【おやこの経済学】親子でお金を学ぼう!国内外の「お金の教育」の実情

【おやこの経済学】親子でお金を学ぼう!国内外の「お金の教育」の実情

【おやこの経済学】親子でお金を学ぼう!国内外の「お金の教育」の実情

学校ではほとんど教わらない「お金」の話。学ぶ機会がないのであれば、家庭で教えたいと思う親御さんも多いでしょう。では、どうやってお金の教育を行っていけば良いのか。連載1回目の今回は、海外における金融教育の事例などを基に考えていきましょう。

9割の人が家庭外でお金の教育を受けた経験ナシ

9割の人が家庭外でお金の教育を受けた経験ナシ

金融広報中央委員会が2019年7月に発表した「金融リテラシー調査2019年」によれば、「在籍した学校、大学、勤務先において、生活設計や家計管理についての授業などの『金融教育』を受ける機会はありましたか」という質問に対し、「受ける機会はなかった」と回答した人が75.0パーセントにものぼります。「分からない」と回答した人も含めると91.0パーセントと、日本の学校教育においては、ほとんどお金の教育が実施されていないことが分かるでしょう。

では、家庭内ではどうでしょうか。

同調査のなかで「ご家庭で保護者の方からお金の管理について教わる機会はありましたか」という質問に対して、「教わる機会はなかった」と回答した人は62.3パーセント。「分からない」と回答した人も合わせると79.7パーセントになり、学校と同様にやはり多くの家庭ではお金の教育が実施できていないといえます。

必要なものを手に入れたり、安全に暮らしたりするためにも必要なお金。とくに社会人になって「家を買う」「子供を育てる」「転職する」といったライフイベントをきっかけに、人生の選択肢に対するお金の影響度の高さを感じた方も多いでしょう。

しかし、人生においてたびたび考える機会が訪れるにもかかわらず、多くの学校や家庭ではお金の教育を実施していない現状があるわけです。

なぜ学校でお金のことを教わらないのか?

なぜ学校でお金のことを教わらないのか?

一番の要因は、学校でお金の知識を教えられる先生がいないことだといえます。お金の話がタブーとされてきた世の中で育った先生たちは、自身がお金のことに詳しくないのが実情です。

日本証券業協会が行った「中学校・高等学校における金融経済教育の実態調査報告書」によると、中高の教員のうち約半数は「教える側の専門知識が不足している」という問題意識をあげていました。しかし同調査では、金融教育が「必要である」「ある程度必要である」と回答した教員は合計で9割以上にも。つまり、ほとんどの先生は金融教育の必要性を認識しているにもかかわらず、知識が不足しているなどの理由から、生徒に対して十分に教えることが叶わない現状があると分かります。

ただ、今後は国をあげてお金の教育に力を入れる動きもあります。

2022年度から始まる高校の新学習指導要領では、家庭科の授業で「資産形成」について指導することが決まりました。「家庭科」の授業に組み入れるのが適切かどうかの議論はさておき、家庭科の先生が株式や債券、投資信託など基本的な金融商品の特徴を中心に教えるというものです。金融庁も出張授業や教材づくり、先生を対象にした投資イベントなどを通じて、準備を後押ししていくことになります。今後ファイナンシャルプランナーなどお金の専門家が助力していくこともあるでしょう。

生徒に実践方法を理解してもらうためにも、教壇に立つ先生自らが「資産形成」や「投資」に馴染むことも大切。そのため、まずは生徒ではなく先生に向けた金融教育が目下の課題といえます。

海外における「お金の教育」事情は?

海外における「お金の教育」事情は?

日本でも、前述したように家庭科の授業で「資産形成」の教育は始まりますが、それだけでは不十分といわざるをえません。資産形成だけが、お金の教育というわけではないのです。

では、海外ではどのようにお金の教育を行っているのでしょうか? 19-20世紀に経済的に繁栄した一方で、現代では貧困や経済格差などが問題視されているイギリスでは、2014年度から数学とシチズンシップ(市民教育科目)に金融教育が盛り込まれています。
カリキュラムでは「金融における利率」や「所得と支出、クレジットと借金、貯蓄と年金、金融商品と金融サービス」などについて教えるべきとされており、生徒が毎日使うお金を管理し、将来に必要となるお金を計画できるようにすることを目的としているようです。
 
これらの知識はイギリスだけではなく、もちろん日本でも必要なこと。実際に、日本ではクレジットカードの使い方や学生ローンの返済方法などはあまり教えられていない現状があります。先ほどの日本証券業協会が行った調査においても、金融教育がとくに不十分な分野としては「クレジット、ローン、証券など」をはじめ「年金制度」「株式市場の役割」「保険の動き」をあげた教員が3割以上と、最も多い結果となっているのです。

また「独立行政法人日本学生支援機構」の調査では、奨学金の延滞者のうち申込手続きの前に返還義務を知っていた人は51.1パーセント程度。約半数が返還義務を知らずに奨学金を借りていたということです。無延滞者は事前に9割が理解していたのに対して、著しく低い結果といえます。

知識不足が原因でトラブルに陥ってしまわないためにも、中学校や高校で実用的なお金の知識を教えることが求められているといえるでしょう。

お金の知識は親から子供に教えてあげよう

お金の知識は親から子供に教えてあげよう

とはいえ、英国のように学校でお金の教育が浸透する機会を待っていては、いつになるのか分かりません。学校の教育に頼りっきりになるのではなく、生きるうえで必ず必要となる知識だからこそ、子供の年齢に合わせて親が教えていく必要があるでしょう。

では、子供にどうやってお金の知識を伝えていけば良いのでしょうか。

【おやこの経済学】第2回では、子供が抱くお金に関する素朴な疑問に回答していきます。ぜひ、お子さんにお金の知識を伝える際の参考にしてみてください。

参考:
「金融リテラシー調査 2019年」の結果(外部サイト)
平成30年度奨学金の返還者に関する属性調査結果(外部サイト)
米国の学校における金融教育の動向(外部サイト)
中学校・高等学校における金融経済教育の実態調査報告書(外部サイト)
「海外における金融経済教育の調査・研究」報告書(外部サイト)

ライタープロフィール
頼藤 太希
頼藤 太希
Money&You代表取締役/マネーコンサルタント。慶應義塾大学卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力。『SNS時代に自分の価値を最大化する方法』(河出書房新社)、『人気FPが教える! 稼げるスマホ株投資』(スタンダーズ)など著書多数。

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