第二回「お一人さま」のサバイブ術 住まい選びを考える

第二回「お一人さま」のサバイブ術 住まい選びを考える

第二回「お一人さま」のサバイブ術 住まい選びを考える

「家」を買うこと、借りることには大きな決断が必要。お一人さまを想定した人生設計のなかでも、家を買う・借りるということは重要なライフイベントです。今回は、お一人さま人生を充実させるための住まいの選び方について考えましょう。

お一人さまは家を買ったほうが良い?

お一人さまは家を買ったほうが良い?

「お一人様のサバイブ術」第二回目は「住まい選び」。家を買うことには、メリットとデメリットの両方があります。「購入する」、「賃貸に住み続ける」のいずれかをよく検討して選ぶようにしましょう。

家を買うメリット

家を買うことには、主に以下のメリットがあります。

・「自分の家」が持てる安心感がある
・老後の住居費の心配が少なくなる
・介護リフォームがしやすい

買った家は自分のものになるので、年をとっても住む家があるという安心感が得られることが、まず大きなメリットです。
そして、働いていて安定収入がある間にローンを完済できれば、リタイア後の住居費の心配は少なくなります。
また、歩行に不安が出てきた時に手すりや滑り止めを設置するなど、介護リフォームが自由にできることも安心材料となります。

家を買うデメリット

家を買うデメリットとしては、以下のようなものがあげられます。

・収入が途絶えた場合も住宅ローンや固定資産税を支払う必要がある
・結婚や友人とのシェアなど、環境の変化で住みづらくなる可能性がある

災害、病気、失業などで収入が途絶えた場合でも、住宅ローンを支払う義務は残ります(※)。また、固定資産税の支払いや家のメンテナンス費用も必要です。そのような場合に備えて、損害保険に加入したり、預貯金をしておいたりする必要があるでしょう。

また、お一人さまを想定した間取りの家を購入してしまうと、結婚したり、友人と暮らすことになったりした場合、その家で暮らすのが難しくなる可能性があります。周辺環境の変化で暮らしにくくなった場合も、転居するという決断はなかなか難しいかもしれません。

※住宅ローンによっては、災害・病気で支払いが不可能になった場合には一部が免除(払い戻し)になる特約がついたものもあります。

いざというときに資産として役立つのはどんな家?

いざというときに資産として役立つのはどんな家?

「家は資産だ」という考えがありますが、果たして本当でしょうか? 資産としての家について考えてみましょう。

家は資産になるか?

例えば、ライフスタイルの変化などで「この間取りでは暮らしにくい」と考えた時は、家を売却してまとまったお金を手に入れ、別の物件を購入する方法があります。また、家を手放さずに賃貸物件として貸し出すという選択もできます。このように、うまく不動産運用できれば、資産価値はあるといえるでしょう。

ただしどんな家でも、売却する際に高値で売れるか、買い手や借り手がつくかという保証はありません。場合によっては売却時の価格が大幅に下がっていたり、買い手がつかなかったりすることもあります。

資産として役立つ家の特徴

どんな家を選べば資産として役立つかを知っておき、築年数がたっても資産価値が残りやすい家を選ぶようにしましょう。

高い資産価値を維持できると言われているのは、次のような物件です。

・人気のエリアや、人口が増えている地域に建っている
・交通利便性が高い
・過去に安定した地価をキープしている
・土地が広すぎたり狭すぎたりせず、その地域で標準的な広さである
・土地の形状が正方形に近い
・敷地が道路に接している部分が長い
・土地の高低差があまりない
・災害リスクが低い

夫婦で買った家や相続した家、お一人さまになったらどうする?

夫婦で買った家や相続した家、お一人さまになったらどうする?

現在はパートナーやご家族と暮らしている人でも、大切な人と死別することがあります。そのような時、今住んでいる家はどうなるのでしょうか?

団体信用生命保険について

住宅ローンを支払っている途中でローンの名義人が亡くなった場合は、団体信用生命保険(団信)を利用することができます。

この保険が適用された結果、住宅ローンの支払い義務はその時点でなくなります。住宅ローンの契約をする時は、原則団体信用生命保険にも加入することが必要です。

なお、次のような注意が必要な場合もあります。

・ローンの支払いは名義人ではなく、亡くなった人の給与から支払っていた
・ローンの名義人ではない人が亡くなり、収入が減ったためローンの支払いが困難になった

団信は、「ローンを支払っていた人の死亡」ではなく、あくまでも「ローンの名義人の死亡」に適用されるため、前述の2点のようなケースでは、住宅ローンの支払いは続くことになり、家計への負担は重くなります。別途、生命保険などでこのようなケースに備える必要があるでしょう。

相続税について知ろう

土地、建物などの所有者が亡くなった場合、資産は相続人に渡ることになり、相続人は相続税を支払わなければなりません。

法定相続によって遺産を受け取ることができるのは、配偶者と血族です。遺言書がなく、遺産への言及がない場合、配偶者は必ず相続人になり、血族は順位の高さによって相続人が決まります。同じ順位の人が複数いる場合は、全員が相続人となります。

また、先順位の人が一人でもいる場合は、後順位の人は相続人になれません。

相続の順位は次の通りです。

第1順位 子および代襲相続人
第2順位 両親などの直系尊属
第3順位 兄弟姉妹および代襲相続人

被相続人の資産を受け継いだ相続人は、相続税を支払わなければなりません。ただ、相続税には様々な控除や特例が設けられていますので、引き継いだ資産がまるごと課税対象額とはならないケースも多いです。以下のような状況に応じて、控除や特例を利用することができます。

・被相続人と相続人の関係
・生前に同居していたか
・土地の面積はどのくらいか
・その資産がどのような用途で利用されていたか

もし自分が死んだら、住んでいる家はどうなる?

もしもあなたが亡くなった場合、あなたの家はどうなるのでしょうか?

住宅ローンが残っている場合、相続人が住宅ローンの支払い義務も相続することになります。しかし、団体信用生命保険に加入しておけば、ローンの名義人が亡くなった時点で支払い義務はなくなります。

そして、あなたの家は相続人の手に渡ることになります。相続人は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に相続税の申告と納付を行わなければなりません。

相続税申告に関する手続きは煩雑で、多くの書類が必要となります。相続人が少しでも困らないよう、書類を分かりやすい場所に保管しておくこと、保管場所について伝えておくことも大切でしょう。

まとめ

現在パートナーやご家族がいる人でも、お一人さまになる可能性は誰しもあります。お一人さまとして過ごす住まいについて、元気なうちに考えておくことで、安心して将来を過ごすことができるでしょう。

住まいを購入するなら、資金計画や相続のことまで考慮した上で選びましょう。

次回「お一人様のサバイブ術」第三回目では、健康について取り上げます。

ライタープロフィール
河野 陽炎
河野 陽炎
プロ資格マニア、ライター、起業・集客コンサルタント。
ライターとして金融・経済関係の原稿を多く手がける。次々と改正される法律や、発売される数多くの金融商品が、1人の生活者としての私たちにどのような影響を与えるのか、という点を大切に執筆活動を行う。
大阪・泉州の郊外で、農家をリノベーションした住宅を自宅兼オフィスとする。趣味はディンギーヨットに乗ること、資格を取ること、日本の伝統芸能とウルトラマンに関すること。
著書は「プロ資格マニアになる方法」「あなたの隣のコンサルタント」「今日から病気も友達」など。
河野 陽炎 紹介ページ(外部サイト)

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