マイナンバーカードの機能とリスクとは?話題のマイナポイントってどんなもの?

マイナンバーカードの機能とリスクとは?話題のマイナポイントってどんなもの?

マイナンバーカードの機能とリスクとは?話題のマイナポイントってどんなもの?

マイナポイントがもらえる、保険証として使えるようになるなど、何かと話題の「マイナンバーカード」。わざわざ作る必要があるのだろうかと悩んでいる人向けに、マイナンバーカードの機能やリスク、さらに話題のマイナポイントについても詳しく解説します。

マイナンバーカードの基本的な機能を知ろう

まずは「マイナンバー(個人番号)」について少しおさらいしましょう。マイナンバーとは、日本に住民票を持つすべての人(外国人も対象)に一人に一つだけ割り当てられた12桁の番号です。この番号は、引っ越しや転職、結婚などをしても変わることがなく、原則として一生涯、同じ番号を使うことになります。

従来は、行政機関や地方公共団体などがそれぞれ独自の番号で個人情報を管理していたため、個人情報の取り出しに時間がかかり、私たちも行政手続きの際に複数の機関に申請をしなくてはならないといった点が課題となっていました。それを解消するため、2013年5月にマイナンバー法が成立。「社会保障」、「税」、「災害対策」の3分野で共通となるマイナンバー(個人番号)が導入され、個人情報の特定がスムーズになりました。役所に手続きに行くたびに、住民票の写しや住民税課税証明書を提出するなど、様々な書類の準備をしなければいけない煩雑さが、マイナンバーの導入で随分簡略化されつつあるのです。

ただ、マイナンバーの「通知カード」(薄緑で紙製)は対象者全員に郵送されましたが、「マイナンバーカード」は、申請をしないと入手できません。マイナンバーカードはプラスチック製のICチップ内蔵のカードで、表面には顔写真、氏名、住所、生年月日、性別が、裏面に12桁の番号が記載されています。発行料は当面の間無料です。

運転免許証を持たない人や未成年の人などは、マイナンバーカードを正式な身分証明書として使えるほか、パスポートを作ったり銀行口座を開設したりするときなどに、マイナンバーと本人確認の両方がこの1枚の提示で済みます。また、政府が運営する「マイナポータル(子育てや介護などの行政手続きがオンラインでできるサービス)」にログインしたり、コンビニエンスストアで住民票や印鑑証明書などを発行したりすることもできます。

さらに、マイナンバーカードは今後、健康保険証としても使えるようになり(2021年3月試行)、そのほかにも医療、就労、証明書、公共サービスと様々な場面で活用できる範囲が拡大していく予定です。

マイナンバーカードのリスクとは?

マイナンバーカードは無料で発行できますが、それでも「個人情報がカードに入っているのが不安」「情報漏洩のリスクがあるのではないか」と感じて、発行を迷っているという人も多いのではないでしょうか。

まず、マイナンバーに紐づく個人情報は特定の行政機関で一元管理しているのではなく、各行政機関が分散管理をしています。さらに、マイナンバーカードの券面は偽造困難な仕様で、内蔵されたICチップには最低限の情報しか記録されておらず、不正にアクセスしようとすると自動的に消去する機能も搭載。使用時には暗証番号が必要で、一定回数以上間違うとカードはロックされるという機能もあります。

マイナンバーカード自体に重大な個人情報が記録されているわけではないので、仮にマイナンバーカードを盗まれてしまった、紛失してマイナンバーが第三者に知られてしまったという場合でも、すぐさまマイナンバーカードから個人情報を引き抜かれるような仕組みではないのです。

しかし、一方で、マイナンバーカードが悪用されるリスクはないとはいえません。マイナンバーカードが身分証として使えることは便利ですが、顔写真が差し替えられたり、ICチップの電子認証を悪用し、なりすましによる行政手続きが行われるといった可能性も、ゼロではないかもしれません。

先々にはマイナンバーカードに運転免許証を統合する案なども検討されており、機能が増えて便利になるにつれ、リスクも増えていくことが想定されます。当然、想定されるリスクへの安全対策も厳しく行われていくはずですが、「マイナンバーカードはあらゆるリスク対策が行われているから100パーセント安全だ」とは言い切れないというのが実際のところでしょう。

マイナンバーカードの機能が充実していき1枚で何でもできるようになれば、その利便性から魅力は増していくでしょう。ただし、クレジットカードや身分証明書の管理をきちんとするのと同様に、マイナンバーカードも当然、持ち主がしっかりと管理することが重要になります。もしも盗難や紛失をしてしまったら、マイナンバー総合フリーダイヤル(24時間365日受付)に電話しカードを停止したり、警察へ遺失届を提出するなど、迅速に対処することも必要です。

今話題のマイナポイントとはどんなもの?

マイナンバーカードは、今のところあまり使用する機会がない、あるいはセキュリティが心配といった理由などから、普及率が2020年7月時点で17.5パーセントと低調です。そこで、マイナンバーカードの普及やキャッシュレス決済の利用促進、消費の活性化を目的に実施されるのが、「マイナポイント」という施策です。マイナンバーカードを持っている人がキャッシュレス決済で品物の購入やチャージをすると、利用額の25パーセント(上限は5,000円)がポイントとして付与されるというものです。2万円の買い物に対して5,000円分のポイントが付与されると考えると、かなりお得といえるのではないでしょうか。

マイナポイントを利用するには事前に手続きが必要です。手続きの前に、マイナンバーカードを持っていない人は申請をして入手しましょう。マイナンバーカードは、スマホ、パソコン、街中の証明写真機、郵便という4つの方法で申請が可能です。地方公共団体情報システム機構が運営する「マイナンバー総合サイト」に詳しい手続き方法が載っています。

マイナンバーカードを入手した上で、スマホやパソコンからマイナポイントの予約を行い、キャッシュレス決済サービスを一つ選んで申し込みをします。注意したいのは、すべてのスマホで手続きができるわけではなく、マイナンバーカード読み取り対応機種に限られるということ。ちなみに、日本で最もシェアの高いiPhoneは対象となっています(iPhone7以降)。また、パソコンの場合は、ICカードリーダライタが必要です。スマホやパソコンでの予約や申し込みができない場合は、市区町村窓口・郵便局・コンビニ(マルチコピー機・ATM)・携帯ショップ・みずほ銀行窓口などの「マイナポイント手続きスポット」で手続きすることもできます。

※ポイント付与のタイミングはキャッシュレス決済サービスや申込み時の選択によって異なります
※ポイント付与のタイミングはキャッシュレス決済サービスや申込み時の選択によって異なります

マイナポイントで選べる決済サービスは、各種クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードのほか、SuicaやPASMO、WAON、nanacoといった電子マネー、J-Coin Pay、PayPay、LINEPay、楽天ペイ、ゆうちょPayなどのQRコード決済と、選択肢が非常に多岐にわたっています。ポイントは選んだ決済サービスに付与されるため、普段から自分が使っている決済サービスを選ぶのがおすすめです。対象となる決済サービスの一覧は総務省のマイナポイントサイトに掲載されているので、申込前に確認しましょう。

参考:マイナポイント事業 - 総務省(外部サイト)

マイナポイントの予約は2020年7月1日から始まっており、ポイントの付与は2020年9月~2021年3月まで実施されます。マイナポイント施策はCMなどでも大々的に宣伝をしていることから注目度が高く、現在はマイナンバーカードが届くのに時間がかかることから、マイナンバーカードを持っておらず、マイナポイントをもらいたいという人は、手続きを早めに行うほうが良いでしょう。

ここまで解説したように、マイナンバーカードは各種申請を効率化できるだけでなく、今後もどんどん用途が拡大されていく予定です。さらに、2021年の3月までマイナポイントがもらえるというお得さも魅力です。個人情報に対するセキュリティについては過剰に不安視する必要はありませんが、持ち主がきちんと管理することが求められることも理解したうえで、活用していくと良いでしょう。

・QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

ライタープロフィール
西園寺 玲子(回遊舎)
西園寺 玲子(回遊舎)
金融を専門とする編集・制作プロダクション回遊舎にて、投資や年金分野を中心に編集・執筆を行う。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。

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