テレビや映画などを観て、誰でも一度は「無人島でサバイバルしたい!」「無人島で色々なものを一から作ってみたい!」と幼心に思い描いたことがあるでしょう。大人になって、そんな想いが再燃する方もいるのではないでしょうか。
かくいう筆者もその一人で、実際に無人島に何回も足を運んで遊んでいます。今回は、無人島選びから購入までの具体的なステップをご提案しつつ、その魅力についてもお伝えしていきます。
まずは無人島に遊びに行こう!
日本には6,000以上の無人島があり、そのうち売りに出されているのは約10程度です。その多くは数千万円と高額ですが、中にはおよそ600万円ほどで購入できる島もあります。
それでもやはり高価なものですので、勢いで購入するには少し気が引けるかもしれません。
そこで、無人島を購入するまでの道のりの第一歩として「まずは訪れてみる」ことを考えてみてはいかがでしょうか。
無人島というとなんとなくハードなイメージがありますし、そもそもそんな簡単に行けるのか、と思うかもしれませんが、実は簡単に訪れることができる島もあります。

例えば、筆者が訪れたことがある和歌山県有田市にある「地ノ島(じのしま)」は、市内の初島漁港より船で15分ほどで渡れます。4月から10月末までは自由に渡ることが可能です。日帰りで訪れることもでき、テントで1泊することも可能です。
購入となるとおよそ数百万円から数千万円かかり、無人島のことを知らずにいきなり購入するのはリスクが大きいので、まずは実際に滞在して、自分なりの問題点や課題、楽しさなど色々感じてみましょう。
例えば、無人島でサバイバル生活のような過ごし方を一定期間行ったり、ほかの方々がいないなかでのんびりとバカンスを過ごしたりなど、様々な楽しみ方があります。その一方で、インフラ環境の乏しさや利便性に欠けるといった課題ももちろんあります。
何を夢見て、どんな楽しみ方をめざすのかによって異なりますが、不便さからの制約も楽しむような心持ちで遊びに行くと良いでしょう。アウトドア趣味のある方、自然に触れることがお好きな方には特におすすめですし、興味があるけどそういった経験をしたことがない方も、無人島ならではの手つかずの自然に触れれば、きっと虜になるはずです。
無人島生活チェックリスト

無人島で遊んでみて、その環境や落ち着きあふれる雰囲気に魅力され「これはもう買うしかない」と思ったら、次は購入するうえで注意するべきことを考えてみましょう。
無人島での経験から、「無人島で暮らすには、こんなことを検討すべき」というポイントをまとめてみました。
まずはアクセスの良さを確認しよう
まずは、アクセスが良いことが必須条件となります。とくに、無人島での時間を「遊び場」や「別荘」として楽しむのであれば、移動時間がかかるのは避けたいところです。2泊3日くらいで遊べるアクセスの良い島が良いでしょう。
購入を検討する場合も、月末や週末に遊びに行くというライフスタイルになる人が多いと思いますが、その場合もアクセスの良さは特に重要といえます。
平地があるかどうかで利便性は大きく変わる
次に重要なのは平地があるかどうかです。無人島は木が密集し島の中央に向かって高くなっていく構造で、沿岸部は崖になっている部分も多く、基本的には生活するにはかなり不便な土地といえます。
テントを張るには平地が必要ですし、購入して開拓していくにしても平地じゃないと建物を立てたりするのも大変です。購入する場合は下見に行って、どのくらいの平地があるか確認したいところです。
インフラは必ずしも必要ではない
例えばディスカバリーチャンネルの「ザ・無人島生活」のようなサバイバル生活を楽しむ形で過ごすのであれば、インフラは必ずしも必要ないでしょう。
サバイバルとまではいかなくても数泊程度なら、水、食料など必要最低限のものだけ持ち込んで十分楽しめますし、購入後は水、電気などを引くことができるので、自分のスタイルに合わせてカスタマイズすることができます(自然保護などの理由で自治体がNGを出す可能性もあるので、ご注意ください)。
「自然災害」というリスクも考慮すべき
無人島の最大のリスクは「自然災害」です。天候が悪化し島に渡れなくなってしまい、計画が中止になることもしばしば。特に注意が必要なのは台風です。
周りに遮るものが何もない無人島では台風の影響をもろに受けるため、DIYで簡易的な小屋を建てても毎年のように壊されてしまいます。購入する際は管理維持する方法、費用も考慮した方が良いでしょう。
無人島の購入方法は?
無人島専門の不動産サイトで購入可能です。また、直接地権者に問い合わせるという方法もありますが、多くの無人島は地権者が自治体なのでその場合購入は難しいでしょう。個人所有している方をうまく見つけられればチャンスはあるかもしれません。
地権者が複数存在する可能性も
何らかの事情で島の地権者が複数いる場合があります。
例えば、「島の所有権自体は県が持っているが、砂浜だけ市の管理下にある」といった場合です。個人所有の島でも複数の方が分割して所有していることもあります。その場合は部分的に購入することも検討しなければいけません。
いずれにせよ、島の権利関係は特に注意して把握しておいた方が良いでしょう。
購入以外の選択肢も検討すべき
購入する以外にも、「貸切」という選択肢もあります。先ほど紹介した地ノ島では1日およそ数十万円から貸切にできるので、一度遊びに行った後は貸切にして家族や友人だけで過ごしたり、イベントを開催したりするのも面白いと思います。
また、購入、貸切よりもさらにハードルは高いですが、地権者である自治体と組んで無人島を活用する方法もあります。
実際に地ノ島では「無人島プロジェクト(外部サイト)」という団体が中心となって無人島でキャンプしながら映画の上映会をする「無人島シネマキャンプ」を開催しています。
重要なのは「不便さを楽しめるか」
これが最も重要かもしれません。無人島ではあらゆることが不便です。水はない、電気もない、風呂もない、トイレもキッチンもない。小屋や簡易的な施設を作ったり、少しずつ環境を整えていくなど、その状況をいかに工夫して楽しめるかが無人島の醍醐味の一つです。
無人島は男だけの夢じゃない
無人島は男性以外も楽しめる場所。無人島というと男性が好きそうなイメージがあるかもしれませんが、実際は男性だけではなく女性も子どもも楽しめる場所です。筆者が参加した無人島花見会というイベントには女性も子どももたくさんいましたし、家族での参加も多いです。家族で過ごす無人島は最高の思い出になることでしょう。
無人島で遊ぶのは最高の体験

無人島で老若男女、たくさんの方々を見てきましたが、みんな本当に良い雰囲気で過ごしています。渡船場から船に乗る時のワクワク感、船で移動している時の爽快感、無人島に降り立った時の感動、無人島で過ごす開放感、何もない不便さ、工夫して生活する楽しさ、そのすべてがほかでは味わえない特別な体験です。
無人島を購入してみたいという方は、ぜひ一度気軽に訪れてみてください。素晴らしい体験ができるはずです。
ライタープロフィール

神奈川県出身。35歳。オンラインで中学生、高校生に数学などを指導しながら、各地のマイナーなアウトドアやDIYアクティビティに参加しています。無人島での遊び方は基本的に「サバイバル」。サバイバル4原則の火起こし、シェルター作り、水の確保、食糧の確保、のスキルを高めるべく無人島で実践しています。
最近はロープワークも勉強中。今後はDASH島のように小屋を建てたり、帆船を作ったりしていきたいと考えています。
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