タイニーハウスで自分らしい生き方を選ぶ。ミニマルな暮らしとは?

タイニーハウスで自分らしい生き方を選ぶ。ミニマルな暮らしとは?

タイニーハウスで自分らしい生き方を選ぶ。ミニマルな暮らしとは?

タイニーハウスとは「TINY(小さい)」+「HOUSE(家)」を組み合わせた言葉。厳密な定義はありませんが、文字通り「小さい家」という意味です。この記事ではタイニーハウスという、世界中に広がるコンパクトな暮らし方を紹介します。

生活に必要な物だけで暮らす意味とは?

生活に必要な物だけで暮らす意味とは?

タイニーハウス流行の背景にある自然災害や金融危機

タイニーハウスが生まれたのは、1997年にアメリカの建築家サラ・スザンカの自著『Not So Big House』がきっかけといわれています。著書のなかでサラ・スザンカは、建築家として家の設計を続けているうちに、大きな家という豊かさの象徴に疑問を持ったことから、小さな家に住む生き方を提唱しました。

その後、2005年に発生したハリケーン・カトリーナや世界規模の金融危機リーマンショックによる不景気などを背景に、2009年頃からアメリカ各地で本格的に広まりました。

ハリケーン・カトリーナの襲来では、住居を失った人も多く、家の在り方を見つめ直す人が増え、さらにリーマンショックによる不景気が重なることで、人々の中に「これまでの消費行動を振り返り、本当に大切な物だけを厳選して持っていきたい」という考え方が広まっていったのかもしれません。

広くても20平米程度と言われるタイニーハウスには、当然ですが、必要以上の家具家電は設置できません。そのため家の在り方を考えるのと同時に、「自分の生活に本当に必要な物は何か?」を見つめ直す人が増えたのでしょう。

ほかにも、本当に必要な物だけに囲まれた暮らし方については、以前紹介した「物を持たないミニマリストの生活とは?片付けと出費の関係を聞いてみた!」の記事も読んでみてくださいね。

環境に寄り添ったデザインのタイニーハウスは世界に広がる

アメリカ発のタイニーハウスムーブメントは、現在では世界中にも広がりを見せています。

例えばニュージーランドでは、一般的な住宅と比べて初期費用や光熱費などが抑えられるタイニーハウスが、長期間宿泊できる「ゲストハウス」としても利用されています。またサステナビリティ先進国といわれるオランダでは、太陽光を多く取り込むことができるように正面玄関を全面ガラス張りにして電気の消費量を抑えたり、建築材料には木材や麻の繊維、土といった有機素材を使用することもあるそうです。

では、日本ではどうでしょうか?
日本でタイニーハウスが広がり始めたのは、2011年3月に発生した東日本大震災以降。地震や津波などによって大規模な被害が発生した東日本大震災では、自然災害による一瞬ですべてが失われてしまう可能性を目の当たりにしました。いつ発生するか予測できない天災を経験し、必要以上の物にとらわれない生き方を考える人が増えたのです。

さらに現在では、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛やリモートワークなど、人とのつながり方や生活様式が大きく様変わりしています。2020年11月には、持続可能な社会の在り方を考えるタイニーハウス展示会のイベントなどが行われ、需要が拡大しているように感じます。イベントでは「トレーラーハウス」や「軽トラハウス」といった移動ができる「小さな家」なども展示され、一口にタイニーハウスといっても様々な種類が登場しているようです。

タイニーハウスでの暮らしはどんなもの?

タイニーハウスでの暮らしはどんなもの?

タイニーハウスでの暮らしについて「家具や家電などが減ってしまうけど、本当に生活できるの?」と、疑問を持つ方もいるかもしれません。

では、改めてタイニーハウスの暮らしで生活はどう変化するのか、考えてみましょう。

まず大きく変わる点としては、所有する物が少なくなります。

あたり前のことですが、物が多いとそれだけ置き場所を必要とします。明確に定められているわけではありませんが、タイニーハウスは10平米(6.46畳程度)から広くても20平米(12畳程度)の規模。10平米というと、ビジネスホテルのシングルルームくらいの大きさです。そのため、持ち物を厳選しなくてはいけません。
本当に必要なものを置くことになるため、好きなものに囲まれた暮らしが実現できます。普通に生活していれば、自宅に置くものについて、そこまで深く考える機会は多くないかもしれません。しかし、限られた住空間であるからこそ「これは本当に必要な物か?」について、毎回自分に問いながら買い物をすることになります。また物が減ることによって、片付けが楽になるという生活の変化もありそうですね。

そのほかにも分譲マンションや戸建ての購入と比較すると、住宅費用を抑えられるといったメリットもあります。

タイニーハウスを建てるときには、初期費用がかかります。土地代はもちろん、インフラ整備を含めた建物の金額は、一般的に200~300万円程度のようです。決して安い金額ではありませんが、分譲マンションや戸建てを購入する場合と比べると、費用を抑えることができますね。

また、大掛かりな工事を必要としないタイニーハウスだからこそ、自分で設計の知識を学び、好きな素材で家を作りあげていくことに楽しみを見出す方もいるようです。生活に必要な家の構造やインフラを知ることで、壊れても自分で直せる技術など、生きる知恵も身につくかもしれません。

タイニーハウスはどうやって建てる?

タイニーハウスはどうやって建てる?

タイニーハウスの取り扱い業者に依頼する

実際にタイニーハウスを建てる場合、前述した通り初期費用が必要となります。10平米の建物で価格は200~300万円程度。建て方については様々な手段があり、タイニーハウスを手がける業者に依頼する方法はもちろん、自分で建てる方もいます。さらに、タイニーハウスキットのみを購入して、自分で選んだ工務店に建築を依頼し、好きな土地へ建てる方もいます。

また、住宅には上下水道や電気など、生活の基盤となるインフラ設備が必要です。上下水道や電気などを利用する場合、それぞれ電力会社や水道工事業者といったインフラ構築のプロに依頼しなくてはいけません。

ただタイニーハウスには、「オフグリッド」という選択肢もあります。公共のインフラを使用せずに、例えば太陽光発電や「コンポストトイレ」という廃棄物を堆肥にする機能を持つトイレなどを利用することです。つまり、自然の力を活用する知恵や技術が求められます。

単に物を減らすだけではなく、オフグリッドという選択肢を取り入れることで、環境に配慮した生活も実現できるというわけですね。

タイニーハウスを建てる際の注意点

次に、関係する法律や固定資産税の有無など、タイニーハウスを建てる際の注意点も簡単に説明していきます。

タイニーハウスは戸建てを建築するときと同様に、「建築基準法」「都市計画法」「自治体ごとの条例」に準じてなければいけません。例えば、建築予定の土地が「都市計画区域外」の場合、行政への確認申請などは不要です。一方で準都市計画区域に該当し、なおかつ新しい土地にタイニーハウスを建築する場合、基本的には行政への確認申請が必要です。住居としてタイニーハウスを建てるとなると、地域によっては通常の戸建て建築時と同様に、行政機関の確認申請が求められることもあるわけですね。

さらに「固定資産税」についても、確認が必要です。例えば物置や小屋を建てると固定資産税がかかるため、タイニーハウスも同様に課税されると考えて良いでしょう。またタイニーハウスと似ているトレーラーハウスの場合、車両扱いとなるために固定資産税ではなく自動車税がかかるケースもあります。税金に関するルールは自治体によって異なるため、行政の担当窓口に相談しておきましょう。

タイニーハウスの登場で「豊かさ」の選択肢が増える

タイニーハウスの登場で「豊かさ」の選択肢が増える

タイニーハウスという選択肢は、多様性が尊重される現代社会のなかで新たな価値を生み出しました。タイニーハウスムーブメントにおいての「豊かさ」は、小さな家で本当に必要な物だけに囲まれ、自分の力で生きていくことだと捉えられています。これはたくさんの物に囲まれ、広い家に住むことを「豊かさ」と捉える価値観とは異なりますが、どちらの考え方が正しいかではなく、新たな価値が生まれたこと自体が、タイニーハウスムーブメントの社会にもたらした大きな影響のひとつでしょう。

なおタイニーハウスにも、一般的な住宅のようにモデルルームの展示会や実際に泊まれる施設もあります。一度体験してみることで、新しい未来の選択肢を考えるきっかけになるのではないでしょうか。

参考:
『アイムミニマリスト』(三栄書房)YADOKARI著

ライタープロフィール
八坂 都子
八坂 都子
育児系雑誌の編集アシスタント、美術系出版社にて編集記者を経て2020年にペロンパワークス・プロダクション入社。マネー系を中心にカルチャーなど幅広いテーマで記事執筆・コンテンツ制作を行う。

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