たばこが家計へ及ぼす影響とは?禁煙の経済的メリットを解説!

たばこが家計へ及ぼす影響とは?禁煙の経済的メリットを解説!

たばこが家計へ及ぼす影響とは?禁煙の経済的メリットを解説!

たばこ税の増税により、値上がりが続くたばこの価格。なぜたばこ税の改正は頻繁に行われるのでしょうか?たばこ代の出費や今後の増税に頭を抱えている人が知っておきたい、たばこ税に関する疑問、禁煙の経済的メリットを解説します。

値上がり続きのたばこ税が家計の負担に

値上がり続きのたばこ税が家計の負担に

たばこ税の増税はこれまでたびたび行われ、直近の平成30年から令和3年の間だけでも、以下のような改正が行われています。

・加熱式たばこの課税区分新設と、3段階で1本あたり1円ずつ、合計3円(1箱60円)の増税(平成30年改正)
・軽量の葉巻たばこが、紙巻たばこと同等の税負担になるよう最低税率を設定(令和2年改正)

平成30年の3段階の改正のうち、3段階目は、令和3年10月1日より適用が始まり、代表的な紙巻たばこ1箱あたりの税負担額は約6割を占めることになりました(加熱式たばこは令和4年10月より)。

今後もこのように値上がりが続くと、喫煙を続けた場合、家計への負担が大きくなってしまうのではと不安に思う方も多いのではないでしょうか。

なぜたばこ税は頻繁に増税対象となっているのか、増税の理由とこれまでの価格の推移を見ていきましょう。

たばこ税の仕組みとたばこの価格推移

たばこ税はなぜ増税対象に?

たばこ税の増税は、社会保障費の増加などによる厳しい財政状況を補うためであり、また、たばこが増税の対象としやすい性質のためです。

少子高齢化が進み、社会保障関係費が増加する中で、たばこ税は大きな財源の一つとなっています。紙巻たばこの販売数量は平成8年度をピークに年々減少していますが、それでも税収の合計はおよそ2兆円程度を維持しています。

消費税のようなすべての人が公平に負担する税金は、増税の際に反発が起こりやすい一方、たばこは嗜好品であり、購入するのは一部の人に限られるため、社会的に受け入れられやすいと考えられます。

また、健康増進という側面もあります。がんを患った人のうち、男性の約30パーセント、女性の約5パーセントはたばこが原因だと考えられており、増税が結果的に喫煙者の減少につながり、将来的にがん患者が減少することも期待されています。

たばこの価格推移

たばこ代に含まれる税金には、国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税、消費税の4項目があり、前述の通り、たばこ代の約6割を税金が占めています。食品やガソリンなど他の品目と比べても、たばこは税負担の重い品目です。

しかし、初めから負担が大きかったわけではありません。

たばこ税は税制改正により年を追うごとに徐々に税負担が重くなり、これに伴いたばこの価格も上昇してきました。

以下のグラフは、総務省統計局の小売物価統計調査(動向編)調査結果のデータを基に算出した、たばこの価格推移を示したものです。

たばこ税はなぜ増税対象に?

出典:総務省統計局 小売物価統計調査(動向編)調査結果(外部サイト)(各年のデータを抽出して作成。1箱50本、1箱50グラムの商品項目がある年度についてはその部分を集計から除外して計算しています。)

たばこ特別税が創設された1998年は約200円だったたばこの平均価格が、2010年あたりを境目に大きく上昇し、さらに2020年には約500円にまで上昇していることが分かります。

1998年と2020年を比較すると、たばこの価格は約2.5倍になっています。物価の変動もあるでしょうが、たばこ税の増税もたばこの値上げに大きく影響を与えています。

禁煙すると年間どのくらい家計の負担が軽くなる?

ここで、禁煙の経済的メリットについて考えてみましょう。

前項で取りあげたデータで、2020年のたばこ代の平均は約500円であることが分かりました。毎日1箱吸う方が禁煙すると、年間でどのくらい家計の負担が軽くなるのか計算してみます。

500円×1箱×365日=182,500円

禁煙をすると、毎月約15,200円の節約ができます。

それでは、毎日2箱吸う方や、家庭に喫煙者が2人いる場合ではどうでしょうか。

500円×2箱×365日=365,000円
500円×1箱×2人×365日=365,000円

いずれも先ほどの2倍ですので、禁煙すると毎月約30,400円の節約になります。

たばこ税のこれから

たばこ税のこれから

直近のたばこ税の引き上げは、2018年から2021年の10月まで段階的に行われてきました。2021年9月時点では、税制改正の要望として、たばこの増税が候補にあがっていないため、当分は現在の価格が据え置きとなるでしょう。

しかし、この段階的な引き上げによって、2021年10月以降の価格が600円を超える銘柄も出てきました。前項では年間のたばこ代を500円で試算しましたが、たばこの銘柄によってはもっと負担が大きくなります。

値上げ後の価格を600円と仮定すると、500円で試算したときより、年間36,500円、月にすると約3,040円も負担が大きくなります。

ここまでの日本国内のたばこ税の増税や値上がり状況を見ると、昔と比べてたばこが買いにくくなったと感じる方もいるかもしれません。しかし、欧米諸国と比べるとまだまだ日本のたばこ代は安いほうです。海外では、たばこ代が1箱1,000円を超える国もあります。

今後、さらなる増税により日本のたばこ代が欧米諸国並みに上昇する可能性は否定できないでしょう。

禁煙でたばこ代が浮いたら投資に回すという選択肢も

禁煙でたばこ代が浮いたら投資に回すという選択肢も

前述のように、500円のたばこを毎日1箱吸う場合、禁煙すれば毎月約15,000円が節約できます。

節約できたお金は買い物や貯金などにあてることもできますが、禁煙の経済的メリットをより得るために、投資に回すという方法もあります。

投資にも、老後の資産形成を目的としたiDeCoや上限額までなら非課税で取引できるNISAなど、様々な選択肢があり、いずれも少額から始めることができます。投資にはリスクがあるものの、禁煙で浮いたお金を少額ずつ長期に投資すれば、将来的には大きな資産を形成できる可能性があります。

長期間投資を続けるメリットや効果についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
時間を味方につける「長期投資」とは?メリットとともに解説!(外部サイト)

資産が増えれば、子供の進学先の選択肢が増えたり、マイホームの購入を考えたり、老後の生活費を心配せずに済んだりと、様々な可能性も広がるでしょう。

NISAやiDeCoの仕組みやメリット、始め方については未来投資シリーズの記事で解説しています。
【未来投資シリーズ】数年後の資産が変わる?NISA
【未来投資シリーズ】将来に備えよう「iDeCo」

まとめ

たばこ税の増税によりたばこ代の家計への負担が増す中、禁煙の経済的メリットはより大きくなっていくでしょう。今後も、たばこ税は増税される可能性があります。もし禁煙に成功したら、浮いたお金を買い物や貯金だけではなく、将来のための長期投資に回すということも一つの選択肢になりそうです。


・本コンテンツは一般的な情報提供を目的とするものであり、お客さまに証券投資取引に関して何らの推奨・勧誘も目的とするものではありません。

ライタープロフィール
本村 結貴
本村 結貴
AFP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
過去に、一般企業の経理や会計事務所で勤務。現在は、Webライターとして、主に金融資産や確定申告、経理事務関連の執筆に携わる。

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