夢を夢で終わらせない。未来実現に必要な「お金」を考える(後編)

夢を夢で終わらせない。未来実現に必要な「お金」を考える(後編)

夢を夢で終わらせない。未来実現に必要な「お金」を考える(後編)

桃山学院教育大学の教職実践演習クラスで行われた全4回にわたる「みらいカルタ」実践講義。前編は、学生たちが「みらいカルタ」を使ってどのように具体的な夢を描いたのかレポートしました。後編は、夢を実現させるためにお金の知識を学ぶ姿をお届けします。

>前編はこちら

夢を叶えるためにお金は大切

第1回と第2回の講義では、自分の頭のなかだけで想像していた夢をみらいカルタに書き起こし、学生同士で異なった将来像を持っていると認識しました。

→第1回と第2回の講義のレポートはこちらから
「やりたいことが見つからない」大人にもすすめたい“みらいカルタ”とは(前編)

後編では、夢を言語化しただけで終わらせず、実現させるために必要なことを学んでいきます。

夢の実現に向けてキーワードとなるのは「お金」。3回目の講義では、学生たちが「将来やりたいこと」を未来年表として書き出し、「いつまでに何を実現するのか」具体的な内容をプレゼンすることから始まります。

自分の未来年表を書き込んだ未来想像シート
自分の未来年表を書き込んだ未来想像シート
プレゼンする学生
プレゼンする学生

プレゼン後、発表した未来を実現するためにお金はいくら必要なのかを「お金に関するワークシート」を使って考えていきました。

お金に関するワークシート

ワークシートには職業ごとの平均年収データを基に、将来受け取れるおおよその収入を記載。平均的な支出に関するデータも活用し、使う予定のお金も記入していきます。そして、貯金として10年後にお金がいくらか残るのか、計算していきました。

なかには、10年後にはお金が足りなくなるといった試算が出る学生も。「シミュレーションしてみたら思ったよりも貯まらず、夢が小さくなった」と不安を覚えた面もあったようです。
全4回講義の最終回では、みずほ銀行・阪急梅田支店の伊東さんが「未来に関わるお金」についての講義を行いました。みらいカルタで想像した未来やワークシートで把握した数字を基に、給与明細の見方といった内容から支出の内訳、貯蓄や投資についてなど、具体的なお金の内容を学んでいきました。

みずほ銀行・阪急梅田支店 伊東さん
みずほ銀行・阪急梅田支店 伊東さん

給与における手取りと額面の違いといった基本的な内容から、結婚や子育てなど代表的なライフイベントでかかる金額についても学んだ学生たち。将来、お金が必要であることは理解できたようです。ただ、どうやってそのお金を確保するのか聞くと「働いてお金を稼ぐ」「節約して支出を抑える」といった2つの方法しか思い浮かばないようでした。

そこで、将来の資金を確保する手段として伊東さんが挙げたのは「早く始めて、時間を味方に付ける」「自動積立の仕組みを活用する」「お金に働いてもらう」という3つのポイントです。

たとえば「60歳までに2,000万円貯める」といった目標に向けて毎月積み立てていく場合、40歳からよりも、25歳から始める方が月々の負担額は軽減される。さらに給料から天引きされる「自動積立」の仕組みを活用することで、無理なく継続的に積み立てていくことができます。

そしてただ貯蓄するだけではなく、投資を通じてお金に働いてもらうと、目標金額の達成にグッと近づくはずです。単純計算ですが、年40万円ずつ、利回り1パーセントで25年間運用したとすると、投資元本に対して得られた利益は130万円。仮に利回り3パーセントなら、480万円の利益を確保しながら、効率的に資産を増やしていくことができます。

こういった資産形成の方法を聞いた学生たちは「自分が働くだけではなく、お金を働かせるという考え方は初めて聞きました!」と運用についても興味を持ったようです。

夢に向けた具体的なアクションが分かってきた

ここからは全4回の講義を終えた学生たちの感想を、一人ずつ紹介していきます。

芝田さんは、大学卒業後は教員として働き、定年退職後にはコーヒーショップを営むことが夢だそうです。

大学卒業後は教員として働き、定年退職後にはコーヒーショップを営むことが夢

「今まで夢については、漠然とだけ考えていました。夢を実現するために、実際にいくらお金がかかるのかまで計算したことはありません。でも講義を受けて平均的な収入や支出をもとに人生設計を立てていくと、何をやらなきゃいけないのか、具体的な行動が見えてきました」


高下さんは、商業科で簿記を学んだ経験はありましたが、自分に関係するお金については初めて考えたといいます。

自分に関係するお金については初めて考えた

「『定年退職後にも、自分が育てた部下の活躍する姿が見たい』という夢があります。それをどのように実現するかを考えたときに、勤めた会社の筆頭株主になれたら、定年後でも会社に顔を出せるのかなって。今回の講義を受けて、夢を実現する方法をもっと詳しく調べてみたいと思います。それに夢を具体的に想像できたおかげで、将来にとてもわくわくしてきました」


芝田さんや高下さんと同じようにこれまでお金のことを学ぶ機会がなかったという田中さんは、未来をよりポジティブに捉えるようになったといいます。

未来をよりポジティブに捉えるようになった

「ワークシートで、10年後の貯蓄がゼロになってしまう試算が出たからこそ、早いうちから少しずつ積み立てていこうと思いました。40年間働いた後、自分でお店を持ちたいとも考えているので、夢に向けた資産形成も少しずつやっていきたいです」


「30代で子供2人を育てる」という将来像を描く﨑濱さんは、20代での結婚を視野に入れながら、資産形成を行っていきたいと話します。

「30代で子供2人を育てる」という将来像を描く﨑濱さん

「自分のライフプランでは、生涯を通して奥さんや子供たちを大切にしていくことに重点を置いています。だから、結婚資金や教育資金は早いうちから貯めたいです。あと予想できない支出にも備えて、投資など自分なりに学んでいきたいと思いました」

商業高校出身という嶋田さんは、お金の知識について授業で聞いたことはあったようですが、自分から自発的に学ぶことはなかったそうです。

商業高校出身という嶋田さんは、お金の知識について授業で聞いたことはあったようです

「いつ大きなお金がかかるか想像できないからこそ、将来に向けた備えは大事なんだと、自分の未来を想像して初めて腑に落ちました。あと、教育資金や結婚費用など、目的があって貯めている預金は余剰のお金ではないと説明を受けて、だからこそ、残ったお金でどうやりくりするのかが大切なんだなって思いました」

今回の講義を受けて難しいと感じる内容もあったようです。しかし、描いた夢の実現に向けてお金に向き合うことも大切だと、実感できたようでした。

想像以上の手応えを感じた

想像以上の手応えを感じた

全4回の講義を実施する前は、学生がどんな反応をするか、不安もあったという今宮教授。しかし学生たちからは期待していた以上に「受講して良かった」という反応があり、安心したそうです。

「お金の話はなかなか難しいかもしれませんが、これから社会へ出る学生たちにとって学ぶ価値があったと思います。講義を行う前は考え方を押しつけるかたちになるかもしれないという不安がありましたが、学生たちの好意的なレポートを読んでほっとしています」

今宮教授ご自身は学生時代、教員を定年退職まで続けて老後は余暇として過ごすだろうと、ほかの職業を考えることはなかったといいます。しかし学生たちは、転職という選択肢や、退職後の未来も想像しており、自分とのギャップに驚いたそうです。

今後は、就職を間近に控えた4年生だけでなく、そのほかの学年でも講義の実施を検討しているそうです。職業を選択する前にお金の知識を知っておくと、就職活動への意欲も変わるのではないか、と考えているようです。

「この講義を受けることで、学生たちのライフプランがどのように変化していくのか、見守っていきたいですね」

夢を叶えるためにお金の知識を活用する

夢を持っていても、お金のことを考えると「叶えるのは難しい」と、諦めてしまう方もいるかもしれません。しかし描いた夢の実現をサポートするお金の使い方を知っておくと、描いた未来が現実になる可能性も高まるかもしれませんね。

みらいカルタ@桃山学院教育大学動画ダイジェスト

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※新型コロナウイルス感染防止対策を実施し、授業・撮影を行いました。
※取材は2020年12月~2021年1月にかけて実施されたものです。
※本コンテンツは一般的な情報提供を目的とするものであり、お客さまに証券投資取引に関して何らの推奨・勧誘も目的とするものではありません。

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ライタープロフィール
八坂 都子
八坂 都子
育児系雑誌の編集アシスタント、美術系出版社にて編集記者を経て2020年にペロンパワークス・プロダクション入社。マネー系を中心にカルチャーなど幅広いテーマで記事執筆・コンテンツ制作を行う。

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