海外のお金で預金する外貨預金

私たちは普段、日本の通貨である「円」を金融機関に預けています。これに対し、外貨預金では円ではなく、米ドルやユーロを始めとした海外の通貨=外貨を預金します。円で預金するので「円預金」、外貨で預金するので「外貨預金」と呼ぶのです。
外貨預金に対して難しいイメージを持つ方もいるかもしれませんが、預ける通貨が円から外貨に変わるだけで、金利に応じた利息がつくという基本的な考え方は同じです。
ただし、外貨預金には注意点もいくつかあります。そこで、この記事では外貨預金の特徴や注意点などについて解説します。「外貨預金を始めてみたいけれど、よく分からない」という方はぜひ参考にしてみてください。
外貨預金の特徴
円預金よりも比較的金利が高い傾向にある

一般的には外貨の方が円よりも金利が高く、もらえる利息も多くなる傾向にあります。例えば、代表的な外貨である米ドルの普通預金と円普通預金とでは金利に10倍(※)の差があります。

定期預金においてもその傾向は同様です。

外貨の種類や金融機関によって異なりますが、長期の運用では円の定期預金よりもリターンを狙える可能性が高いといえます。
為替相場の影響を受ける
ある国の通貨と別の国の通貨の交換はそれぞれ「1ドル=100円」「1ユーロ=120円」といった比率で行われます。この比率を為替相場、あるいは為替レートと呼びます。
為替相場はその通貨の需要によって日々増減します。例えばある時点の為替相場が「1ドル=100円」だったとしましょう。
その後、円からドルに換える人が増えて相対的に円の需要が減ると、「1ドル=120円」というように1ドルあたりの円の価値が下がります。これが円安です。一方、円の需要が増して「1ドル=80円」のように円の価値が上がることを円高と呼びます。
外貨預金ではお金を預け入れるときに円を外貨に、お金を引き出すときに外貨を円に換えるため、為替相場の影響を受けます。では、具体的にはどのような影響があるのでしょうか?
例えば為替相場が1ドル=100円のときにお金を預けたとします。このお金を引き出すときに「1ドル=110円」の円安(①)になっていたとすると、10円の利益が発生します。反対に「1ドル=85円」の円高(②)になっていたとすると15円の損失が生じてしまいます。

※1 上記チャートにおける「①円安時」、「②円高時」は、円から外貨へ交換する際に適用する手数料を含んだみずほ銀行のTTSレート・外貨から円に交換する際に適用する手数料を含んだみずほ銀行のTTBレートに準じ、TTBレートをお預け入れ時点の<TTSレート1米ドル100円>と比較したものです。
※2 みずほ銀行ではお客さまのご希望により、満期日の前営業日まで為替予約を締結することができます。
このように、引き出すタイミングによって円での保有資産が増減する点も外貨預金の特徴です。なお、為替で得た利益を為替差益、生じた損失を為替差損と呼びます。
外貨預金の注意点

このような性質などを踏まえ、外貨預金には以下のような注意点があります。では、一つずつ見ていきましょう。
為替相場によっては大きな損失が出てしまう場合も
前述のように、外貨預金は為替相場の影響を大きく受けます。1ドル=100円のときに預けて、1ドル=50円のときに引き出した場合、保有資産は半分に。引き出すときは為替相場に注意して、円高の時はそのまま預けておくのも一つの手です。
原則、為替手数料がかかります
円を外貨に、あるいは外貨を円に換えるときにはそれぞれ為替手数料が発生します。

※あくまでも参考例です。
手数料は公示仲値という基準値を基に決められます。上の図では公示仲値が100円=1米ドルです。このとき、円から米ドルへの換金には100円につき1円の手数料を足されます。逆に米ドルから円に換えるときは手数料の1円を引いた99円=1米ドルのレートが適用されます。
往復分の為替手数料と比べて預け入れたときより円が安くなっていないと、元本割れの危険性が高まります。為替手数料は外貨毎に定められているので、リスクを抑えるためにも自分が預け入れる外貨について事前にチェックしておくと良いでしょう。

※あくまでも参考例です。
※1 ※2「片道」とは、円を外貨に変えること。「往復」は片道に加え、外貨を円に戻すことを指す。
保険制度の対象外
金融機関に預けている預金はその金融機関が破綻してしまうと引き出せなくなってしまいます。そうなると困るため、私たちの預金は預金保険制度によって守られています。
通常、預金保険制度では金融機関が破綻した場合に預金などに対して元本1,000万円までとその利息などが保護されます。
しかし、同じ預金でも外貨預金はこの制度の対象外です。万が一のときに補償を受けられないという点には注意しましょう。
円預金との違い
では最後に円預金と外貨預金の違いについてまとめましたので、参考にしてみてください。

外貨預金は為替相場の変動を受ける、預金保険制度の対象外といった面から円預金よりもリスクが高いといえます。しかし円預金と比べると金利が高く、また為替相場によっては利益が発生する可能性もあります。
円預金よりもリターンを狙いたい場合は、外貨預金も投資の選択肢の一つといえるでしょう。
外貨預金で扱う外貨の種類

さて、金融機関によって異なりますが、外貨預金で預けられる外貨は複数から選ぶのが一般的です。以下に、主な通貨の特徴をまとめました。

※1 2020年12月下旬時点の定期預金の年率、預け入れ期間1年の場合
基本的に先進国の通貨は比較的金利が低い代わりに、為替手数料が安く値動きも小さい傾向にあります。一方、今回は紹介していませんが新興国の通貨は先進国と比べて為替手数料が高く値動きも大きい傾向にありますが、金利が高い通貨が多いとされています。それぞれを比較して自分のリスクとリターンにあった外貨を選ぶと良いでしょう。
投資の選択肢はほかにも!
今回は外貨預金についてご紹介しました。基本的な運用方法は円預金と似ているため、外貨での投資先としては比較的ハードルが低いといえます。一方、「よりリスクを狙いたい」「為替相場の影響がない投資がしたい」という方は、ほかの手段も検討してみてはいかがでしょうか?
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ライタープロフィール

主にマネー系コンテンツ、広告ツールを制作する株式会社ペロンパワークス・プロダクション所属。立教大学卒業後、SE系会社を経て2019年に入社。主にクレジットカードやテック関連のWEBコンテンツ制作や企画立案、紙媒体の編集業務に携わる。
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