飼い主になる前に知っておきたい。ペットと暮らすために必要なお金はいくら?

飼い主になる前に知っておきたい。ペットと暮らすために必要なお金はいくら?

飼い主になる前に知っておきたい。ペットと暮らすために必要なお金はいくら?

自宅時間が長くなったことをきっかけに、ペットを飼い始めたいと考える人が増えています。ただしペットと暮らすためには、ペットフードや医療費などのお金がかかるもの。犬や猫を飼う前に、まずはどれだけの費用がかかるのかを知っておくと良いでしょう。

ペットを飼うには、初期費用のほかランニングコストがかかる

コロナ禍で私たちの日常は大きく変わりました。テレワークの導入などで家にいる時間が増え、今までは躊躇していたペットとの生活を始める人も増えています。筆者も犬と一緒に暮らしていますが、ペットと暮らすことでたくさんの幸せを感じられ、生活が豊かになったと実感しています。

ただし、一般社団法人ペットフード協会が発表した「令和元年 全国犬猫飼育実態調査(外部サイト)」によると、犬の平均寿命は14.44歳、猫の平均寿命は15.03歳。十数年にわたる命をまっとうし、彼らの一生が幸せなものになるかは、すべて飼い主に委ねられることになるのです。

ペットが幸せに暮らすために抑えておきたいのが、飼うためにはどれだけの費用がかかるか、ということです。まずは初めてペットを迎えるときの費用について、紹介していきましょう。

ペットを飼うときの初期費用は購入代を除いて5万〜6万円が目安

ペットショップで購入するときの費用相場は、猫は10万〜20万円程度、犬は10万〜30万円程度かかるのが一般的です。種類によっては50万〜60万円と高額な場合もあります。里親になる場合、ペット自体の代金はかかりませんが、ワクチン代などの医療費や交通費といった譲渡費用が3〜6万円程度必要になります。

犬や猫を初めて飼うときには、付随して費用が発生します。犬を飼う際には、一般的に以下の費用がかかります。

・畜産登録費用…約3,000円
・狂犬病予防注射(年に1回)…約3,500円
・混合ワクチン接種(初年度3回)…1万5,000円〜2万円程度(種類や病院により異なる)

猫に関してかかる費用は以下のとおりです。
・混合ワクチン接種(初年度2回)…約1万円〜1万5,000円(種類や病院により異なる)

このほかにも、必要に応じてクレートやサークル、ペット用トイレ、食器、フード、ペットシーツやトイレ砂などのグッズを揃えておきましょう。以上を合わせると、ペットを迎え入れるため初期費用は、ペットの購入代金を除いて5万〜6万円程度が目安となるでしょう。

さらに、去勢手術を行うと、犬は1万5,000〜2万円、猫は1万〜1万5,000円、避妊手術の場合は、犬は2万5,000〜3万円、猫は2万〜2万5,000円程度かかります。こちらは必ずかかるお金ではありませんが、妊娠・出産を望まない場合は、手術を行うケースが多くなっています。

ペットにかかる年間費用は犬が約30万円、猫は約16万円!

次に、ペットを飼うときにかかるランニングコストも知っておきましょう。アニコム損害保険株式会社の調査(外部サイト)によると、年間にかかる費用は犬が30万6,801円、猫は16万974円となっています。犬は猫の約2倍の費用がかかるのは、ちょっと驚きですね。

項目別に見ていくと、金額の差が大きいのは「シャンプー・カット・トリミング代」で、犬は4万2,323円のところ、猫は2,623円でした。犬を飼うときには、定期的なお手入れが必要なことが分かります。

また、「しつけ・トレーニング料」、「洋服」、「ドッグランなど遊べる施設」にかかる費用は、猫はほとんどかかりませんが、犬の場合は数千円から数万円かかっています。猫と違い、犬は散歩も含めて外に遊びに行く機会が多いからといえるでしょう。犬と暮らすということは、小さな子どもがいる家庭に近いとイメージすると、分かりやすいかもしれませんね。

一方、「フード・おやつ代」、「光熱費」の費用は、犬と猫で特に金額に差はありませんでした。なお、毎年ワクチンの接種や健康診断にかかる費用も、忘れずに予算を立てておきましょう。

ペットと暮らすためには、こうした費用の負担があることを踏まえて、あらかじめ貯蓄をしておくなどの工夫が必要になります。

ペットにかかる年間費用は犬が約30万円、猫は約16万円!

大切なペットの万が一に備えるために「ペット保険」の加入も考えよう

もちろん、フードや洋服、日用品については、工夫次第で金額を抑えることも可能です。一方で気になるのが、万が一の際にかかる「病気やケガの医療費(治療費)」です。

さきほどのデータで見ると、年間にかかる医療費(治療費)は、犬は4万4,869円、猫は2万3,919円と、全体の費用に占める割合も大きくなっています。

人間であれば、健康保険制度があるため、実際に支払う金額は、一般的に医療費の3割で済みます。ところがペットの場合、かかった医療費は全額自己負担となります。また、動物病院は「自由診療」といって、診療料金を自由に設定することができます。そのため、思いがけなく高額な医療費がかかってしまうこともあるのです。

ではどれだけの費用が必要になるのか、実際にかかった医療費の例を見てみましょう。

実際にかかった医療費の例
筆者のペットが実際にかかった医療費の例

個体差はありますが、ペットも人間と同様に、年齢を重ねると病気やケガのリスクが高まり、保険料も高くなります。そのため「まだ若いうちはペット保険に加入する必要はないのでは?」と思いがちです。

ところが、ペット保険には加入条件があり、過去に病気やケガをしていると、加入を断られたり、加入できてもかかったことがある病気や部位が補償の対象外となる場合もあります。さらに年齢制限がある保険が多く、高齢になると健康であっても新規加入できないケースもあるのです。

さらに知っておきたいのが、子犬や子猫は好奇心が旺盛なので、ちょっとしたことでケガや病気につながってしまうことがあるということ。

例えば目を離した隙に、おもちゃやタオル、犬や猫が食べてはいけない食物を口に入れ、誤飲してしまうこともあります。誤飲したものによっては、命にかかわる可能性もあるため、急いで病院に連れていかなければいけません。

このように、ペットに万が一のことがあった際には、突発的な医療費が発生します。こうした事態に備えられるように、医療費に備えて貯蓄をしておくか、若くて健康なうちにペット保険に加入しておくと安心です。

なお、ペット保険には様々な種類がありますが、通院、入院、手術をカバーできるものが主流となっています。注意が必要なのは、動物病院でかかるすべての費用が対象ではないということ。例えば、ワクチン接種や避妊・去勢手術、健康診断などは、原則補償の対象外となります。また、病院でかかった費用のうち50%や70%を補償するというプランが多くなっています。

補償を厚くするほど保険料は高くなるので、補償内容と保険料のバランスを見ながら、加入を検討してみると良いでしょう。

癒しをくれる存在だからこそ「一生守ってあげる」覚悟が必要

ペットと暮らすことは、お金と様々な準備が必要だということがお分かりいただけたと思います。ちょっとシビアなことばかりお伝えしてしまいましたが、ペットとの生活は大変なこと以上に、たくさんの良いことをもたらしてくれます。

例えば、ペットと触れ合うことで、幸せホルモンといわれる「オキシトシン」が活発に分泌されることが、様々な実験で分かっています。また、散歩を通じて定期的に運動をすることや、世話をすることで規則的な生活を送ることになり、私たちの心身の健康にも良い影響が期待できます。

なにより、飼い主を信頼して、ありのままの姿を見せてくれる彼らとの生活は、私たちにたくさんの幸せを与えてくれます。そんな癒しをくれる大切な存在だからこそ、「一生守ってあげる」という覚悟を持って、ペットを迎え入れるか考えて欲しいのです。

色々考えて、覚悟を持って迎え入れたペットは、あなたにとって最高のパートナーになってくれるはず。幸福に満たされた、素敵な毎日を過ごしてくださいね。

参考:
おかねとほけん「ペットにかかる費用はどれくらい?種類ごと購入費や維持費をご紹介」(外部サイト)
日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査 調査結果(平成27年度)」(外部サイト)

ライタープロフィール
滝田 知歩
滝田 知歩
求人広告のディレクター、編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。雑誌や単行本、Webサイトを中心に、貯蓄・投資・保険・税金に関する記事のほか、最近では愛犬との暮らしを通じて、犬に関する記事の執筆も行う。

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