日本人の移住者急増 マレーシアのロングステイビザ「MM2H」とは?

日本人の移住者急増 マレーシアのロングステイビザ「MM2H」とは?

日本人の移住者急増 マレーシアのロングステイビザ「MM2H」とは?

外国人も暮らしやすい国として知られるマレーシア。その理由として一番に挙がるのは、年齢制限のないロングステイ向けビザ「MM2H」の存在です。「MM2H」とはどのようなビザなのでしょうか?長期滞在先としてのマレーシアの魅力とあわせてご紹介します。

日本人に人気NO.1のロングステイ先、マレーシア

日本人に人気NO.1のロングステイ先、マレーシア
マレーシアの首都・クアラルンプールはまさに大都会。日本の製品が手に入りやすく、不自由さをあまり感じずに生活できる。

ロングステイとは、同じ場所に長く滞在して暮らすように過ごす旅行のスタイルのこと。退職後のシニア層が日本に拠点を置いたまま生活費の安い海外に滞在し、セカンドライフを楽しむ人が増えたことから、ロングステイが注目されるようになりました。

一般財団法人ロングステイ財団が、毎年行っている「ロングステイに関する意識調査」の結果、2018年の人気滞在先第1位はマレーシアでした。マレーシアは13年連続の1位で、ロングステイを希望する日本人の間で根強い人気を誇っていることが分かります。

【ロングステイ希望国・地域トップ10(2018年)】
[一般財団法人ロングステイ財団調べ]
1位 マレーシア
2位 タイ
3位 ハワイ
4位 フィリピン
5位 オーストラリア
6位 台湾
7位 カナダ
8位 インドネシア
9位 シンガポール
10位 アメリカ本土

マレーシアの人気の理由はロングステイ向けビザ「MM2H」制度が充実していることに加え、熱帯気候に属する常夏の国でありながらも朝夕は比較的涼しく過ごしやすいこと、東南アジアとしては治安がそれほど悪くないこと、日本とほぼ同レベルの医療水準であること、物価の安さ、そして親日国であることなどが考えられます。

なお、マレーシアは他民族国家であるため、各民族間でコミュニケーションをとる際には英語が使用されます。宗教においても多様性が認められており、国教はイスラム教ですが、仏教、キリスト教、ヒンドゥー教、シーク教、道教を信仰する国民も多くいます。

ロングステイビザ「MM2H」とは

ロングステイビザ「MM2H」とは
ジョホール・バルは、マレー半島の南端にあるジョホール州の州都。対岸はシンガポールで、中心街まで1時間程度でアクセスできるのが大きな魅力。

では、ロングステイビザ「MM2H」とは、どのようなものなのでしょうか?「MM2H」とはマレーシア・マイ・セカンド・ホーム(Malaysia My Second Home)の略で、「マレーシアを第2の我が家に」という意味です。その名前からもマレーシアが外国人滞在者に寛容であることが伺えます。
事実、一定期間の滞在を認めるロングステイ用のビザを発行している国は多くありますが、マレーシアの「MM2H」は取得のしやすさやその内容が群を抜いて優れています。

MM2Hの特徴
・マレーシアと国交のある国の国民なら誰でも申請ができる、最長10年の長期滞在ビザ
・年齢制限なし
・10年経過後も移民局から認められれば更新が可能
・永住は不可、永住権の獲得もできない
・申請者は配偶者と21歳未満の未婚の子ども、60歳以上の両親を同行できる
・マレーシア人と結婚した外国人も申請が可能
(【出典】マレーシア政府観光局オフィシャルサイト)

ロングステイ向けビザは退職者を主な対象としているため、50歳または55歳からなど年齢制限があることが多いですが、「MM2H」は年齢制限がありません。ただし、50歳以上になると申請条件が緩和されます。
滞在期限は最長10年で、更新も可能。永住はできませんが、一度取得すればかなり長い期間滞在できます。ビザを取得してからもしばらく日本で暮らして、時期がきたら本格的にマレーシアに住むという選択をする人も多いようです。

また申請者は配偶者と21歳未満の未婚の子ども、60歳以上の両親を同行させることが可能(同行できる両親は代表者の両親のみ)。18歳未満の子どもはマレーシアの学校(小学校、中学校、高校)に通わせることができるため(18歳以上で大学に通う場合はStudent Passに切り替える必要あり)、「子どもに国際的な感覚や語学などを身につけさせたい」という教育目的での移住も増えています。

ロングステイビザ「MM2H」の申請条件

ロングステイビザ「MM2H」の申請条件

申請には経済的証明が必要になりますが、50歳未満と50歳以上では条件が異なり、50歳以上は大きく条件が緩和されます。

ロングステイビザ「MM2H」の申請条件

※1リンギットは約26円(2019年11月現在)
※「財産証明」には、銀行の残高証明書、証券会社の評価額を証明する書類が必要で、申請時からさかのぼって過去3ヵ月分が必要
※「収入証明」には、給与明細もしくは各月の収入が記載された銀行明細を提出
※年金証明は基礎年金・厚生年金・政府が承認した企業年金も含まれる

マレーシアの定期預金の金利は2019年11月現在で3%以上。日本に比べるとかなり高いため資産運用として活用することもできます。

「MM2H」を取得する人は、世界的にも増加

「MM2H」を取得する人は、世界的にも増加

マレーシアでの長期滞在は日本だけではなく、世界の様々な国からも人気で、プログラムが誕生した2002年から2017年まで取得者の数は増え続けています(2018年10月〜2019年2月まで、MM2Hの審査が一時中断していたため、2018年の取得者は減少)。

2002年から2018年のMM2H取得者数国別ランキングで、日本はトップの中国に次いで2位。旧宗主国のイギリスを除くと、上位はアジアの国で占められています。

【MM2H取得者 国別ランキング トップ10】
(2002年から2018年の累計人数)
1位 中国         12,881人
2位 日本         4,778人
3位 バングラデシュ    4,135人
4位 イギリス       2,691人
5位 韓国         2,378人
6位 シンガポール     1,459人
7位 イラン        1,399人
8位 台湾         1,396人
9位 香港         1,087人
10位 インド        1,047人
(WEBサイト「Malaysia My Second Home Program」より)

世界遺産の街、ジョージタウンがあるペナン島
世界遺産の街、ジョージタウンがあるペナン島。中国系の住民が多く、おいしい中国料理が食べられると日本人の人気も高い。

「MM2H」の申し込みの簡単な流れは、以下の通りです。

1. 必要書類をMM2Hセンターへオンラインで提出※郵送も可能
2. MM2Hセンター内移民局から仮承認書が発行されたら、仮承認書発効日より6ヵ月以内にマレーシアへ来て、口座の開設、医療保険の加入、健康診断を行う
3. MM2Hセンター内移民局出張所にて、銀行の定期預金証明書と口座開示承諾書、医療保険証書、健康診断書を提出

2019年11月現在、MM2Hビザの審査は書類受理後から仮承認書の発行まで、通常は90営業日(約4ヵ月)ですが、審査が遅れているため、通常の期間を大幅に超えている状況です。審査の進捗状況は MM2Hオンライン入力サイト(※2022年7月1日現在HP削除)から確認できます。

まとめ

年齢制限がなく、経済的な条件を満たせば、ほぼ取得可能な「MM2H」。50歳以上であれば、週20時間を限度に条件つきで就労も許可されます。退職後のセカンドライフを楽しみたい人はもちろん、子どもの教育のための移住など、幅広い目的で活用できるビザといえるでしょう。

マレーシア政府観光局(日本語サイト)

ライタープロフィール
瀬田 尚子
瀬田 尚子
大学卒業後、出版社に入社。 雑誌編集として約8年勤務の後フリーランスのライター・カメラマンに。 WEB、雑誌、広報誌など、さまざまな媒体で取材・執筆を行っている。得意とする分野は旅・食・健康。温泉とお酒には特に目がない。

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