからです。

地籍調査は市町村等の地方公共団体が中心となって実施しており、調査資料である「公図」は各都道府県の法務局、「地籍図」は各市町村役場で誰でも閲覧が可能です。

また、将来の相続を視野に入れることも重要だそうです。山地は不動産のため、相続にあたっては名義変更の手続きや書類提出が必要になります。もちろん相続する前に権利を放棄することも可能です。相続人が将来的に山を活用するのか、もしくは売却・賃貸などの手段を取れるのかなど、先を見越して検討しておきたいところです。

山地購入の心得

そして何より、山地購入に際しては山のオーナーになることへの覚悟が大切だと田中さんはいいます。

「山を購入するには、その自然を育み、しっかりと管理して保有する責任、覚悟を持つことが大切です。そのためにも、可能であれば地元の方と積極的に交流されることをおすすめします。

地元の方は長年その土地で暮らし、森の扱いもよくご存じです。地元の商店で買い物することで地元の経済に貢献することができますし、田畑で作業されている方に声をかけ雑談を楽しむことで、お互いに信頼関係が生まれ、良い関係を築くことができるかもしれません」

人里を離れ、静かな場所を求めて山を購入する場合でも、こうした地元の人とのコミュニケーションが長く山を楽しむコツの一つのようです。

最近では、森林レンタルを行う会社もあります。条件は各社で様々なため、購入より割高になる可能性もありますが、購入する前に自分の山を持つということを試してみるのも良いかもしれません。

まとめ

山を購入することには、メリットがある一方でデメリットもあります。貴重な余暇時間を過ごすことを考えると、自分が望む山での過ごし方やリスクも考慮したうえで慎重に判断したいところです。

自然に寄り添う気持ちを持って向き合うことができれば、山にはたくさんの癒しや楽しめる要素があります。

山を購入し開墾したら、気の合う仲間や家族を誘い、ときには独りで自然を満喫しながらキャンプや森の生活を楽しんでみてください。

ソロキャンプの楽しみ方については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
週末ソロキャンプ入門これだけそろえればOK!【実践編】
週末ソロキャンプ入門これだけそろえればOK!【レシピ編】
週末ソロキャンプ入門これだけそろえればOK!【機材編】

参考:
・『森を歩く―森林セラピーへのいざない』(角川SSC新書カラー版)田中 淳夫著

この人に聞きました
田中淳夫さん
田中淳夫さん
森林ジャーナリスト。自然と人の交わるところに真の社会が見えてくるという考えのもと、森林、林業、そして山村をメインフィールドに自然界と科学研究の現場を扱う。著書に、独自の視点から森の常識に異論を突きつけた『虚構の森』(新泉社)のほか、『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)、『絶望の林業』(新泉社)、『獣害列島』(イースト新書)などがある。
ライタープロフィール
佐々木 倫子
佐々木 倫子
ライター、金融アナリスト
日系銀行、シティバンク、シティトラスト勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報を経て、金融に強みを持つライターとして活躍。これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。過去の歴史や経緯を含めた執筆が特色で、食等幅広い分野の執筆も手掛ける一方で、マスコミにて政治、経済を中心としたコラムに関わる仕事やキー局のラジオ番組制作にも従事。日本ウズベキスタン協会理事として中央アジア・ウズベキスタンと日本の友好にも尽力。

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