実は日本の電子マネー利用額は世界最大!?キャッシュレスの歴史と未来

実は日本の電子マネー利用額は世界最大!?キャッシュレスの歴史と未来

実は日本の電子マネー利用額は世界最大!?キャッシュレスの歴史と未来

クレジットカードを始め、電子マネーやQRコード決済など、身近にあるキャッシュレス決済。欧米に比べてクレジットカード文化が浸透していなかった日本で広まりつつある理由とは? また今後のキャッシュレスはどのように発展していくのでしょうか。

キャッシュレスの起源

キャッシュレス決済とは、紙幣や硬貨などの現金を使用せずに決済する方法を指します。経済産業省のデータによりますと、日本のキャッシュレス決済比率は約26パーセント(2019年時点)です。
日本はキャッシュレス後進国と呼ばれ、2016年時点でキャッシュレス決済比率96.4パーセントの韓国やイギリスの68.6パーセントと比べると、かなり出遅れていることが分かります。
それでは、実際のキャッシュレス決済の歴史について確認してみましょう。

キャッシュレスの起源

クレジットカードの始まり

キャッシュレス決済と聞くと、最初に思い浮かぶのはクレジットカードではないでしょうか。クレジットカードは、日本のキャッシュレス決済のなかでは一番普及しており、さらに1人あたりのカード保有枚数が世界的に見ても多いのが特徴です。
世界で初めてクレジットカードを作ったとされているのが、アメリカの「ダイナーズクラブ」です。第二次世界大戦が終わってすぐの1950年のことでした。
ダイナーズクラブの創設者の1人が、レストランで食事をした際に財布を忘れたことをきっかけに、手元に現金がなくてもツケで支払いができるクラブを作りました。これがクレジットカードの始まりです。
その後、「マスターカード」や「アメックス」、「VISA」が誕生し、日本では遅れること1961年に、「JCB」が設立されました。
1980年代には、国内のクレジット会社が国際ブランドと提携をしたことで、発行枚数は格段に伸び、私たちの生活にクレジットカードが定着していきました。

デビットカードの普及

1980年代になると、アメリカなどでデビットカードが使われるようになりました。もともと「小切手」の代わりに誕生したのがデビットカードですが、銀行口座から即時払いできることやクレジットカードを発行できない人も利用できる場合があることから、利用者は増加したようです。
日本では1999年に、この仕組みを使った「J-Debit」(ジェイデビット)が導入されました。クレジットカードと同様に、現金を手元に持つ必要がないというのは画期的でしたが、利用できる加盟店がどこなのか分かりづらいなどの理由からなかなか定着しませんでした。
そうした中、2013年以降、クレジットカードの国際ブランドが銀行などの金融機関と連携したデビットカード、通称「ブランドデビット」を発行するようになりました。
使えるお店がクレジットカードの国際ブランドと同じなので、利用できるお店が格段に増え、その利便性が見直されるようになったのです。
そもそも日本では借金をしたくないという風潮が強く、クレジットカードを嫌う人も多いといわれていました。その点デビットカードは預金の範囲内で買い物ができるので、クレジットカードの使用を嫌う人も、デビットカードであれば現金払いの代わりとして使いやすかったのではないかと考えられます。
ただし世界的に見ると、クレジットカードと同様、普及率はまだまだというのが現状です。

電子マネーの普及

電子マネーの普及

フェリカ・NFCなどの技術による独自進化

キャッシュレス決済の普及という点では遅れている日本ですが、実は日本の電子マネー利用額は世界最大であり、決済額は年々増加傾向にあります。 
その代表的な例は、交通系電子マネーの「Suica」です。これはNFCと呼ばれる規格を基に、日本で独自の進化を遂げた「フェリカ(Felica)」を利用したサービスです。
NFCとは「Near field communication(近距離無線通信)」の略語であり、専用リーダーを搭載した様々な機器との無線通信で決済をする方法です。かざすだけで支払いができる「おサイフケータイ」もNFCの仕組みを使用しています。
フェリカはソニーが開発したICカード技術であり、Suicaのほかには、国内の電子マネー「nanaco」や「楽天Edy」などに利用されています。
もともとSuicaがIC乗車券として導入されたのは2001年。電子マネーサービスを開始したのが2004年です。最初は駅のキオスクや自動販売機のみの利用だったものが、街のコンビニでの使用ができるようになったことで、少額決済の利用者が増えました。
通勤定期に利用する人も多いことや、いわゆる「タッチ&ゴー」で簡単に決済ができることもあり、国内の電子マネーの普及においては大きな役割を果たすことになります。
Suicaの発行枚数は、今や8,000万枚を超えています。スマホの普及に伴うモバイルSuicaの展開で、より簡単に決済できることが利用者の増えている理由かもしれません。
即時払いのデビットカード、後払いのクレジットカードと違い、一般的には前払いで支払いをするのが電子マネーです。自分の予算内で利用できることが安心感につながり、日本では普及したのではないでしょうか。
ただ残念ながら、フェリカのサービスは日本以外ではほとんど使えないのが現状です。

コード決済の躍進

一方、近年キャッシュレス決済のなかで躍進しているのが、QRコードやバーコードで決済する「コード決済」です。
世界的に見ると、コード決済が普及しているのは中国です。QRコード決済は、自身のスマホでQRのコードを表示するか、お店のQRコードを読み込んでスキャンし、支払いをします。
その中国でもっとも使われているのが「アリペイ(Alipay)」です。もともとはアリババ社の運営するショッピングモールの支払いサービスとして、2004年に誕生しました。中国の電子マネーのなかでは、2019年末の時点で市場シェアが50パーセント以上あり、今や支払いだけではなく、病院の予約や保険といった金融サービスの利用など、生活アプリとして欠かせない存在になっています。
日本では中国からのインバウンド需要の高まりから、2015年よりアリペイが導入され、利用できる小売店の数が増えました。その後、PayPayやLINE Payなど、コード決済に新規参入する企業が増えました。
2018年には、PayPayが百億円規模のキャッシュバックキャンペーンを行うなど、コード決済の認知が一気に広がったと言えるでしょう。導入する事業者にとっても、クレジットカードに比べて導入の手軽さや手数料の安さもあり、受け入れやすいようです。

日本のキャッシュレスはどうなるのか?

日本のキャッシュレスはどうなるのか?

キャッシュレスビジョン

2018年に経済産業省が策定した「キャッシュレスビジョン」では、現在約26パーセントのキャッシュレス決済比率を2025年の大阪万博までに40パーセント、将来的には世界最高水準の80パーセントをめざすことを宣言しています。
そもそも日本のキャッシュレスが進まない理由は、治安が良く、現金に対し高い信頼性があることが挙げられています。ほかの国では、盗難や偽札、脱税などの犯罪対策として政府主導でキャッシュレスを進めた背景がありました。
しかしデジタルな手段で支払いが行われれば、データが蓄積、活用され、それにより国全体の生産性が向上し、お店や消費者、支払いサービス業者もそれぞれが付加価値を享受できる社会が実現できる可能性があります。

キャッシュレスを推奨する理由

キャッシュレスによるメリットをより詳細にみていきましょう。政府がキャッシュレスを後押しするには、大きく分けて3つの理由があります。

1.消費者の利便性の向上

日本では治安が良いことから現金を持ち歩いても安全である、との認識が高いですが、消費者にとってもお金を持ち歩かなくて良いメリットは大いにあるといえるでしょう。
ATMでお金をおろす手間だけではなく、時間外にお金をおろした際に必要な手数料もなくなります。
またキャッシュレス決済をすると、自分の買い物の履歴が残ります。自動家計簿などを利用すれば家計管理も楽になるかもしれません。

2.店舗の効率化・売上拡大

店舗にとっては、現金の管理がいらなくなることが大きなメリットです。このことで生産性が向上することが期待できますし、もちろん現金輸送費なども削減することができます。
会計時に、現金のやりとりでの接触機会が発生しないことから、新型コロナウイルス感染症の予防にもキャッシュレス決済は有効といわれています。インバウンドの需要においても、日本へ訪れる旅行者の約半数は中国、韓国とキャッシュレスが浸透した国からの旅行者で占められているため、キャッシュレスによりさらに観光客を取り込むことが可能になるでしょう。

3.データの蓄積・活用

データの活用については賛否ありますが、企業が個人の購買データを分析することで、消費者の動向を知り、マーケティングがしやすくなります。AI分析も可能になり、より効率的に生産や供給を行うことができます。

まとめ

身近に感じることが増えてきたキャッシュレス決済ですが、日本は世界的に見るとまだまだ広まっているとはいえません。しかし私たち消費者にとっても、お店にとっても、支払いサービス事業者にとってもメリットがあれば、自然と利用する人が増えていく可能性があります。キャッシュレス決済は慣れてしまえば便利であり、政府もキャッシュレス決済を勧めています。自分に合った方法で、活用してみるのも良いのではないでしょうか。

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ライタープロフィール
ikumi
ikumi
国内大手証券会社で約10年間、資産運用コンサルティングビジネスに従事。有価証券・不動産運用、保険、相続・事業承継対策等を資産にまつわる相談に対応。
主人の転勤を機に退職し、専業主婦へ。2019年より家計管理と運用、FPとしての実務経験をもとに、金融系ライターとして執筆活動中。

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