「サードプレイス」の見つけ方。ニューノーマル時代に欲しい“居心地の良い場所”

「サードプレイス」の見つけ方。ニューノーマル時代に欲しい“居心地の良い場所”

「サードプレイス」の見つけ方。ニューノーマル時代に欲しい“居心地の良い場所”

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため「新しい生活様式」が提唱され、テレワークやオンライン会議が一気に広がりました。自宅と職場の境界が曖昧になった今こそ、自宅、職場以外の「サードプレイス」を見つけ、心と体をリフレッシュすることが大切です。

サードプレイスとは

「サードプレイス」とは、自宅(ファーストプレイス)、職場・学校(セカンドプレイス)以外に、あなたにとって心地良い時間が過ごせる「第三の居場所」を指す言葉です。この言葉は、アメリカの都市社会学者レイ・オルデンバーグが、その著書「ザ・グレート・グッド・プレイス(The Great Good Place)」内で1989年に取り上げています。

オルデンバーグによるサードプレイスの8つの特徴

サードプレイスとは次のような場所だと、オルデンバーグは説いています。

オルデンバーグによるサードプレイスの8つの特徴

1. 中立領域

サードプレイスに来る人は、誰かに強制されるのではなく、自分の意思でその場所にやってきます。そこでは経済、政治、法のいずれにも縛られることなく、自由に過ごせることが大切です。サードプレイスへ来ることや、どのように過ごすかを自分で決めるからこそ、そこで過ごす時間が有意義なものになるのです。

2. 平等主義

サードプレイスに参加するための必要条件はなく、誰もが平等に参加するチャンスを与えられます。そして、それぞれの経済的・社会的地位や年齢や性別などで区別されることがありません。誰もが分け隔てなく平等にかかわりを持つことができる場所です。

3. 会話が主たる活動

サードプレイスでは和気あいあいと、遊び心やユーモアがあふれる会話が交わされます。リラックスして楽しく温かい会話を交わすことが、サードプレイスでの主な活動です。

4. アクセスのしやすさと設備

誰もが入りやすいオープンな雰囲気を持つ場所であることも大切です。開放的な雰囲気の場所であること、そして交通アクセスも良く、誰もが訪れやすい立地であることも大切です。

5. 常連や会員が存在する

常連や会員がいることで、そのサードプレイスならではの空間や雰囲気、トーンが形成されます。とはいえ、新規の参加者を決して排除することなく歓迎し、受け入れる場所でもあります。

6. 控えめな態度と姿勢

誰かが支配的にふるまう場ではなく、健全で家庭的な空間です。誰かに対して緊張したり、憎み合ったりすることは、サードプレイスにおいて避けたい態度です。

7. 機嫌が良くなる

陽気でウイットに富んだ会話を通して、参加者は明るく機嫌良く過ごすことができます。

8. 第二の家

サードプレイスは公共の場ですが、第二の家のような温かさを持ちます。そこで過ごす人々とは家族と同じようなつながりが生まれ、喜びや楽しさを共有しあいます。

サードプレイスとは、以上のような特徴を持つ場所だと、オルデンバーグは説きました。

現在、コロナウイルスの蔓延を防ぐために、「新しい生活様式」を取り入れることが推奨されています。テレワークやオンライン会議の導入が進み、これまで職場や学校でしていたことを、自宅で行う人が増えました。

テレワークは通勤にかける時間や労力が削減できるというメリットがあります。一方で、以前は仕事で嫌なことがあっても、自宅に帰るとホッとして心のリフレッシュができていたのに、そのような切り替えが難しくなるというデメリットも。

自宅と、職場・学校との線引きが曖昧になった今、あなたが心地良く過ごすことができるサードプレイスを見つけることが、ますます重要になります。

オンラインでの「サードプレイス」

オンラインでの「サードプレイス」

大人数での会食、イベントなどが制限され、ソーシャルディスタンスを保つことが必須とされる今、オンラインでのサードプレイスを探すという方法もあります。

例えば、SNS、チャット、Web会議システムを使ってサードプレイスを作り出すこともできます。あなた自身がこれらのシステムを使うことが苦手なら、既に構築されているオンラインサロンを利用する方法もあるでしょう。

ただし、注意点もあります。カフェやコワーキングスペースなどを利用するには、そこへ行くための時間や労力、飲食代や利用料金がかかるといったハードルがありました。そのようなハードルを越えてでも、サードプレイスで過ごしたい人が集まっていたのです。

ですが、自宅で気軽に参加できるオンラインコミュニティは敷居が低いため、その場で過ごすことの意義を理解しないまま参加する人も出てくる可能性があります。例えば、自宅から参加できることの気安さからお酒を飲んで酔ってしまい暴言を吐くなど、攻撃的な人もいるかもしれません。そのような場面に出会ってしまった場合の対処法も考えておきましょう。

サードプレイスの見つけ方

家庭とも、職場・学校とも違う、心地良いサードプレイスを見つけるには、どうすれば良いでしょうか?

サードプレイスの見つけ方

近所を散歩してみる

「自宅は帰って寝るだけの場所」と思っていた人も、自宅の近くを散歩してみると、新たな発見があるかもしれません。今まで入ったことがなかった公園やカフェ、コワーキングスペースなどを利用すると、居心地の良い空間が見つかる可能性もあります。

ソーシャルメディアを始めてみる

ソーシャルメディアとは、誰もが情報を発信でき、人同士がコミュニケーションを取ることで、社会的なつながりが広がっていくよう設計された媒体を指す言葉です。ソーシャルメディアを利用すれば、あなたが発信した情報を、誰かが受け止め、感想やさらなる情報を返してくれるかもしれません。

サードプレイスでは、ほかの人との衝突や討論は歓迎されません。誰かの上に立つためのコミュニケーションではなく、温かさやユーモアにあふれたコミュニケーションを心がければ、ソーシャルメディア上にあなたのサードプレイスが生まれます。

オンラインサロンに入ってみる

オンラインサロンとは月額利用料金を払って利用するオンラインコミュニティで、主催者からメンバーに向けて発信される情報を受け取ったり、会員同士の交流を楽しんだりすることができます。

主催者からの情報発信が主なサロンと、会員と主催者の交流、あるいは会員同士の交流が主なサロンとがありますので、あなたの目的にあったオンラインサロンを利用すると良いですね。

趣味を持つ

新しい趣味を持つことで、その道の師匠や先輩、仲間との出会いがあるかもしれません。

趣味を長く続けていくためには、あなたが興味のある趣味、心から楽しめる趣味を選ぶことが大事です。人との出会いを優先しすぎて、好きでもないことに挑戦しても、長続きはしないでしょう。

また、趣味にどのくらい費用がかかるかも事前に調べ、資金計画も考えておきましょう。

副業を始めてみる

新しい仕事を持つことで、現在の仕事とも自宅とも違う新しい場所を見つけることができるでしょう。

副業はあくまでも「仕事」なので、引き受けた案件には真摯に取り組むことが大切です。真摯に取り組む中で、様々な人との出会いがあり、新しい場所に足を踏み入れる機会も増えるかもしれません。

お気に入りのカフェを見つける

オルデンバーグは、フランスのカフェやイギリスのパブで、多くの人たちが食事や飲み物を楽しみながら会話している様子を、サードプレイスの例としています。

お気に入りのカフェを見つけて、その場所の常連になるのも良い方法です。現在は新型コロナウイルスの影響もあり、飲食店での長居やおしゃべりがしづらい状況ですが、コロナ禍が落ち着いた時のことも見据え、散歩がてらお気に入りのカフェを見つけてみてはいかがでしょうか?


「サードプレイス」の概念は、1989年にアメリカの都市社会学者レイ・オルデンバーグがその著書において提唱したものです。

日本でもテレワークが盛んになり、自宅と職場・学校の線引きが曖昧になっています。そんな時代だからこそ、自宅や職場・学校以外に心地良く過ごせる第三の居場所を持ち、心身のリフレッシュを図り、新しい人とのつながりを持つことがより重要になります。

サードプレイスを見つけるためには、近所を散歩する、気になっているオンラインサロンに入ってみるなど、今までと違う行動を起こしてみましょう。

ライタープロフィール
河野 陽炎
河野 陽炎
プロ資格マニア、ライター、起業・集客コンサルタント。
ライターとして金融・経済関係の原稿を多く手がける。次々と改正される法律や、発売される数多くの金融商品が、1人の生活者としての私たちにどのような影響を与えるのか、という点を大切に執筆活動を行う。大阪・泉州の郊外で、農家をリノベーションした住宅を自宅兼オフィスとする。趣味はディンギーヨットに乗ること、資格を取ること、日本の伝統芸能とウルトラマンに関すること。著書は「プロ資格マニアになる方法」「あなたの隣のコンサルタント」「今日から病気も友達」など。
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