FPの情報収集術とは?投資初心者が今すぐ始めたい情報収集

FPの情報収集術とは?投資初心者が今すぐ始めたい情報収集

FPの情報収集術とは?投資初心者が今すぐ始めたい情報収集

投資は専門知識を覚えるのが大変そうだし、日々どうやって情報を集めれば良いのか分からないという人も多いでしょう。 そこで投資初心者である筆者が、今すぐにでもマネできる情報収集術をお金のプロであるFPの藤原久敏さんにうかがいました。

情報収集のためにFPが習慣にしていること

投資に関する情報はネットだけでなく新聞や雑誌など多くの場所で得ることができます。そんななか、藤原さんはどのようにアンテナを張っているのか、情報収集の習慣から教えていただきました。

朝のルーティンはネットニュース確認から

藤原さんがルーティンワークとして毎朝チェックするのは、Yahoo!ファイナンスのトップ画面だといいます。

「トップ画面で国内株のマーケットの状況をざっと見たあとは、保有している銘柄群の動きがどうかチェックします。そこで大きな動きがあったら、もう一度マーケットに目を移して市場やセクター(業種)全体の動向を見て、個別の材料だけではないニュースがあったかどうかリサーチしていく流れですね」

藤原さんは大枠の経済情報から入るというより、保有銘柄や注目している銘柄をベースに目を通して、その後景況感をチェックするというやり方だと話します。

「経済情報全般をざっくり見る、ということはあまりしませんね。市況や経済感覚はなるべく自分の実感をともなってチェックしないと、頭に入ってこないんです。なので、自分がチェックしている銘柄をベースに全体の温度感を計る、というアプローチを意識しています」

ただネットニュースは大量の情報が並んでいるため、速報性で優れてはいるが情報の管理が難しい。そこで藤原さんは気になるテーマやキーワードについて、別途書籍や雑誌などほかのメディアを通じて吸収するそうです。

「ネットニュースはトレンド情報を収集するときに力強い存在となります。ただ体系的な知識はどうしてもそれだけだと不足してしまいがち。そこで一段深い情報が欲しいときは、あえて筆者の考えや分析が書かれている書籍が頼りになります。例えば株価や経済指標についても事実だけを知るより、それが高いのか低いのか、あるいはどういった展望が描けるのか主観がある程度あったほうが立体的に情報を得られると思います。もちろんそれが正しいかどうかの判断は読み手が踏まえるべきですが、読み物として楽しみながら情報を吸収する感覚で書籍を活用するのは良いことだと思います」

書籍は扱う題材についてどうしてもタイムラグは生じるが、そのぶん情報は整理されているため投資初心者にとっても吸収しやすいメリットがある。人気タイトルなら、流行に触れるいい機会にもなる。また一方で、トレンドと普遍的な知識を両方とも習得するツールとして、雑誌を読むことも意識しているそうです。

「個人的に一番好きなのが雑誌です。大手の経済情報雑誌やマネー系雑誌はだいたい月刊誌で、情報の早さはネットや新聞には追いつきませんが、その分詳しい分析に触れることができます。ネットニュースのトレンド・速報性と書籍の専門性の間をとった月刊誌は、ちょうど良いバランスのツールだと考えています」

手っ取り早く流行をつかむなら本屋

自分の目と足を使った情報集めとして、藤原さんはふらりと本屋へ入って流行を探ることも習慣に取り入れているそうです。

「本屋は情報の宝庫です。世のなか全般の空気感を肌で感じることができます。例えば本屋のレジ前や平積みコーナーは、今のトレンドを素直に表しているんです。今、本屋が売りたい本は大々的に宣伝しますし、テレビや広告で話題になり、一般層でとくに売れている本が目に入りやすい位置に置いてあります。そういった書籍のすべてを読むことは不可能ですが、まずは平積みされた書籍からトレンドの流れをつかみ、興味を持った本があればまずは買って読むようにしています」

情報量が多いキュレーションサイトは用途ごとに選び分ける

投資情報を全般的に扱うキュレーションサイトは数多く存在しています。そんななか、藤原さんは幅広いネタを網羅的に取り扱ったものよりも、情報の的を絞ったサイトを用途ごとに使い分けているそうです。例えばIPO(株式公開)やソーシャルレンディング(クラウドファンディングの一種)の情報などは、それぞれの専門サイトから個別に情報を手に入れるそうです。

「気になるキーワードやテーマがあったら、ストレートに専門サイトでチェックした方が効率は良いと思います。お勉強のつもりで市場全体の知識や周辺情報を身につけているうちに、体力を使って嫌になってしまうのが一番良くないと思いますので」

情報の選別は発信者のポジションを意識する

情報を集めるときに藤原さんが注意しているポイントが、情報発言者の立ち位置です。お得な情報を発信している人が、どういったポジションから発言しているのかを意識しておくことが、防衛手段にもつながるそうです。

「どの金融商品にも言えますが、『向こうから勝手にやってくる話にうまい話はない』ということです。情報は自分の足で取りに行くことが前提です。よくわからない金融商品や情報商材のメールでの勧誘とか、『とっておきの話』のはずなのに誰でも受講できる無料セミナーとかでは、発信者が特定の商品を売るためのポジショントークである可能性も考えられます。投資については『なぜ簡単にオイシイ話を自分に話してくれるのか』冷静に考えてから判断することがとても重要です」

今日から初心者がマネできる情報収集術

今日から初心者がマネできる情報収集術

「義務にしない」が大原則

日々の情報収集が大切であるとはいえ、藤原さんは「決して義務感で知識を得ようとしてはいけない」と話します。

「個人的は話ではありますが、昔、仕事の研修として毎日朝礼で新聞を読んだ感想や考えを発表するスピーチがあったんです。毎日2〜3人がランダムにあてられて、1分間で読んだ記事の要約、2分間で感想と考えを話すという、今考えてもかなりキツいものです。そのために新聞を自腹で買って毎日読んでいたんですが、興味が持てない話題になるとこれが全く頭に入ってきません(笑)」

義務感で接する情報はなかなか吸収されない。例えそれが有益な知識であったとしても、気づかずにスルーしてしまう可能性すらあったそうです。

「目的もなく、ただ定期購読しているからという理由で新聞や雑誌を読んでも面白くないですよね。退職後、私の場合は時間と労力をロスしていると感じてほとんどの定期購読を止めました。もちろんすべてが無駄だったわけではないのですが、自然と自分が興味を持つ情報を丁寧にリサーチしたほうが、頭に吸収されやすいし、結果的に効率が良いと思います」

まずは自分の興味を見つける

義務ではなく、自分が興味を持っているかどうかが大切だと話す藤原さんは、初心者向けの「○○入門」といった書籍をどんどん活用することをおすすめします。お金に関する知識なら、どんな分野があるのかという全体像を把握して、家計管理なのか節税なのか、あるいは資産運用なのか自分の興味がどこに向くのかを知り、その知識を習得していくことが一番の近道といいます。

「例えば株式投資に興味があるなら、いきなり国内マーケットの読み方や業種別の傾向など周辺情報から”お勉強”しなくても良いと思います。まずは身近で自分が気になっている企業を対象として、業績が上がっているか下がっているか見てみたり、日々の株価の値動きをみて背景に何があったのかだけをチェックしたりと、好奇心を大切にして調べていくのが良いでしょう。その後もっと知りたくなってから、少しずつ株価の指標やマーケットなど視点を広げていくやり方でも決して間違いではないと思います」

目標や目的を設定する

目標を設定することは、モチベーション管理に深く関わる手段の一つ。例えばお金に関する知識を幅広く習得したいとき、漠然と経済の入門書を読むよりも、FP(ファイナンシャル・プランナー)の資格取得を目標に据えるのは広く知られた方法の一つといえます。

「FPの学習内容はライフプランニングから不動産投資まで多岐にわたり、体系的にお金や経済の知識を習得できます。『お金の知識を深めたいが何から手をつければ良いか分からない』という方は、こういった資格取得を目標にすれば、習熟度が高まるとともにステップアップしていることを実感でき、モチベーションが維持しやすくなります」

また、もし「あの会社の株主になってみたい」や「金投資を始めたい」という明確な目的があるなら、実際に手を付けてみることを藤原さんはおすすめします。

「ガチガチに勉強するより、少額からでも投資して実地で吸収していく方が、一から文献で完璧に学ぼうとするより早いです。目標があって、そこに自分の興味や関心がかけ合わさっている状態で実践の場に出れば、自然と吸収していくものだと思います」

理解が深まるかはアウトプットで差がつく

目標の設定とあわせて重要なのがアウトプットの有無です。最も手軽な手段は、ブログやSNSのアカウントで、自分なりの意見を加えた分析や投資体験を発信すること。投資した銘柄について背景や根拠を自分なりに考えアウトプットすることは、自身の学習内容を振り返る良い練習にもなります。

「冒頭でお話ししたニュースや雑誌のチェックも、アウトプットのためのネタ集めとして触れておくと見え方がガラリと変わってきます。別に投資に必ずしも結びつかなくても良いと思います。」

情報収集のベースにあるのは自然な好奇心

情報収集で大切なのは、自分が興味のある分野や事柄であるという入り口、そして目標や目的を持つという出口であると藤原さんは話します。そして義務感で行うルーティンは継続しにくい点も指摘します。

「私自身もブログで体験談を書いたら反響が大きく、そこから情報収集も含めて投資を楽しめるようになりました。継続できるかどうかは、本人が楽しんでやっているかどうかが大切だと思います」

情報収集はまずは自分が興味のあることを入り口に、少しずつその範囲を広げていくことを意識してみるのが良いかもしれません。

この人に聞きました

藤原 久敏
藤原FP事務所/藤原アセットプランニング合同会社代表。1級FP技能士・CFP。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尾崎信用金庫を経て独立。資産運用に関する講演・執筆・相談を中心に活動する。マネー関連の著書は、『あやしい投資話に乗ってみた』『10年後に1000万円の差がつくたった3つの考え方』『おトクな制度をやってみた』(彩図社)、『60歳からのお金の増やし方』(スタンダーズ)など30冊超。

ライタープロフィール
八坂 都子
八坂 都子
育児系雑誌の編集アシスタント、美術系出版社にて編集記者を経て2020年にペロンパ入社。マネー系を中心にカルチャーなど幅広いテーマで記事執筆・コンテンツ制作を行う。

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