「桐谷さん」が語る、株主優待の第一歩。配当利回り+株主優待で考える選び方とは?

「桐谷さん」が語る、株主優待の第一歩。配当利回り+株主優待で考える選び方とは?

「桐谷さん」が語る、株主優待の第一歩。配当利回り+株主優待で考える選び方とは?

元プロ棋士で個人投資家の桐谷広人さん。配当金と株主優待のみで生活し、講演会や雑誌の取材、さらにはバラエティ番組への出演など多方面で活躍されています。今回は、そんな桐谷さんに株主優待の基礎知識や活用術などをお聞きしました。

日本独自の制度「株主優待」

――株主優待を行う企業が年々増加していますが、そもそも「株主優待」とはどんなものなのでしょうか?

桐谷氏:一言でいうと企業からのプレゼントのようなもの。海外にはあまりない、日本独自の制度です。株式市場が開設された明治時代に、某鉄道会社が株主に電車賃特典を付けたのが株主優待の始まりといわれています。

株の上場は資金調達が目的なので、株を買わない人が増えると、企業はお金を集められなくなってしまう。つまり配当金のほかに優待品を付けることで、株主を増やそうと考案された制度なのです。株主優待を行うことで消費者との連帯感が生まれるというメリットも企業側にあります。

――プレゼントのような位置づけなのですね。ちなみに何株から優待は受けられますか?

桐谷氏:現在上場している企業は3,700社ぐらいあり、そのうちの約1,500社が株主優待を行っています。「100株」から優待を受けられる企業が9割以上です。1株30円くらいだと1万株から購入可能というケースもあります。株主優待の権利を得られる「権利付き最終日」の3ヵ月後くらいに、商品券や食事券、クオカード、名産品、ギフトカタログなどが自宅に送られるという仕組み。株価の値下がりに関係なくもらえるのも特徴です。

リーマンショックを優待品で乗り越えた桐谷さん。そのライフスタイル

リーマンショックを優待品で乗り越えた桐谷さん。そのライフスタイル

――桐谷さんといえば、株主優待をフル活用した生活で注目を浴びていますが、きっかけを教えてください。

桐谷氏:私が株を始めたのは36年前で、当時は平均株価が9,000円で、5年くらいで3万8,915円という市場最高値を付けたんです。バブルの波に乗ってどんどん上がっていて、“(株は)買えば上がる”と思い込んでいましたね。そんななか1990年にバブルが崩壊して株が暴落し、一気に大損したという(笑)。その後は大儲け・大損の繰り返しです。

リーマンショック時には信用取引をやっていたのもあって、予想以上にダメージを受けました。その頃は将棋を引退していたし、58歳で年金もまだもらえない。本当につらかったですね。「株を止めたら?」という友人もいましたが、大損したところで止めるって悲しいじゃないですか。意地で持ち続けていたところ、優待品は引き続き送られてきたので、それらで数年間しのぎました。

家賃や公共料金を合わせて15万円くらい必要でしたが、株の配当以外現金収入がないので、優待券を金券ショップに売って支払いにあてました。あと現物で届いたお米や、豆腐券で豆腐を買ったりして生きていました。そうやってしのいでいるうちに株価が戻ってきたんです。苦しいリーマンショックを優待品で乗り越えたことが今の私につながっていますね。

――株主優待生活を始めてから、ライフスタイルに変化はありましたか?

桐谷氏:優待で届く商品券やクオカードをスーパーやコンビニなどで使うので、現金は全く使っていません。家賃や公共料金は配当が入る口座から引き落とされています。ちなみに今持っているクオカードは1,000枚ほど。200万円分ぐらいはあるかな。この部屋にある時計やタオル、コーヒーなども全て優待でもらったものです。

商品券には期限がありますので、メモをとってきちんと把握しています。私は今70歳ですが、同い年の友人は家でテレビを見てばかりという人がほとんど。優待券があると「使わなきゃ」という気持ちにかられ、外出も多くなります。運動になるし、健康にもいいかなと。

専用ケースに入れられたクオカードや商品券。本屋やドラッグストアでも使用するという
専用ケースに入れられたクオカードや商品券。本屋やドラッグストアでも使用するという

桐谷さんお気に入りの優待は?

――株主優待目当てで継続的に持ち続けている株はありますか?

桐谷氏:株主優待のある株は1,000社ほど持っていて、そのうち800社くらいは継続しているものです。一番長く持っている株は大手証券会社のもの。買った当初、優待はありませんでしたが、現在は2,000円相当の商品が選べるカタログが年に2回届きます。260万円で買って、今40〜50万円と下落しているので約200万円の損になりますが、年に2回好きなものを選べるのはうれしいですね。慰められるというか。

気に入っているのは大手総合リース会社の株です。配当がいいうえ、2015年から“ふるさと優待”というのをやっていて、5,000円相当の商品をカタログから選べます。この企業はリーマンショック後に株価が20分の1ほどになってしまったのですが、「個人投資家を大事にしなきゃいかん」という経緯でこのような素晴らしい優待になったらしいです。2014年に4万5千人だった株主が、現在は約44万人まで増えたほど。

また映画会社の優待もいいですね。最初は鑑賞券を金券ショップで売ることが目的でしたが、ある時から映画会社のシステム変更で売れなくなってしまったんです。もう自分で観るしかなく、暇があれば映画館に行っています。今や年間100本ぐらいは観るほどです。そのおかげで映画評論という仕事をいただけて、ジョニー・デップさんやスティーブン・スピルバーグ監督にお会いすることもできました。英語が喋れないので会話はしませんでしたが、一緒に写真を撮りましたよ。

優待にまつわる郵便物や商品券など。この量でも全体のほんの一部とのこと
優待にまつわる郵便物や商品券など。この量でも全体のほんの一部とのこと

ポイントは配当利回り+株主優待=4%以上

――株主優待目当てで株投資を始める際のポイントを教えてください。

桐谷氏:現在では5万円以下で株主優待が受けられる企業は100社以上あります。まずは5万円の投資で1,000円〜2,000円のクオカードがもらえるような優待がいいでしょう。近年では5万円を定期預金にしてもほとんど利息がつきませんから、株主になってクオカードをもらって節約するという体験を1回してみると、感覚がつかめると思います。

社会的な意義を考えてみると、自分が投資した5万円で企業が技術革新したり、新しい工場を作ったりすることができるわけです。株価が上がると還元され、最終的には日本経済のためにもいいものなんですよ。始めるにあたっての理想は4〜5万円の銘柄を5つぐらい買う、分散投資。そうすればバランスも保てます。配当利回りと株主優待を合わせて4%以上が見込める株がおすすめです。つまり、配当利回りが2%でも、5万円分の株で1,000円分のクオカードがつけば、4%の利回りということになります。

――初心者が気をつけるべき注意点はありますか?

桐谷氏:良すぎる優待はすぐに終了する可能性もあるので注意しましょう。株価が1万円にもかかわらず年に1回、2万円弱のエステが受けられるという優待が以前ありましたが、1年で終了していましたね。宣伝目的のようなものもあるので、その見極めもとても重要です。

また、本や雑誌で優待投資家の意見を参考にするのもいいでしょう。インターネットで「株主優待」で検索して情報収集するのも一つの手です。株主優待についてブログを書いている人も大勢いますから。

取材中にも優待品が宅配便で到着。下関の企業より届けられたのは地元の名産品、ふぐを使用した雑炊や珍味など
取材中にも優待品が宅配便で到着。下関の企業より届けられたのは地元の名産品、ふぐを使用した雑炊や珍味など

・本記事の内容は2020年9月に実施したインタビューに基づくものです。
・株主優待券につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で企業によって利用ルールが変更となる場合もございますのでご注意ください。

この人に聞きました
桐谷広人さん
桐谷広人さん
1949年広島生まれ。元プロ棋士で、現在は個人投資家。
株主優待を利用するライフスタイルと温厚な人柄で有名に。
ライタープロフィール
松本 奈穂子
松本 奈穂子
大学卒業後、メーカー、ITベンチャーを経てフリーランスライターとして活動スタート。雑誌、書籍、広告媒体、記事広告、Web、フリーペーパーなどメディア全般を制作。ライフスタイル、旅、グルメ、金融、教育、家電、イベント等の記事を執筆中。渡航国は現在50ヵ国。

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