おうちで楽しむアート。オンライン展示が出揃ってきた

新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、一時は臨時休館をしなければならなくなるほど、大きな影響を受けた美術館。緊急事態宣言が解除されてから徐々に営業を再開している美術館もあるものの、入場人数が限られたり、日時の指定が必要になったりと、従来とは異なる形式での開催を余儀なくされています。
そんななか、注目を集めているのが、オンライン美術館です。オンライン美術館とは、美術館にコレクションされている作品の数々を、ウェブサイトやYouTubeなどWeb上で鑑賞できるサービスのことをいいます。
国内の美術館はもちろん、ヨーロッパやアメリカなど世界中の作品も鑑賞できること、さらに、好きな時に好きなだけ時間をかけて鑑賞できることからも、今人気を集めているのです。
アクセスすればすぐに楽しめる作品たち。実際に訪れるより至近距離で見られる展示も

オンライン美術館の魅力が分かったところで、ここからは、アートファンでなくてもぜひ知っておきたいサービスや、そのなかで見ておきたい美術館・展示を7つ紹介します。
Google Arts & Culture
最も大規模なオンライン美術館が、Google Arts & Cultureです。「Google Arts & Culture」という一つのサイトのなかに絵画から写真、モニュメントまで、世界中の有名な美術館の芸術作品が取り揃えてられています。
各作品にはズーム機能がついており、美術館で実物を見るよりも、さらに至近距離で鑑賞することも可能。ガイドツアーもあるので、解説を読みながら鑑賞をするのが好みという方でも、物足りなさを感じることもありません。
一部の美術館のページのなかには、360度を見渡しながら楽しめるストリート・ビュー・ギャラリーもあり、実際に美術館のなかにいるような雰囲気を味わえるはずです。
そんなGoogle Arts & Cultureで特徴的なのが、世界中にある複数の美術館の作品を、歴史上の出来事・素材や技法ごとなど、横断しながら楽しめることです。リアルな美術館とは異なる、オンラインならではの視点で作品を鑑賞できるのも、Google Arts & Cultureならではの魅力といえるでしょう。
ここからはGoogle Arts & Cultureのなかで、特に注目したい3つの美術館を紹介します。
メトロポリタン美術館
アメリカで最も多いコレクション所持品数を誇る、世界三大美術館の一つが、メトロポリタン美術館です。Google Arts & Cultureでは、ゴッホの『Self-Portrait with a Straw Hat』やフェルメールの『水差しを持つ女』、ココ・シャネル、クリスチャン・ディオールの洋服など、200,805件もの有名なアイテムを鑑賞できます(2020年9月14日時点)。
Google Arts & Culture:The Metropolitan Museum of Art(外部サイト)
ニューヨーク近代美術館
ニューヨーク近代美術館は、2019年10月にリニューアルオープンした、年間300万人が訪れる人気の美術館です。現在は、ゾフィー・トイバー=アルプの展示をストーリーにて開催中。そのほか、51個のカテゴリ、129件の一覧のなかから様々な作品を楽しめます(2020年9月14日時点)。
Google Arts & Culture:MoMA The Museum of Modern Art(外部サイト)
ファン・ゴッホ美術館
ファン・ゴッホ美術館は、オランダにある国立美術館の一つです。その名の通り、ゴッホの作品を中心に、19世紀の美術史のテーマに沿った展示も行われています。メトロポリタン美術館・ニューヨーク近代美術館には数が少なかった360度のストリートビューコンテンツが豊富なのも魅力です。
Google Arts & Culture:Van Gogh Museum(外部サイト)
HASARD
「アートを、もっと身近に」の理念のもとに運営されているオンライン美術館、HASARD。新型コロナウイルス感染症流行前の2019年4月からサービスを展開していたという、まさにオンライン美術館のパイオニアともいえるWebサイトです。
協賛ユーザー・企業・団体によって成り立っており、鑑賞料は無料。いつもで好きな時、好きなだけ作品を堪能できるようになっています。モネ展『それは再び動き始める』や、クリムト展『変わるもの、変わらないもの』などの常設展示のほか、数々の特別展示・個展も見逃せません。
HASARDの魅力は、展示作品を“超”高解像度で鑑賞できることです。画面への表示スピードの速さと引き換えに、Web上に掲載する画像の縮小をあえてしないことで、超高画質の作品を画像で楽しめる仕組みになっています。オンラインでも実物を見ているかのような質感で作品を鑑賞できるのは、アートファンにとって非常に嬉しいポイントではないでしょうか。
HASARD(外部サイト)
目白美術館 PartⅡ
「日本が世界に誇るべき日本洋画界の巨匠の作品を、日本から世界に向けて発信していくこと」をめざし、収蔵品の展示、貸出を行っているのが、目白美術館 PartⅡです。
オンライン上では、昭和時代に活躍した刑部人(おさかべ じん)の作品を展示(2020年9月14日時点)。日本の懐かしい風景などを刑部人の歴史とともに味わえます。
目白美術館 PartⅡ(外部サイト)
国立西洋美術館
オンライン美術館は、ウェブサイト上で作品を鑑賞するものだけではありません。国立西洋美術館では公式YouTubeチャンネルにて、展示されている作品を研究員の解説とともに鑑賞できるようになっています。
映像なので、文字を読む負担がないだけでなく、一つの動画が2~3分程度と短いために、美術作品への理解が深くない方でも飽きずに視聴できるでしょう。
Google Arts & Cultureのように「作品を自分の好きなように拡大しながら」という鑑賞はできないものの、よりカジュアルに美術を楽しみたい方にとっては、気軽にアクセスできるコンテンツです。
国立西洋美術館(外部サイト)
ポーラ美術館
ポーラ美術館では、「#おうちでポーラ美術館」と称し、ただ作品を鑑賞するだけでなく、体験できる特設ページを展開しています。
国立西洋美術館と同様、学芸員の方と展示を回れる動画はもちろん、ぬり絵や、画家たちの技法を学べる動画など、鑑賞する側の手を動かすようなコンテンツも魅力的です。
休日はお子さまと一緒に、自宅で絵を鑑賞しながら、作品作りを楽しむのも良いのではないでしょうか。
ポーラ美術館:#おうちでポーラ美術館(外部サイト)
観るだけじゃなく、自分なりに学んでみよう

好きな時にアクセスできるだけでなく、普段は人の目を気にして解説をじっくり読んでいられないという方も、自由に時間を使いながら作品を堪能できるなど、リアルにはない魅力がたくさんあるオンライン美術館。
携帯電話の使用が禁止されている美術館もあるなか、オンライン美術館であれば作品を見ながら、気になることを自分で調べることもできます。作品を見ながら、または見た後に自分で調べることで、より一層理解が深まったり、作品の魅力を感じられたりするのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の影響で私たちの生活は一変しました。これまであたり前のようにできていたのに、できなくなってしまったことも多々あります。しかし反対に、これまでとは別の角度から、できることが増えているのも事実です。
せっかくならオンライン美術館で、これまでの美術館ではできなかったことをしてみましょう。アートファンの方も、美術館に行く習慣がなかった方も、ぜひこの機会にオンライン美術館ならではの良さを堪能してみませんか。
ライタープロフィール

Webライター。1993年生まれ。新卒でIT企業のエンジニアとして勤務後、2018年9月からフリーランスのWebライターとして活動を開始。SEO・取材記事を中心に、美容・旅行・ITなど様々なジャンルの執筆を行っている。
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