NFTで注目が高まるデジタルアート。楽しみながら投資できる「アート投資」の世界とは

NFTで注目が高まるデジタルアート。楽しみながら投資できる「アート投資」の世界とは

NFTで注目が高まるデジタルアート。楽しみながら投資できる「アート投資」の世界とは

楽しみながら投資する方法として「アート投資」が注目を集めています。今回は、デジタルアートの価値の高まりによって広がりを見せるアート投資の現状や作品の選び方を、現代アートのオンライン販売を行う「tagboat」代表の徳光健治さんに伺いました。

なぜ今、アート投資に注目が集まっているのか?

なぜ今、アート投資に注目が集まっているのか?

新たな投資先としての「アート」需要の高まり

徳光さんによると、アート投資に注目が集まっているのは、富裕層が投資のポートフォリオ(金融資産の組み合わせ)に「アート」を組み入れ始めたことが最も大きな理由だといいます。

世界中で長期にわたる金融緩和政策が続き、各中央銀行が通貨の供給量を増やしたことによって、資金に余裕のある富裕層が増加。富裕層が株、不動産、仮想通貨など、様々な投資対象を模索していく中で、新たな投資先として「アート」の需要が高まりました。

もともと海外ではアート投資は一般的に行われ、資産額が一定以上の富裕層の顧客を対象に資産運用のサービスを提供するプライベートバンクなどが主導して投資のポートフォリオに組み入れられるケースはよく見られましたが、ここ数年、富裕層のアートへの投資が加速したと徳光さんはいいます。

また、日本では「アートに投資する」という文化はあまりありませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で旅行などができず、自宅にいる時間が長くなったことから、自宅で楽しめて、さらに投資もできるというアート投資が注目され始めました。

NFTによってデジタルアートの価値が上昇

アート投資が注目される理由に、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)の広がりも大きく影響していると徳光さんは分析します。NFTとは、情報を記録するデータベース技術の一種であるブロックチェーン技術を用いた「偽造不可能な所有証明書付きのデジタルデータ」のことで、このNFTの登場によりデジタルアートの価値が一気に高まったのです。

デジタルアートは若い作家を中心に急速に増えていますが、コピーができてしまうことからこれまで投資対象となることはありませんでした。そこにNFTが登場し、デジタルアートであっても「一点物」という証明が可能になったため、リアルアートと同じように投資対象となったのです。

これまでにオークションで75億円もの値が付いたBeepleの NFTアート作品もあり、アート投資においてデジタルアートが占める割合は今後も増え続けていく傾向にあるようです。

アート投資のメリット

アート投資のメリット

アート投資にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

作品の価値が下がりづらい

一つめのメリットは、作品の価値が下がりづらいことです。株や不動産の場合、その価値が暴落するということは珍しくありません。しかし、アート作品の場合、相場として値崩れすることが少ないという特徴があります。これは作品というよりも、作家という「人」に価値が付いているからだと徳光さんはいいます。

例えばダ・ヴィンチやピカソといった作家たちは、現代においても変わらず評価されています。また、アートの世界では作家の価値を落とさないために、オークションなどでギャラリーやファンが買い支えるというカルチャーが根付いていることも、作品の価値が下がりづらいことにつながっているようです。

経年劣化しにくい

アートは保存状態さえ良ければ、経年劣化しにくいこともメリットの一つです。ワインやウイスキーなども投資対象にされますが、これらはいくら保存状態がよくても数百年間品質を保つことは極めて困難です。

それに対し、アートは正しく保管していれば何百年も楽しむことができ、売買可能な状態を保つことができます。さらにデジタルアートであれば、そもそも経年劣化することがないため、価値が下がりにくく、投資対象としても魅力があるといわれているのです。

質の良いコミュニティが生まれる

アート投資は投資方法であると同時に「アート作品を楽しむ」という趣味的な面を持ち合わせているため、アートを通して質の良いコミュニティが生まれやすいということがあげられます。

国内では、現代アートマーケット拡大のため、一年に一作品(ワンピース)以上を購入することを約束したアート愛好家の集まり「ワンピース倶楽部」や、海外では、MoMA(ニューヨーク近代美術館)が主催する大規模なパーティーが開催されるなど、アートをめぐるコミュニティは社交場となり、そこに参加することは一種のステイタスとされています。

アートはこうしたコミュニティにも守られながら、その価値を高められているのです。

アート投資のデメリット

アート投資のデメリット

一方、アート投資にはデメリットもあるといいます。

贋作リスクがある

一つは、贋作のリスクです。特にリアルアートの場合、常にこの問題がついてまわります。現代アートの場合など、存命の作家の作品であれば真贋を証明できますが、亡くなった作家の作品はプロでさえも真贋が見分けられない場合があります。そのため、鑑定済みの作品が出品されることが前提のオークションでも「これは絶対に本物である」という保証ができないケースもあるそうです。

売りたいときに売れない場合がある

作品というよりも作家に投資するアート投資は、価格が暴落するということはほとんどありません。しかし、人気のない題材や絵柄の場合、オークションに出品しても買い手が付かない場合があります。つまり、必要なタイミングで必要な金額に換金することが難しい可能性があるため、注意が必要です。

デジタルアートの場合「展示」が難しい

デジタルアートの場合は、展示することが難しいというデメリットもあります。プリントアウトしたりモニターに映し出したりする方法はありますが、立体的なものはVR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった技術を用いないと展示(表示)が難しい場合があります。

アートは一般的に、多くの人に見てもらえないと人気が出ないため、展示方法が制限されることはデジタルアートが抱える一つの課題といえるのです。

アート投資の魅力とは?

アート投資の魅力とは?

アート投資の最大の魅力は、投資対象をシンプルに作品として楽しむことができる「文化的な価値」があることだと徳光さんはいいます。株や不動産はそれ自体を観て楽しむことはできません。しかし、アート投資は鑑賞と投資を同時に楽しむことができるのです。

また、アート投資は作家に対する投資でもあるため、存命の作家であればその支援者として作家との交流を楽しむこともできます。

最近では、一人の作家のみに資金を投入するパトロン型のアート投資よりも、様々な作家の作品をコレクションするポートフォリオ型のアート投資が増えているといいますが、それでも作品を購入することは、その作家を支援しているということに変わりはありません。

幅広い作品のアートが展示されるアートフェアや個展などで作家と交流することは、アート投資ならではの楽しみといえるでしょう。

アート投資の始め方

アート投資の始め方

初心者が困るのが、そもそもアート作品を、どこで、どのように選んで買ったらいいのか分からない、ということではないでしょうか?徳光さんに、初心者がアートを購入する際のポイントを伺ってみました。

作品は必ず直接見てから購入する

第一に、作品を購入する場合はネットだけでチェックするのではなく、必ず直接作品を見てから購入することが大切だと徳光さんはいいます。パソコンのモニターやスマホの小さな画面では、作品の判断はできないというのがその理由です。

信頼できるチャネル(購入先)を選ぶ

購入場所として、徳光さんは「最初は、信頼できるチャネル(購入先)を選ぶことが肝心」だといいます。

厳選された作品が出展されるギャラリーで購入する

出展するためのハードルが高いフェアなどで、そのハードルをクリアしたギャラリーが扱うアート作品なら、贋作や今後価値があがる見込みがないようなものは考えにくいそうです。例えば、世界最大級のアートフェアである「アート・バーゼル」に出展しているギャラリーで購入すれば、失敗するリスクを抑えられます。

有名なギャラリーが扱う作品は、値段が高いことも多いですが、ギャラリーも値段が下がらないように販促し続けている立場のため、損をすることは少ないそうです。

作家の価値を高める努力をしているギャラリーで購入する

また、タレントの価値を高める努力をしている芸能プロダクションのように、作家の価値を高めるように努力をしているギャラリーで購入することも、失敗の少ないアート投資のポイントだそうです。

「作家の価値があがれば、作家も、作品を購入した人も、もちろんギャラリーも儲かります。このように全員が得をする『三方良し』な考え方をするギャラリーは、アートへの造詣も深く、間違いが少ない」と徳光さんはいいます。

一方、ただ場所を貸しているだけの貸しギャラリーや、作家と購入者をマッチングさせるプラットフォーム型のギャラリーでの購入は、あまりおすすめできないとのことです。

アート投資の始め方

次に、アート作品を選ぶ際のポイントについて見ていきましょう。

多作の作家の作品は価格があがりやすい傾向

多くの作品を発表する作家の作品は、価格があがることが多いといいます。オークション業者もギャラリーも手数料で利益を得ているため、作品数が多ければそれだけ稼げるということになります。

またそのような作家の作品はオークション業者とギャラリーが頑張って買い支えて価格をあげるため、結果的に手数料もあがるという良い循環が生まれ、価格がどんどんあがっていく傾向なのだそうです。

アートフェアなどで作家と会ってみる

徳光さんは、アート投資とは作品への投資というよりも作家という「人」への投資である事を強調します。「作家の人となりや、教養、考え方などは、実際に会ってお話をして初めて分かるもの。そのため作家と直接話してから購入を決めると失敗が少ない」そうです。スタートアップ企業に投資する際に経営者と面談するのと同じことなのかもしれません。

好きな作品を長期保有する

「これ値上がりするよ」といわれて、「あまり好きじゃないけど、値上がりしそうだから買っておこうかな」という姿勢はNGだと徳光さんは指摘します。鑑賞して楽しむこともできる投資方法だからこそ、長く持って楽しめる作品を選ぶことがポイントだそうです。

まずは自分の好みで選び、様々な作品と出合う中で見る目を養っていき、自ら価値のある作品を選べるようになることも、アート投資の醍醐味の一つ。また、長期保有することで価値があがることが一般的なので、長期的な視点で保有し続けたい作品を選ぶことが重要です。

まとめ

かつてアート投資といえば、高額な絵画の売買が主流でしたが、少額から投資できるサービスなどの登場で身近なものになりつつあります。さらにNFTの発展でデジタルアートの価値は高まり、アート投資は今後ますます拡大していく可能性があります。

まだ日本では、流行に敏感な投資家やビジネスパーソンが注目している段階の市場ですが、アート投資は株や不動産とはまた違った「楽しめる」投資方法として今後広まっていくかもしれませんね。

この人に聞きました
徳光健治さん
徳光健治さん
アジア最大級の現代アートのオンライン販売「tagboat」代表。日本の現代アート市場拡大のため、一般の方も気軽に買える機会を作るべく奮闘中。特に若手がプロとして活躍できる環境作りに力を入れ、優れた才能を持ちながら作品発表の場が少なかった次世代アーティストを発掘し、続々と世に送り出している。著書に『教養としてのアート 投資としてのアート』(クロスメディア・パブリッシング)、『現代アート投資の教科書』(イーストプレス)などがある。
ライタープロフィール
杉浦 直樹
杉浦 直樹
元歌舞伎役者・ファイナンシャルプランナー・ソムリエという異色の経歴を持つ。大学卒業後、広告代理店制作部のコピーライターとして職に就くも一転、人間国宝四世中村雀右衛門に入門。15年間歌舞伎座・国立劇場などの舞台に立つ。AFP・住宅ローンアドバイザー・JSA認定ソムリエの資格を取得し、金融・伝統芸能・自動車・ワインなどのコラムを執筆。

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