子育てへの不安を解消!東大教授が教える、賢く教育資金を増やすコツと活用すべき制度

子育てへの不安を解消!東大教授が教える、賢く教育資金を増やすコツと活用すべき制度

子育てへの不安を解消!東大教授が教える、賢く教育資金を増やすコツと活用すべき制度

子育てにはいくら必要?教育資金を少しでも増やすにはどうすればいいの?多くの親が抱える不安や疑問について、子育てと経済の関係を研究している、東京大学経済学部の山口慎太郎教授に聞きました。

コロナ禍は子育てへの不安を浮き彫りにし、産み控えも生じた

コロナ禍は子育てへの不安を浮き彫りにし、産み控えも生じた

長引く新型コロナウイルスの影響により、人々の暮らしは一変し、出産や子育てに対する意識にも大きな変化がありました。多くの人が出産・育児への不安を抱き、首都圏を中心に出生数の減少、「産み控え」が生じているといいます。厚生労働省の発表によると、2021年1~3月期の出生数は前年同期比で約1万9,000人も減少しています。

山口教授は、産み控えの理由について「最大の理由は、経済面での不安でしょう。特に飲食業や接客業などのサービス業に就かれている方の中には、労働時間短縮による減収だけでなく、解雇や倒産によって収入自体がゼロになった人も少なくありません」と指摘します。

また、幼稚園や保育園の臨時休園も、子育てへの不安を増幅させた要因となりました。不安定な労働環境による経済的な不安、子育て環境への不安が重なった状況下で、妊娠を避けた方が多かったのではないかと推測されます。

日本の子育て支援は足りている?

日本の子育て支援は足りている?

コロナ禍によって増加・顕著化した子育て環境や経済面での不安。とはいえ、コロナ禍以前にはそのような不安を抱える人がいなかった、というわけではありません。

日本政府も以前から少子化解消に向けて様々な支援策を打ち出しています。ただし、山口教授によると、先進諸国と比べ「全く足りていない」状況なのだそうです。

少子化解消に向けた公的な財源による支援規模

国によって経済規模が異なるため、子育て支援の規模は『GDPにおける支出比率』で評価されます。北欧諸国の半数において、子育て支援の規模(2017年)が3.3パーセントを超える中、日本は1.79パーセントにとどまっています。

山口教授は、「公的な財源による支援の規模は少しずつ改善されていますが、いずれにせよOECD(経済協力開発機構)加盟国の平均以下の数値で、子育て支援の規模は不十分だといわざるを得ない」といいます。

「大学卒業までにかかる学費の総額はおよそ1,000万円、私立大学などへ進学した場合は2,000万円を超える場合もあります。だからこそ、公的支援や民間の保険などを活用しながら、将来に備えて資産形成していく必要があるでしょう」

少子化解消に向けて進みつつある育休改革

日本が現在直面している少子化問題において、男性の育休取得率向上は重要な課題です。これまでも男性に対する育児休業制度は設けられていましたが、取得のしづらさから、企業規模にかかわらず十分に機能していない面がありました。そのため、2022年4月から段階的に施行される予定の「育児介護休業法」の改正では、そのような状況を直接的または間接的に解消し、男性の育児休業取得の促進が期待されています。

例えば、育休取得の意思について企業による確認(聞き取り)が義務化されました。自社の制度や法令の概要について説明する機会が生まれるため、認知や取得率の向上につながるでしょう。さらに、育休の分割取得も可能になります。長期間の休業によるキャリア中断の不安を和らげるフレキシブルな休業の取り方は、育休の浸透を後押しするはずです。

また、従業員1,001人以上の規模の企業には、育休取得状況の公表が義務付けられます。求職者が企業を選ぶ際の重要な参考要素になると考えられ、企業側も優秀な人材を確保するため、より積極的に育休取得を推進するでしょう。

現在では男性の育休取得率が約90パーセントのノルウェーも、30年前までは約4パーセント程度という低水準でした。「育休取得が別の誰かの育休取得を後押しし、社会のあたり前になっていく」ことを重ねることで、社会のスタンダードになっていったのです。山口教授も、「法改正が行われ、誰もが安心して子育てできる社会に向けて一歩ずつ進んでいる日本においても、ノルウェーのようなプラスの連鎖が起こること」を期待しているそうです。

活用したい公的な子育て支援制度

活用したい公的な子育て支援制度

育休の推進の他にも、政府は様々な子育て支援制度の拡充に動いています。大きな柱は、児童手当をはじめとした「現金給付による支援」、保育園・幼稚園などの「保育支援」、「産休・育休支援」の3点です。

現金給付による支援(抜粋)
・児童手当:中学校卒業まで(15歳の誕生日後、最初の3月31日まで)支給される
・児童扶養手当:ひとり親世帯などを対象に、18歳到達後最初の3月31日まで支給される
・各種就学援助:経済的理由により就学が困難な場合に、学用品費や修学旅行費、給食費などが援助される

保育支援(抜粋)
・地域型保育事業:保育ニーズの高い0〜2歳児への対応を目的とする、小規模の保育事業。待機児童解消に貢献する
・乳児家庭全戸訪問:子育ての孤立化を防止するため、専門資格を持つ職員などが乳児のいる全家庭を訪問。支援が必要な場合は、適切なサービス提供へと結びつける
・子育て短期支援(ショートステイ、トワイライトステイ):病気や出産、就労、精神上の理由など、保護者による自宅保育が困難になった場合に利用できる一時的な養育・保護制度

産休・育休支援(抜粋)
・産前産後休業:出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週前) 、出産翌日から8週間に取得できる就労休業期間
・育児休業:子供が1歳に達するまで、申し出により育児のために休業できる
・出産育児一時金:出産時(妊娠4ヵ月以上)、一児につき42万円が支給される
・厚生年金保険料などの免除:被保険者の事業主が規定期間内に年金事務所へ申し出ることにより、産前産後休業期間および育児休業期間における健康保険・厚生年金保険の保険料負担が免除される

山口教授は、「集団での幼児教育は子供の発育にプラスに働く要素でもあるので、保育園や幼稚園などの保育支援は積極的に活用していただきたい」といいます。

また、出産を機に離職された場合、子育てによる時間的制限などで正社員としての再就職が難しくなる可能性もあることから、経済的な観点でいえば、産休・育休支援や保育支援を活用しながらキャリアを継続する選択が理想といえるかもしれません。

大学卒業までにかかる学費はおよそ1,000万円

大学卒業までにかかる学費はおよそ1,000万円

子育てに必要なお金は、「なんとかなるでしょ」では済まされない、シビアな問題でもあります。

実際に、日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(2020年度)」や文部科学省「子どもの学習費調査(2018年度)」を参考に、大学卒業までにかかる学費を計算すると、小学校から大学まで国公立だった場合は約1,000万円、すべて私立に通った場合は約2,400万円、高校・大学のみ私立に通った場合は約1,300万円がおおよその相場になります。

我が家のお財布事情で本当に大丈夫…?と不安になってしまう金額かもしれません。金額が大きいからこそ、できるだけ早いタイミングから資産形成を考えておく必要があるのです。

将来に向けて考えたい教育資金の準備方法

将来に向けて考えたい教育資金の準備方法

教育資金の準備方法としては、「学資保険」や「積立定期預金」が広く知られています。前者は毎月保険料を支払う貯蓄型の保険で、契約者である親が亡くなった際はその後の保険料が免除になることが一般的です。後者は一定額を毎月自動的に積み立てることができる定期預金です。どちらも満期時に、利息などを含むまとまった金額を受け取れるのが特徴です。

両方とも、子育て中の貯蓄といえばコレ!というほどに浸透している商品ですが、資産形成の視点で考えると、特別メリットが大きいとはいえません。

山口教授は、「学資保険や積立定期預金は、どちらかというと保守的にコツコツと貯蓄していきたい方向けの商品です。より積極的な資産形成をめざす方は、『親の死亡リスクには保険料の安い掛け捨て型生命保険で備える』+『金融商品に投資して資産運用する』といったスタイルが適しているでしょう」といいます。

ジュニアNISAを活用して教育資金を準備する

教育資金の形成法として活用したいのが「NISA(少額投資非課税制度)」です。NISAには、現在「ジュニアNISA」「一般NISA」「つみたてNISA」があり、いずれも一定条件のもと金融商品の配当金や譲渡益などが非課税になります。

なお、ジュニアNISAは2023年12月末をもって廃止となり、新規口座の開設が打ち切られることが決まっています。とはいえ、18歳になるまでは一定の手続きにより非課税のメリットを受け続けることができますし、制度廃止後は18歳まで払い出せないという年齢制限が撤廃され、中学や高校進学などの資金に充てることも可能になります。また、一般NISAは、制度が見直されて2024年から「新NISA」となる予定です。

NISAと新制度はこちらの記事でも解説しています。
2024年から始まる新NISA、何が変わる?要点を解説

まとめ

まとめ

育児は、楽しいことばかりではく大変なこともあるでしょう。ただ、家族や子供の愛おしさやともに成長する経験には、その大変さを忘れてしまうだけの大きな喜びや価値があるはずです。ご紹介した公的支援制度や資産形成術を賢く活用しながら、かけがえのない時間を楽しんでいきましょう。


・本コンテンツは一般的な情報提供を目的とするものであり、証券投資取引の推奨・勧誘を目的とするものではありません。

この人に聞きました
山口慎太郎さん
東京大学経済学研究科教授
山口慎太郎さん
内閣府・男女共同参画会議議員、朝日新聞論壇委員、日本経済新聞コラムニストなども務める。2001年慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程修了。2006年ウィスコンシン大学経済学博士号取得。マクマスター大学准教授、東京大学准教授を経て2019年より現職。専門は労働市場を分析する「労働経済学」と結婚・出産・子育てなどを経済学的手法で研究する「家族の経済学」。『「家族の幸せ」の経済学』(光文社新書)で第41回サントリー学芸賞を受賞。『子育て支援の経済学』(日本評論社)は第64回 日経・経済図書文化賞受賞。
ライタープロフィール
山本 杏奈
山本 杏奈
金融機関勤務を経て、フリーライター/編集者に転身。現在は企業パンフレットや商業誌の執筆・編集、採用ページのブランディング、ウェブ媒体のディレクションなど、幅広く担当している。

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