「やりたいことが見つからない」“みらいカルタ”を使った大学での取り組み(前編)

「やりたいことが見つからない」“みらいカルタ”を使った大学での取り組み(前編)

「やりたいことが見つからない」“みらいカルタ”を使った大学での取り組み(前編)

先行き不安な情勢から、未来をネガティブに捉えがちな昨今「明るい未来を想像し、具体化する」力が必要とされています。今回は、桃山学院教育大学で実施された「みらいカルタ」を使った講義をレポート。そこには、未来を考えるヒントが多くありました。

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「未来を具体的に考えられていない」大人に、未来を考えるきっかけを

みずほ銀行が実施した「大人になった日本人の、未来に関する意識」についてのアンケートでは「自分の未来を具体的に考えられていない」という方が67パーセントという結果に。なかには未来について考えたくないという声もありました。

そのような背景がある中、「多くの方に未来を考えるきっかけを持って欲しい」という思いから生まれたのが「みらいカルタ」です。
白紙の読み札と絵札に自分の未来を自由に描くこと、仲間と話し合いながら遊ぶこと、遊んだ内容を振り返ること。そんなカルタ遊びのプロセスを通して、未来を想像し具体化していきます。

未来想像WEBマガジンでは、桃山学院教育大学の人間教育学部人間教育学科小学校教育コースにて行われた全4回にわたる「みらいカルタ」実践講義の様子を前後編でレポート。前編では「今だからみんなで考えたい、未来想像」と題して「前向きな未来想像とその考え方を学ぶ(第1回講義)」「他者の未来想像をヒントに考えを深める(第2回講義)」の内容を紹介します。

はじめて自分の将来と向き合ったという学生も

はじめて自分の将来と向き合ったという学生も
講義を行う桃山学院教育大学の今宮信吾教授

1回目の講義では、学生たちに今どのような未来を描いているのか聞くことから講義は始まりました。すると、「充実した生活を送りたい」「出世したい」「お金を稼ぎたい」などやりたいことはあるものの、漠然としか思い浮かばない様子。なかには「コロナ禍で不安の方が大きく、押しつぶされそう」という学生も。

そこで、桃山学院教育大学の今宮教授は、「実現できそうな未来」と「遠い将来」を分けて考えるようアドバイス。

学生たちはさっそく、白紙の読み札と絵札に未来を記入していきます。

想像をビジュアルや文字に落とし込む

想像をビジュアルや文字に落とし込む

みらいカルタは50音が一つ一つ表記されているのみで、そのほかは白紙。それぞれの音が頭文字になった未来を文章と絵で表現していきます。なかには「る」や「ん」のように使いどころが難しい音も。どう言語化していくか試行錯誤していくことで、より詳細に夢を描いていくことができます。

ある学生はみらいカルタならではの発見があったといいます。

「50音を埋めていくうちに『南国に行ってみたい』、『外国の子供たちと触れあいたい』など、それぞれの未来が海外という一つの大きな夢でつながっていることに気づきました。自分のやりたいことはやっぱり海外に行くことなんだって再確認できました」


「将来について時間をたっぷり使って考えるのははじめて」という声もあがり、多くの学生が講義の始まりよりも具体的に未来を言語化していきました。

様々な視点で未来を具体化する

様々な視点で未来を具体化する

2回目の講義ではみんなが作ったカルタを混ぜて机に並べ、遊んでいきます。自分だけのカルタを見るのではなく、自分以外のカルタに描かれた内容を見ることで「このままだと実現は難しいかもしれない」「夢を叶える瞬間だけでなく、過程も一つ一つ考えるべき」という様々な視点の気づきをお互いに得ていきます。

周囲のアイデアに触発されたという学生は、「私と同じ教師を志している人でも、子供たちとたくさん遊んであげるのか、将来をしっかり考えて厳しく接するのか、人によって様々な教師像があることが分かりました。私は子供たちとどう関わっていくかまでは考えていなかったので、目標を定める良い機会になったと思います」とコメント。

私は子供たちとどう関わっていくかまでは考えていなかったので、目標を定める良い機会になったと思います

ほかにも、ほかの学生のカルタを見て、夢を達成する時期について考え直した学生もいました。
「最初は23歳に担任を持つと書いていたのですが、自分が設定した年齢が友人のカルタよりも若いことに気づきました。理由を聞くと、1年目は社会人としてまだまだ未熟だからと。確かに経験を積んでから担任を持つ方が良いプランだと思い、25歳に目標を延ばしました。」

分が設定した年齢が友人のカルタよりも若いことに気づきました

1〜2回の講義を終え、改めて学生たちに未来について聞くと、1回目の講義の始まりに聞いた未来よりもはっきりとしたビジョンが返ってきました。

海外ボランティアを経験していた学生は、「『か』で、海外で出会った人たちと再会する。お互いに成長した姿を見せ合うのが今から楽しみなので、立派な教師になれるよう頑張りたいです」

教職につく学生は、「『ん』で、サンタクロースで子供に夢をというカルタを考えました。教師としてクリスマスやこのみらいカルタのようなイベントを大事にして、生徒たちと一緒に楽しめるような教師になりたいと思いました」と未来を具体的に想像していました。

「今までなんとなくでしか考えていなかった目標を、より強く実現したいと思うようになった」という声も聞くことができました。

まとめ

未来を具体的に考えるのは、何かきっかけがないと難しいこと。そして本当に実現したい将来を思い浮かべるためには、自分の内側だけに向き合うのではなく、他人と見比べてみる機会も大切だということが、桃山学院教育大学の講義を通して見えてきました。

後編では、それぞれの夢を実現するために必要な「おかね」について学んでいきます。

みらいカルタ@桃山学院教育大学動画ダイジェスト

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※新型コロナウイルス感染防止対策を実施し、授業・撮影を行いました。
※取材は2020年12月~2021年1月にかけて実施されたものです。

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ライタープロフィール
笠木 渉太
笠木 渉太
主にマネー系コンテンツ、広告ツールを制作する株式会社ペロンパワークス・プロダクション所属。立教大学卒業後、SE系会社を経て2019年に入社。主にクレジットカードやテック関連のWEBコンテンツ制作や企画立案、紙媒体の編集業務に携わる。

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