妊娠したら考えたい、お金の準備。出ていくお金と利用できる制度は?

妊娠したら考えたい、お金の準備。出ていくお金と利用できる制度は?

妊娠したら考えたい、お金の準備。出ていくお金と利用できる制度は?

妊娠と同時に必要になるのが、子供にかかるお金。妊娠から大学卒業まで、いくらかかるのでしょうか?データを見ると、その数字に驚く人も少なくないはず。奨学金など利用できる支援もありますが、一番大切なのは、早いうちから計画を立てておくことです。

妊娠したら覚えておきたい!7つの助成・制度

妊娠したら覚えておきたい!7つの助成・制度

妊娠し、家族が増えるのはとても嬉しいことです。けれど、妊娠してから出産するまで、どのくらいお金が必要か分かりますか?

妊娠・出産は病気ではないため、健康保険がきかず、費用は全額自己負担になります。でも、ご心配なく。実は妊娠・出産・子育てを応援する制度がたくさん用意されているのです。

妊娠が分かり、赤ちゃんを迎えるまでに覚えておきたい、7つの助成や制度をまとめたので、見てみましょう。

1.妊婦健診費の助成

まずは、「妊婦健診費の助成」。妊娠すると週数に応じて、内診や血液検査、エコーといった妊婦健診を原則14回受けますが、費用の一部について国の助成を受けることができます。

2.傷病手当金

妊娠中は、つわりや切迫流産・切迫早産など、予想外のトラブルで、会社に行けなくなることも。勤め先を連続して3日以上休むことになった場合は、会社員なら4日目から、「傷病手当金」が支給されます。勤め先の健康保険や共済組合に加入している人が対象で、日給の3分の2に相当する手当金がもらえます。

3. 出産育児一時金

出産にかかる費用もサポートが受けられます。2017年の出産費用の平均は、505,759円(国民健康保険中央会の調査結果より)。ですが、「出産育児一時金」として、子供一人につき基本42万円が健康保険から助成されるため、実際に支払うのは、出産費用から助成金を引いた金額で済みます。

4. 高額療養費

万が一、帝王切開になった場合は、「高額療養費」が使えます。前述の通り、妊娠・出産には健康保険が使えませんが、帝王切開は治療とみなされるので、健康保険が適用され、自己負担金限度額を超えた分の金額が補助されるのです。

5. 医療費控除

なお、妊娠・出産でかかった医療費の領収書は、きちんと保管を。家族全員の医療費の合計が1年間で10万円を超えた場合は、確定申告で「医療費控除」を申請することができます。

6. 出産手当金・育児休業給付金

社会保険に加入していて、産後も仕事を続ける人は、産休中・育休中の生活をサポートする「出産手当金」と「育児休業給付金」が受給できます。

「出産手当金」は、日給の3分の2相当額を98日分。「育児休業給付金」は、育休開始後に月給の50~67パーセントがもらえます。「育児休業給付金」は、雇用保険に入っていて、諸条件を満たしている人が対象となるので、パート、アルバイトの人も条件を満たせば受け取ることが可能です。

7.児童手当・乳幼児の医療費助成

未就学児からの子育て支援制度には、「児童手当」と「乳幼児の医療費助成」があります。「児童手当」は、中学卒業までの子供がいる世帯がもらえるお金で、受給額は、3歳未満は1万5,000円/月、3歳〜中学校までは1万円/月と、年齢により異なります(世帯年収条件あり。条件を超えると5,000円/月)。「乳幼児の医療費助成」は、病気しがちな乳幼児の医療費を自治体が全額、または一部助成してくれる制度です。

幼稚園〜大学卒業まで、国公立の場合はいくらかかる?

幼稚園〜大学卒業まで、国公立の場合はいくらかかる?

「子供にどんな教育を受けさせるか」妊娠中には遠い未来の悩みに感じても、子供の成長は早いもの。きっとあっという間に身近な悩みになるはずです。できるだけ様々な選択肢がとれるよう、教育費についても知っておきましょう。

教育費は、公立に進学するか、私立に進学するか、選択肢によってかかる金額は大きく変わります。
文部科学省「子どもの学習費調査(平成30年度)」によると、幼稚園から高校まですべて公立の場合、ひとりの子供にかかる教育費(学校教育費、給食費、塾や参考書代など含む)は、544万円程度。

さらに、国立大学(4年間)に入学した場合は追加で約500万円(参考:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(令和元年)」)かかります。つまり合計すると、幼稚園から大学まで、すべて国公立に進学した場合の教育費は1,044万円ほどかかることが分かります。なお、幼稚園から高校まで公立、大学のみ私立文系に通う場合は、1,261万円程度、高校から私立の場合、1,415万円程度とかかる費用があがっていきます。

大学入学時をゴールに教育資金を準備する

大学入学時をゴールに教育資金を準備する

すべて国公立を利用したとしても、1,000万円以上かかると見て、びっくりする人も多いでしょう。しかし、教育費負担の原則は、高校までの費用は貯蓄を切り崩さず、家計のやりくりで賄える範囲にすること。つまり、家計ではとてもまかなえない、大学費用だけを早くから準備することが大切になります。

教育費のピークは、大学入学時。そのときになって慌てないように、教育資金は、大学入学時の費用に重点を置き、できるだけ早い時期から、計画的に準備を始めることが大切です。

おすすめは、子供が中学校卒業まで支給される「児童手当」の積立。すべて貯蓄すれば198万円貯まります。さらに月1万円を18歳まで積み立てると約200万円、両方合わせて約400万円貯まる計算になります。これを大学入学時とその後の学費の費用に充てるというマネープランがオススメです。

教育資金を貯めるには「保険」「投資」という選択肢も

教育資金を貯めるには「保険」「投資」という選択肢も

教育資金は、長期的な目線で、安全確実に増やすことがポイント。積み立て式の定期預金は、今の時代、高い利回りは期待できませんが、積み立てた元本が減ることはなく、教育資金を確実に貯めることができます。

また、「保険」「投資」という選択肢もあります。「学資保険」には、親が亡くなった場合は、それ以降の払込が免除され、子供は予定通り満額で保険金を受け取れる保障部分のメリットも。ただし、契約途中で解約すると、戻ってくる解約返戻金が支払った掛け金の総額よりも少なくなる危険性もあります。

「投資」の一例としては、最長20年間、毎年上限40万円で積み立てられる「つみたてNISA」があります。運用で得られた利益が非課税になる仕組みで、対象となる投資信託は、金融庁の厳しい条件をクリアした、ローコストで運用実績のある商品に限定されていることから、初心者でも始めやすいという特徴があります。

さらに、教育資金を贈与で受け取る「教育資金贈与信託」も。主に祖父母から孫へ、金融機関を経由して、教育資金を信託すると1,500万円まで贈与税が非課税となる仕組みで、贈与された孫は30歳になるまでの間、学費や塾代などの教育資金に限り、口座のお金を使うことができます。「教育資金贈与信託」は、2021年3月いっぱいで終了予定の制度なので、贈与を考えている人は、早めの検討を。

子供の教育費をサポートする公的制度

子供の教育費の支援策としては、公立・私立を問わず、世帯年収が約910万円未満の家庭の高校生を対象に、私立高校の場合で、上限年39万6,000円の助成を受けられる「高等学校等就学支援金」があります。また、生活保護世帯とそれに準ずる世帯向けですが、授業以外の教育費を負担する「高等学校等奨学給付金」もあります(収入・教育機関等の要件あり)。

大学生には、2020年4月からスタートした、「高等教育無償化(高等教育の修学支援新制度)」も。大学・短期大学・高等専門学校・専門学校に進学する費用を国が支援してくれる制度で、日本学生支援機構の「給付型奨学金」と進学した大学等での「授業料、入学金の免除または減額」がセットで受けられます(学力・家計基準あり)。

まとめ

子供が産まれると、親は子供の希望に応じたできる限りの教育を受けさせてやりたいと思うものです。その一方、住宅購入や自家用車の買い替え、家族旅行など、ライフイベントの出費もあります。そして教育費が過度に家計の負担になるのは、家計破綻のもと。ある程度のマネープランをたてることが大切です。

子供の成長と教育には、莫大なお金がかかりますが、様々なサポートもあります。特に、妊娠・出産は手厚い施策があるため、金銭的な負担はさほど心配しなくて良いでしょう。教育資金は子供が選ぶ進路によって異なりますが、大学進学を視野に入れる場合は、国公立でも、早いうちから準備することが大切。「保険」や「投資」も視野に入れながら、計画的に貯蓄しましょう。

参考:

妊婦健診|厚生労働省(外部サイト)
病気やケガで会社を休んだとき|全国健康保険協会(外部サイト)
政府広報「妊婦健診や出産の経済的負担が軽減されます!」について|厚生労働省(外部サイト)
高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省(外部サイト)
No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁(外部サイト)
児童手当制度のご案内|内閣府(外部サイト)
子ども医療費助成制度|世田谷区(外部サイト)
出産で会社を休んだとき(出産手当金)|全国健康保険協会(外部サイト)
・第11章 育児休業給付について|厚生労働省
正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)|公益社団法人 国民健康保険中央会(外部サイト)
平成30年度子供の学習費調査|文部科学省(外部サイト)
教育費負担の実態調査結果|日本政策金融公庫(外部サイト)
2020年4月からの「私立高等学校の授業料の実質無償化」リーフレット(令和元年5月)|文部科学省(外部サイト)
学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度 高校生の皆さんへ|文部科学省(外部サイト)
高等教育の修学支援新制度(大学・専門学校)|独立行政法人 日本学生支援機構(外部サイト)



・本コンテンツは一般的な情報提供を目的とするものであり、お客さまに証券投資取引に関して何らの推奨・勧誘も目的とするものではありません。

ライタープロフィール
綱川 晶子
綱川 晶子
編集プロダクション回遊舎を経て、現在フリーライター。ママ向けの情報を中心に幅広く発信しており、著書に「現地ママ100人に聞いた!子連れで台北」(祥伝社)

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