2泊3日でちょうど良いコンパクトな街

成田空港からアエロフロート・ロシア航空の直行便に乗ること約2時間30分、ロシア沿海地方の中心都市ウラジオストクに到着しました。取材に行った10月初旬の気温は約15度。緯度が札幌と同じと考えると寒さはそれほど厳しくない印象です。空港から市内へは空港鉄道かタクシーで約1時間。市街地に近づくとヨーロッパらしい建物が見えてきます。「2時間で行けるヨーロッパ」というキャッチフレーズは本当でした。

ウラジオストクの街はコンパクトで、2〜3時間もあれば、主要観光地をすべて歩いて散策することができます。2泊3日あれば、十分街を堪能できるこのサイズ感も魅力なのかもしれません。エキサイティングなアクティビティがあるわけではないので、カフェでのんびりしたり、ロシア料理に舌鼓を打ったり、レトロなパッケージのおみやげを探したり…と楽しみ方は人それぞれ。ウラジオストク駅舎やロシア正教会など、建築巡りを楽しむ人も多いようです。

今回は、初めてウラジオストクへ行く人のために、「グルメ」「ショッピング」「街歩き」の3テーマでその魅力をご紹介していきましょう。
【グルメ】正統ロシア料理から海鮮グルメ、サンドイッチまでバリエーション豊富
せっかくウラジオストクに来たなら、ロシア料理は外せません。地元っ子のイチオシは、街の中心である噴水通りにある「スボイフェーテ(Svoy Fete)」。ここでは、ボルシチ、ビーフストロガノフなど、日本人がイメージする“ザ・ロシア料理”を堪能することができます。

まず、入店したら前菜としてセリョトカ(ニシンの酢漬け)と一緒にビールやワインをオーダー。次に、ビーツで色づけされた赤い野菜入りスープ、ボルシチをいただきます。その後、牛肉をやわらかく煮込んだビーフストロガノフへ。余裕があれば、さらに肉や魚のメイン料理を楽しむのも良いでしょう。こちらのお店では、料理3品+生ビールで計1,200ルーブル程度(約2,100円)。これはお得です。
※日本円と外貨の換算値は2020年2月時点の金額です。
【スボイフェーテ(Svoy Fete)】
住所:Admiral Fokin, 3, Vladivostok
スボイフェーテ ウェブサイト(外部サイト)

海に面したウラジオストクは、海鮮食材も豊富です。ならば狙うべきはもちろんカニ!というわけで、やってきたのは「ピャーティー・オケアン」という海鮮料理レストラン。アムール湾を望む優雅な店内で、タラバガニのボイルなどをいただくことができます。タラバガニの値段は、大きさによって異なりますが、1杯およそ2,400~3,000ルーブル(4,100~5,100円)程度。日本のレストランで食べるより割安かもしれません。
※日本円と外貨の換算値は2020年2月時点の金額です。
【ピャーティー・オケアン】
住所:Batareynaya 2v, Vladivostok
ピャーティー・オケアン 紹介ページ(外部サイト)

※日本円と外貨の換算値は2020年2月時点の金額です。
ロシアのスナックの代表格といえるのが、ペリメニ。これは、ロシア風水餃子といっても良いかもしれません。牛肉、鶏肉、羊肉などはもちろん、チーズ入り、キノコ入りなど味のバリエーションは様々。ビールやワインとよく合います。ペリメニを食べるなら、おすすめは中央広場近くの「ローシキ・プローシキ」。ポップなインテリアを楽しみながら、カラフルなペリメニを堪能できます。
【ローシキ・プローシキ】
住所:Svetlanskaya St., 7, Vladivostok

※日本円と外貨の換算値は2020年2月時点の金額です。
ロシアといえど、やはりヨーロッパ。欧米風のおしゃれなカフェやバーガーショップなどもたくさんあります。今回気になったのは、ウラジオストク駅近くにある「ミート&ブレッド」という肉料理メインのカフェレストラン。こちらのグリルチキンサンドイッチは絶品でした。大きな窓から通りを眺めながら、ロシアビールを楽しむひとときを満喫するのも良いでしょう。

※日本円と外貨の換算値は2020年2月時点の金額です。
【ミート&ブレッド(Meat & Bread)】
住所:Aleutskaya, 15, Vladivostok
ミート&ブレッド 紹介ページ(外部サイト)

【ショッピング】ユニークなパッケージのロシアみやげに夢中!

ロシア土産といえば、マトリョーシカ!お土産店をのぞくとどこでもズラリとマトリョーシカが並んでいます。しかし、もっと楽しいのが、スーパーの棚です。チョコレートやスナック菓子、缶詰など、アジアでも欧米でもないユニークなパッケージの商品は、夢中になること間違いなし。リーズナブルなバラマキみやげも探せるので、家族や職場の仲間を驚かせてみては?


ロシア土産として、見逃せないのがお酒です。特にビールとワインは、リーズナブルで質の良いものが多く、少量ならば持ち帰ることも可能です。おすすめは、ジョージアの赤ワインとクリミアのスパークリングワイン。パッケージがかわいい瓶ビールも喜ばれるかもしれません。日本に持ち込めるのは、760ml以下のボトルで3本まで。じっくり厳選しましょう。

※日本円と外貨の換算値は2020年2月時点の金額です。

【街歩き】ヨーロッパの街並みや歴史的建造物を巡る

ウラジオストクの楽しみはなんといっても街歩きです。気軽にヨーロッパ風の街に溶け込める週末旅はきっとクセになるでしょう。街歩きでまず訪れるべきは、ウラジオストク駅。竣工は19世紀末の1894年。その後、改装を繰り返しながら現在も古代ロシア風の堂々とした面影を残しています。絵画が描かれた待合室の高い天井など、駅舎の中も見どころ満載です。

街のおしゃれスポットとして注目を集めるのが、同じく19世紀末に建てられたグム百貨店周辺。アールヌーヴォー様式の瀟洒な外観は、まるでタイムスリップしたかのようです。またこのエリアの路地裏には、おしゃれなカフェやワインバーが続々オープンし、地元の若者や観光客が集まるスポットにもなりつつあるそう。レンガの建物に囲まれた石畳の路地をぜひ歩いてみてください。

ウラジオストクの街を歩いていると目を引くのが、ロシア聖教の協会です。日曜日の午前中に訪れれば、ミサ(礼拝)を見学することができるでしょう。20世紀初頭のロシア革命以降、多くの教会が破壊されるという悲しい歴史を歩みましたが、現在は多くが再建され、その美しい姿を見ることができます。
【おまけ】民泊風のホステルでロシアの生活に溶け込む

急速に観光客数が伸びているウラジオストクですが、未だに欧米系の一流ホテルが進出していません。市内には、いくつか中級ホテルがあるものの常にホテル不足が囁かれています。そこで、おすすめなのが、地元の人がアパートを改装したホステル。個室があるところも多く、リーズナブルな価格を考えれば、かなり快適です。今回、私が滞在したのは、中心街である噴水通りから徒歩圏の「ホステル&アパートメント ロフト」。ヨーロッパ風のかわいらしい部屋の個室に宿泊することができました。
【ホステル&アパートメント ロフト(Hostel & Apartments LOFT)】
住所:6 Fontannaya Ulitsa 4,Vladivostok
料金:ドミトリー600ルーブル(約1,000円)~、ダブル個室 2,000ルーブル(約3,400円)~
※日本円と外貨の換算値は2020年2月時点の金額です。
ほかにも噴水通り沿いにあるホステル「ギャラリー&モア」も欧米系の旅行者に大人気の様子。部屋を見せてもらうとデザイナーズホテルもビックリのセンスを感じました。特徴のない中級ホテルに泊まるなら、たまには週末バックパッカー気分を味わってみるのも良いかもしれません。

【ギャラリー&モア(Gallery & More)】
住所:Ulitsa Admirala Fokina 4B,Vladivostok
料金:ダブルルーム3,500ルーブル(約6,000円)~
※日本円と外貨の換算値は2020年2月時点の金額です。
ウラジオストクの旅、いかがでしたか?個人的な感想としては、「食」のコストパフォーマンスの高さに驚かされました。観光のピークは夏休みシーズンですが、四季を通して、街歩きを楽しむことができます。
ウラジオストクを含むロシア沿海地方は、空路で入国する場合、電子ビザのネット申請が可能です。今やロシアビザも簡単に取得できる時代です。ぜひ次の週末旅の選択肢に加えてみてください。
※2019年10月取材時の情報です。料金等は変更になる可能性があります。
ライタープロフィール

編集者・ライター。1973年生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、旅行雑誌編集部勤務を経て、広告制作会社で教育系・企業系の媒体制作を手がける。2010年に独立し、株式会社ミニマルを設立。ビジネス全般、大学教育、海外旅行の取材が多い。
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