株価があがると「もらえる年金」は増える?年金運用機関「GPIF」の役割

株価があがると「もらえる年金」は増える?年金運用機関「GPIF」の役割

株価があがると「もらえる年金」は増える?年金運用機関「GPIF」の役割

皆さんの年金積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によって運用されていることを知っていますか?今回は個人でも真似できるGPIFの運用方法から、リスクを最小限に抑える手法を学んでみましょう。

将来受け取る年金の一部は「投資」で増やされている

将来受け取る年金の一部は「投資」で増やされている

日本の株式市場の代表的な株価指標の一つ、日経平均株価は2021年2月、30年ぶりに3万円の大台を突破しました。「景気が良い」という実感はないものの、株式市場は盛りあがっている。そんな株高の恩恵を受けるのは、いわゆる“投資”をしている人だけだと感じるかもしれません。

しかし、私たちは「年金」を通じて株高の恩恵を受けることになるかもしれません。なぜなら、年金積立金は運用によって増やされており、公的年金給付財源の一部となっているからです。

「GPIF」と呼ばれる機関が年金を増やしている

その公的年金の財源の一部である「年金積立金」の管理・運用を行う機関が、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。GPIFによる運用で得られた収益は、私たちの年金にあてられています。

GPIFが積立金の運用を行う目的は、年金制度を継続させていくことです。そのため、長期的かつ安定的に収益を出していく運用方針が求められます。

GPIFは金融市場を泳ぐ「クジラ」と呼ばれる

GPIFが運用する資産は170兆円以上と、2020年度の日本の国家予算である約106兆円を上回る規模。その規模から、世界最大の「機関投資家(投資を行う社団や法人)」といわれています。

豊富な資金力は、日本銀行、共済、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険と並んで金融市場を泳ぐ巨大な「クジラ」に例えられ、その動向は投資家に大きな影響を与えるのです。

コロナショックがあった2020年も黒字化

コロナショックがあった2020年も黒字化

投資家の間では、安定運用で知られるGPIF。新型コロナウイルスの感染拡大が相場をさわがせた2020年でしたが、2020年を通して見るとGPIFは約10億円以上の黒字を出しています。

・2020年1~3月期 約17兆円の損失
・2020年4~6月期 約12兆円の黒字
・2020年7~9月期 約5兆円の黒字
・2020年10~12月期 約10兆円の黒字

2020年を時系列に振り返ると、まず2020年1~3月期にGPIFは約17兆円の損失を計上。コロナショックと呼ばれる株の大暴落の影響もあり、損失の額は運用を始めた2001年度以降、過去最悪となりました。コロナショックの影響は、安定運用を行うGPIFでも避けられなかったわけです。

しかし、続く2020年度4~6月期の運用益は過去最高となる約12兆円。過去最悪の損失を計上した1~3月期から急回復しました。

さらに2020年10~12月期の運用益は、約10兆円の黒字に。黒字は3四半期連続で、黒字の大きさは過去3番目だといいます。

その結果、2020年12月末時点の運用資産額は約177兆円。2019年度末の169兆円を上回り過去最大に。運用を始めた2001年度からの累積収益額は約85兆円となりました。

つまり運用によって85兆円も、年金の財源を増やしたわけですね。

相場が大きく変動した時期に黒字化できたのはなぜ?

コロナショックがあったにもかかわらず、なぜ収益を黒字化できたのか。

その理由はシンプルに「相場の回復を待ったため」だと考えられます。

2020年はコロナショックで、日経平均株価は一時1万円台にまで落ち込みました。しかし2021年には、冒頭でも紹介した通り日経平均株価は30年ぶりの高値更新。3万円台の大台を突破しています。

GPIFは、独自に掲げた運用方針を守りながらも市場の回復を「待つ」ことで、株価上昇に合わせて利益を得られたと考えられます。

安定運用を実践する世界最大規模の機関投資家であっても、短期的には損失を出します。それは、予測不可能な相場変動の影響を受けてしまうためです。

だからこそ長期の資産形成で大事なのは「続けること」。その結果、短期的な相場の上下に一喜一憂することなく、大きな下落を乗り越えていけるわけですね。

一般論として「株価は循環する」といわれています。つまり下落がずっと続くわけではなく、いずれはあがるとされているのです。

GPIFが短期間で出した「損失」と「利益」という結果は、それを表す証拠といえるかもしれません。

GPIFの運用方針は初心者でも真似しやすい

GPIFの運用方針は初心者でも真似しやすい

GPIFはどのような運用方針を掲げているのでしょうか。

まず運用目標を「実質的な運用利回り1.7パーセントを確保できるように、基本ポートフォリオ(保有する各資産の比率)を定め、これに基づき管理を行う」としています。

つまり平均で1.7パーセントの利回りを確保できるように、投資先の資産配分の比率を固定しているわけですね。

では、目標を達成するためにどのような資産配分を行っているのでしょうか。

それが「国内債券」「国内株式」「外国債券」「外国株式」の4資産です。

個別の資産配分を見ていくと、4資産に25パーセントずつ、均等な比率で分散投資を行っています。

GPIFのポートフォリオ
GPIFのポートフォリオ

もともと、2020年3月までは「国内債券:35パーセント」「国内株式:25パーセント」「外国債券:15パーセント」「外国株式:25パーセント」という比率でした。しかし2020年4月1日、約6年ぶりに資産配分の比率を改定。現在は均等な比率で、分散投資を行っています。

GPIFの運用方法はあくまでも王道

GPIFが実践するのは、長期投資。そして国内外の株式や債券への分散投資です。

長期の資産形成では「長期・分散・積立」の原則が大事といわれるように、あくまでも王道の方法を実践しています。世界最大規模の機関投資家といっても、特別な運用を行っているわけではないのです。

結果として、今回のコロナショックも乗り越え、累計で85兆円という収益をあげています。そんなGPIFの4資産に関連する投資信託等をそれぞれ購入するといった方法なら、一般の人でも真似しやすいかもしれません。

参考:
日経平均終値、3万0084円 30年半ぶり大台回復 (外部サイト)
・『GPIF 世界最大の機関投資家 』(東洋経済新報社)小幡 績著
財務省 日本の財政を考える (外部サイト)
年金積立金管理運用独立行政法人 (外部サイト)
10―12月期運用収益額は10兆3528億円の黒字=GPIF (外部サイト)
GPIF:運用益12兆円超と過去最高、外債比率は低下-4~6月 (外部サイト)
GPIF:1-3月期17.7兆円の運用損、コロナ禍で過去最悪 (外部サイト)

・本コンテンツは一般的な情報提供を目的とするものであり、お客さまに証券投資取引に関して何らの推奨・勧誘も目的とするものではありません。

ライタープロフィール
吉田 祐基
吉田 祐基
株式会社ペロンパワークス・プロダクション所属。AFP認定者(2級FP技能士)。タウン誌、編集デザインファーム、大手不動産情報サイト編集記者を経て入社。これまでコンテンツマーケティングや、ミレニアム世代向けビジネスメディア、不動産広告の取材&ライティングなどを手がける。

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