本格アートを毎日の暮らしに。定額制レンタルアートの楽しみ方

本格アートを毎日の暮らしに。定額制レンタルアートの楽しみ方

本格アートを毎日の暮らしに。定額制レンタルアートの楽しみ方

物を所有するのではなく、利用権を借りるサブスクリプション型の消費が、アートの世界でも「レンタルアート」という形で広がり始めています。今回は、その魅力と利用法を紹介し、アートを身近に置くことが私たちに与える影響などを考えてみます。

リーズナブルな定額制で楽しむアート

リーズナブルな定額制で楽しむアート

近年、定額制のソフトウェア、音楽配信サービス、上質な動画の見放題、電子書籍の読み放題のほか、ゲーム、コスメ、有名ブランドのバッグなど、様々なサービスやモノがサブスクリプション方式で提供されるようになってきました。

所有することから、一定額を支払って利用するという「モノへの向き合い方の変化」は、新たなマーケットやサービスを生み出す可能性があります。生活者にとっては、モノを管理する必要がなく、利用するためのコストも抑えられるため、今まで保有する必要までは感じなかったモノを試してみようか、という需要が生まれるかもしれないからです。

リーズナブルな定額制の、自宅やオフィスで楽しむことができるレンタルアートはまさにそうした需要に応えるサービスといえるかもしれません。

もともと美術品の多くは一点物で、保有するためには購入しなくてはならないケースが一般的です。しかし、例えば個人が数あるアートの中から気に入ったものを見つけ出して購入することは簡単ではありません。多くの作品は、それなりのコストがかかりますし、一度購入したものに飽きてしまっても、都合よく転売できるかどうかはわかりません。保有するためのハードルは高いといって良いでしょう。

また、歴史のある大企業などでは重厚な建物のエントランスや会議室などに、いわゆる名画と言われる高価で歴史的にも価値がある絵が飾られていることがあります。しかし、スタイリッシュなオフィスが増えてくると、求められるものも変わっていきます。エントランスや会議室、執務室などに新たにアートを購入するとなると、コストもかかりますし、どのような作品がふさわしいかを吟味する必要もあります。

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日本でのアート人気はかつてないほど高まっていて、各地で開催される展覧会には多くの入館者が来場し行列ができるものも少なくない昨今。そうした中で注目されるようになったのが、保有することなく楽しむことができる「レンタルアート」です。

レンタルアートのメリットと利用法

レンタルアートのメリットと利用法

レンタルアートには様々なメリットがあります。

個人にとっては、アートを自宅で気軽に楽しむことができ、季節ごとに飾る作品を替えることも可能です。企業にとっても作品の入れ替えをすることで、オフィスの雰囲気を大きく変える効果があります。

では、レンタルアートは実際にはどのように利用されているのでしょうか?

業界大手の一つ、アートアンドリーズン株式会社は、club Fm(クラブエフマイナー)(外部サイト)というサービスをオンラインで提供しています。同社では、国内のトップギャラリー(海外のアートフェアへの参加も認められた有力なギャラリー)と提携してレンタルが可能な現代アートの作品をウェブサイト上に公開しています。

利用者は無料で会員登録をし、ウェブサイト上にある約2,000点の作品から気に入った作品を選ぶことができます。注文をすると専用ボックスに収納された作品が届けられます。画家の知名度や、サイズに関わらず、コストは原則、月間5,300円(税別)(2020年3月現在)。レンタル代と、万が一の弁償に関するオプションを合計した金額です。作品は最速で1ヵ月ごとに交換することができ、最長6ヵ月間のレンタルが可能です。なお、配送や返却の送料は無用。設置に必要な金具等も専用ボックスに同封されていて、誰でも無理なく設置ができるようになっています。

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企業が導入する場合もコストなどは同様です。現在は20社程度の企業がサービスを利用しており、中には「オフィスの印象を良くしたいので、何を飾ったら良いのか教えて欲しい」という相談もあるそう。その際には、企業の風土や求めるアートのイメージなどをヒアリングしたうえで作品を提案するといいます。

オフィスの印象はそのまま「オフィス環境」に直結し、最近では社員の採用にあたってもこのオフィス環境が非常に重要だと言われています。オフィスデザイン大手のフロンティアコンサルティングが実施した2016年卒の学生への調査では、「就職活動時にオフィス環境をどの程度重視するか」について、「かなり重視する」が27パーセント、「どちらかというと重視する」が64.5パーセントとなり、90パーセント以上の学生がオフィスの環境を重視していることが分かりました。

出典:FRONTIER CONSULTING「就活生のオフィス環境に対する意識調査を実施致しました。」 (外部サイト)

同じくオフィスデザインを手掛けるアーバンプランの調査によると、企業がオフィスデザインのコンセプトで重要視することは、「モチベーションアップ」が38パーセント、「来客への印象」と「生産性の向上」がそれぞれ20パーセントとなっています。

出典:Urban Plan 「会社員の本音!重視したいオフィスデザインのコンセプトとは?」 (外部サイト)

レンタルアートを利用する企業が増えているのは、オフィスの環境づくりにアートが一定の役割を果たしているからだといえるのかもしれません。

club Fmがある企業に対し、オフィスにアーティストが滞在して実際に絵を描くサービスの提案をしたところ 受け入れられ、実施されたこともあったそうです。このようにアートを社員の満足感を高めるための手段にしようとしている企業が実際に出てきていることを実感することも多いそうです。
また当初はアートに関心のなかった担当者が、レンタルアートをきっかけに関心を持つようになり、作品の入れ替え時に「個人的には以前のものよりこちらのほうがいいですね」とコメントするようになるなど、レンタル先の企業の社員の変化を実感することも多くなったといいます。

生活の質の向上や文化への貢献

レンタルアートの利用は着実に広がってはいるものの、個人利用の定番化はまだこれから。気軽にレンタルすることで、アートのある毎日を過ごすようになると、アートを身近に感じ、興味や関心も高まってきますし、 いつものリビングルームに本物のアートが飾られることは生活の質の向上にもつながるため、今後ますます利用者は多くなるのではないでしょうか。

club Fmのようなサービスを提供する企業も増えていますが、同社では「アートを取り巻くマーケットが活性化するきっかけになるのでは」と歓迎しています。レンタルアートが人々の生活を豊かにするとともに、作品を生み出すアーティストや、アートの世界そのものを支えるものになることが期待されます。

ライタープロフィール
本松 俊之
本松 俊之
大学卒業後、大手新聞社勤務を経て、ロイター・ニュース・アンド・メディア・ジャパン株式会社にてアドソリューション・クリエイターとして勤務(2013年6月~2019年2月)。現在はフリーランスライターとして幅広い分野で執筆中。

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