『世界一楽しい決算書の読み方』の著者、大手町のランダムウォーカーが語る!決算書の魅力とは?

『世界一楽しい決算書の読み方』の著者、大手町のランダムウォーカーが語る!決算書の魅力とは?

『世界一楽しい決算書の読み方』の著者、大手町のランダムウォーカーが語る!決算書の魅力とは?

決算書を読む面白さを伝えた書籍『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方』の著者である、大手町のランダムウォーカーさんにインタビュー。決算書の魅力を語っていただきました。

そもそも「大手町のランダムウォーカー」って何者?

公認会計士試験に合格後、大手監査法人での勤務を経て独立。現在は株式会社Fundaにて「会計クイズ」というコンテンツを運営するほか、企業研修やコンサルティング業務も行っている、大手町のランダムウォーカーさん。

「日本人全員が財務諸表を読める世界を創る」を合言葉に、「会計クイズ」をはじめとして、コラボイベントを行うなど様々な業種や立場の人々をインターネット上で巻き込み好評を博しています。Twitterのフォロワー数はなんと6万人超え!

決算書の読み方を伝えはじめた理由

――「会計クイズ」によって、会計への苦手意識がなくなった人が増えているようですね。始めたきっかけを教えていただけますか?

正直にいうと、私は公認会計士ながらも合格した時点では財務諸表を読むのが少々苦手でした。「公認会計士なら財務諸表なんて読めて当然」と思われがちですが、試験問題は意図的に並べたデータであり、背景に本物のビジネスデータがあるわけではありません。また試験では、財務諸表を「作る」知識が問われることが多いという印象です。

そこで読めるようになるにはどうしたら良いのかと考えた結果、生きた財務諸表を読みまくるしか方法がありませんでした。財務諸表は人によって見方が大きく異なるので、様々な意見を集めたいという願望もありますね。

――財務諸表って、立場によってそんなに見方が違うものなのですか?

例えば銀行は、お金を貸す会社の財務諸表を「この人に貸して返してもらえるのか」という視点で見ていることが多いと思います。一方で投資家の場合は、会社の成長性に焦点を当てます。つまり、同じ財務諸表でも、銀行と投資家では出てくる意見がそれぞれ違うんですよ。

――ちなみに転職する時も、会社の財務諸表をチェックすべきでしょうか?

絶対に見るべきですね。財務諸表という一次情報を当たらずして会社を深く知ることはできないでしょう。理解するうえではマストではないかと。

――数字はうそをつかないということでしょうか?

そうです。ウチの会社はこんなところが魅力です、組織文化が良いです、といった定性情報だけでは判断が難しい。数字という定量的な情報を収集するのはやっぱり大事かなと思います。

――破綻する企業の財務諸表には何か予兆があるのでしょうか?

一概にはいえませんが、倒産する兆候のようなものは必ずありますね。それを読めると読めないとでは、だいぶ変わってくるかと思います。

――財務諸表上の兆候とは、具体的にはどういったものでしょうか。

現金が少なくなってくるのが兆候の一つです。売上と利益が立っていても、現金が減ってきたら危ない。支払いができなくなり、不渡りが生じて、事業活動が継続できなくなります。だからこそ、キャッシュフロー計算書という現金の増減だけを計算する財務諸表があるぐらいですので。現金はめちゃくちゃ大事です。

――経営層でなくても決算書を読めることは強みとなりますか?

そうですね。個人的には、英語やITスキルよりも使えるかと思います。英語ができても英語を扱う仕事をしなければ役に立たない。ですが、財務諸表を読む知識は業種に関係なく、会社という組織に属している限り必須です。自分の仕事が会社の売上にどれだけつながっているかを知ることができます。全体像をつかめなければ、「何のために働いているんだっけ?」と自分の役割の意味を見失いかねません。

会計のイメージを一新した『世界一楽しい決算書の読み方』

――書籍を出版したことで得られた、気づきや学びがありましたら教えてください。

思った以上に世のなかの人が会計に興味を持っていると分かったのが、新たな発見でした。会計にまつわる本といえば、これまでは「会計に関わる層」にしか読まれないという傾向だったので。分かりやすいテイストにしたことで、気軽に買っていただけたようです。

――なぜ、会計を「クイズ」という形式にしたのでしょうか?

たくさんの人の意見を集めたいというのが大きな理由ですね。講演のように一方的に伝えるだけだったら、反応してくれる人は少なかったと思います。クイズにすることで、色々な意見を収集できます。書籍のレビューを見る限り、クイズ形式は好評を得ているようです。

――レビューは、やはりチェックしますか?

もちろん見ていますよ。レビューを書いてもらえるのは、単純にうれしいです。「人生を変える本になる」と書いてくださっているレビューがあって、そんなふうに思っていただけたことは本当にありがたかったです。

――中には厳しいコメントもあると思いますが、そのようなものも見られますか?

もちろんです。むしろ、否定的なご意見こそコンテンツの改善には必須だと思っています。コンテンツ自体もまだ完全ではなく、確実に改善点はありますし。むしろ否定的なコメントをガンガン見にいっているぐらいです。

――どんな年代の人が本を購入していますか?

20〜40代と幅広いですね。学生が就活で利用することもあるようです。また、例えば部長に昇進する時など、役職が上がるタイミングは財務諸表を読む機会も増えますが、これまで全く読んだことがなく「何から手をつけて良いか分からない」という人が意外と多いようです。そういった層にも読んでいただけています。

――部長になって初めて財務諸表を見る人もいるんですね。「読める・読めない」というのは年齢や職歴とあまり関係しないということですか?

その通りです。いわゆる一流大学卒の人でも、読めない人はたくさんいます。なんなら、会計士試験は東大卒が受かりやすいということもありません。高卒でも受かる人は一発で受かる。会計って、基礎教養とあまり関係ない世界なんです。だからいつ始めても遅くないといえます。

身近な企業の財務諸表であれば、おのずと推測しやすい

――初心者が面白みを感じやすい決算書があれば教えていただけますか?

(c)2020@OTE_WALK ※HP及び直近の有価証券報告書を元に作成
(c)2020@OTE_WALK ※HP及び直近の有価証券報告書を元に作成

誰もが知っているような、大手小売チェーンの決算書は面白いですね。例えば、上の損益計算書は、コンビニエンスストア、100円均一ショップ、大手古本屋ですが、同じ小売チェーンでも財務諸表の形が明らかに異なります。企業のビジネス形態を捉えて分析することができますよ。

(c)2020@OTE_WALK ※HP及び直近の有価証券報告書を元に作成
(c)2020@OTE_WALK ※HP及び直近の有価証券報告書を元に作成

ちなみに正解は、左が「100円均一ショップ」、中が「コンビニエンスストア」、右が「大手古本屋」になります。お店で売っているものの原価率だけが損益計算書に表示されるわけではないということが分かります。コンビニエンスストアの売上高には「フランチャイズ」と「直営店」両方の収入が表示される一方で、原価については直営店分しか表示されないんですよ。

身近な興味のある会社の決算書を読んでみよう

――決算書を楽しく読むにあたり、どんなことが大切なポイントになりますか?

まずは興味のある会社の決算書を読んでみるのがおすすめです。自分や家族の会社など、興味ベースで読めば面白みを感じられるのではないでしょうか。あとは、よく利用するお店や鉄道会社ですね。身近な企業はどれくらいの利益を出しているのか知っていくと、楽しみながら学べると思います。

会計へのイメージを一新し、世のなかにないコンテンツを作り上げた、大手町のランダムウォーカーさん。会計に苦手意識のある人はもちろん、無縁だった人も、まずは身近な企業の決算書から読んでいけば、新たなビジネス視点や価値観が創造できるかもしれません。

この人に聞きました
大手町のランダムウォーカー
大手町のランダムウォーカー
Twitterアカウント「大手町のランダムウォーカー(@OTE_WALK)」で財務諸表のクイズを発信中。公認会計士試験合格後、大手監査法人勤務を経て独立。著書に『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる世界一楽しい決算書の読み方』。
ライタープロフィール
松本 奈穂子
松本 奈穂子
大学卒業後、メーカー、ITベンチャーを経てフリーランスライターとして活動スタート。雑誌、書籍、広告媒体、記事広告、Web、フリーペーパーなどメディア全般を制作。ライフスタイル、旅、グルメ、金融、教育、家電、イベント等の記事を執筆中。渡航国は現在50ヵ国。

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