「家賃は月収の3分の1」はまだ通用する?令和時代、家賃を決める前に考えるべきこと

「家賃は月収の3分の1」はまだ通用する?令和時代、家賃を決める前に考えるべきこと

「家賃は月収の3分の1」はまだ通用する?令和時代、家賃を決める前に考えるべきこと

昔は、家賃は「月収の3分の1まで」が目安といわれていました。しかし給料が右肩上がりになる時代ではなくなった現在、自分の月収にあった家賃とはどのように考えれば良いのでしょうか?家賃を入り口に、自身の家計との向き合い方について紹介していきます。

出費の大部分を家賃が占めるのは今も昔も同じ

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家計のなかでも大きな割合を占めるのが、住宅費。

仮に「家賃は月収の3分の1まで」というルールを給料にあてはめると、月収が50万円の人なら家賃は16.7万円程度まで。しかしこの目安を聞くと、想像以上に高額に感じる方もいるかもしれません。

また、家賃の水準が高い傾向にある東京都心部の場合、求める部屋のクオリティにもよりますが、3分の1を超える金額を支払っている方も多いのではないでしょうか。地方から東京に上京してきて、あまりの家賃の高さにそのほかの家計のやりくりを難しく感じている方もいるでしょう。住んでいる場所によっても、家賃の水準は変わってくるわけですね。

さらに生活していくためには、電気・ガス・水道などの光熱費、携帯電話やインターネット利用料などの固定費もかかります。家賃やそのほかの固定費を差し引いたら生活費がギリギリという状態では、友人との付き合いや趣味なども我慢しなければいけません。

適切な家賃の割合を考えるためにも、1ヵ月の収入でやりくりをするべき、ほかの費用についても考えておく必要があるでしょう。

3分の1って手取り?それとも額面がベース?

そもそも月収の3分の1といわれても、額面か、それとも手取りをベースなのかで意味合いが変わってきます。結論からいうと、自分が自由に使うことができるお金、手取り収入で考えます。つまり額面上では月収50万円だったとしても、社会保険料や所得税・住民税などを差し引かれて銀行口座に振り込まれる金額(手取り)です。

月収50万円の手取りは、税金・社会保険の約2割を引いた40万円程度。となると、3分の1といわれる一般的な目安も、手取りで考えると家賃は約13.3万円までとなります。

3分の1ルールに則れば、13.3万円までは家賃に充てられるということになります。しかしここで改めて考えたいのが、生活費や貯蓄に充てるのは残りの3分の2で十分なのか、ですよね。

結局「月収の3分の1」ルールって今も通用するの?

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高度経済成長期、日本経済が右肩上がりで勤続年数が上がるにつれて月収が上昇していた時代であれば、月収に占める家賃の割合は相対的に低下していきました。この当時であれば最初は家賃の支払いが負担だったとしても、年数を重ねるごとに軽減していくわけですから「家賃は月収の3分の1」でも、問題なかったのでしょう。

しかし現在は安定した収入アップを期待できないケースも多く、家賃を抑える傾向になっています。

全宅連が2017年に行った「あなたが妥当だと思う『月収に占める家賃の割合』を教えてください」という調査によると「20パーセント以内」と答えた人が最も多く、全体の40.7パーセント。次いで10パーセント以内(29.3パーセント)、そして30パーセント以内(25.0パーセント)と続きます。

つまり、20パーセント以内と回答した人は合計すると全体の7割にもおよび、生活費や貯蓄を考えれば「月収3分の1」ルールは今や過去のものといっても過言ではないかもしれません。

また最近では都心を中心に「3畳ワンルーム」や、シェアハウスなどの利用者も増えており、家賃を抑える手段は昔と比べて多いといえます。さらにネットやスマホの料金など月々の固定費が増えている現状もあり、勤続年数の上昇にともなって月収がアップしていた時代と比べると、家賃にまわせる金額も減ってきているのではないでしょうか。

参考:2017年一人暮らしに関する意識調査(全国宅地建物取引業協会連合会)(外部サイト)

【現代版】月収と家賃のバランスは、「家賃より先に〇〇してから決める」

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シェアハウスの登場などで住居の選択肢が増え、また、リモートワークの普及で必ずしも職場の近くに住む必要もなくなった現在。ライフスタイルや働き方の変化に合わせて、これまで一般的と思われていた「月収の3分の1」というルールに縛られることなく、月収と家賃のバランスについてこれまでよりも検討しやすくなっています。

では、どのように考えるべきでしょうか?「人生100年時代」が提唱されている現在、将来に備える意味でも、私は家賃よりも先に毎月の貯蓄の割合を決めてから、残った収入のなかで家賃を検討したほうが良いと考えています。

造園家でありながら、株式投資家としても名高い本多静六は著書『私の財産告白』で、給料から4分の1を天引きして貯金に回すことで財を成しました。

また、約100年以上読み継がれるお金の名著『バビロンの大富豪』には、財布を太らせる方法として最初に「収入の1割を貯蓄に回す」といった原則を紹介しています。このように先人達も、まずは貯蓄を行うことの大切さを説いているわけです。

そもそもお金がない・貯まらない人の多くは、収入が入ったらまず使ってしまい「余ったら貯蓄しよう」と考えてしまう傾向にあります。しかし、人間の意思は弱いもの。ついつい自分に甘くなってしまい、「また来月余ったら貯蓄しよう」と、どんどん先回しにしてしまいます。

そのため前述した通り、家賃の割合を考える前に、理想は先取り貯蓄の割合を決めること。筆者が勧めているのは収入の「2割貯蓄」。貯蓄した後に、残ったお金でどのように生活するかを考えていきましょう。

× 収入-支出=残りを貯蓄 【余ったら貯蓄】
○ 収入-貯蓄=残りで生活 【先取り貯蓄】

先取り貯蓄の方法としては、やはり「天引き」のように自動的に貯金する仕組みをつくってしまうことが大切だといえます。「定期預金」を利用したり、貯蓄したお金を増やしていきたいと考えるのであれば投資信託の「自動積立」機能を活用したり、といったことも検討していきましょう。

「衣・食・住」どれに重きを置く? お金の使い道に優先順位をつける

仮に毎月の収入の2割を貯蓄に回すとすると、残りの8割をどう振り分けるのかを考える必要があります。このとき、自分がお金を使いたいものに優先順位をつけると、振り分けも行いやすくなるのではないでしょうか。

例えば、日本には生活の基本を簡潔に表現する言葉として「衣食住」があります。この衣食住の優先順位を決めるだけでも、お金の振り分け方が分かってきます。住む環境にこだわりたいのであれば、月収の3分の1を超えて家賃を支払うこともあるかもしれません。もちろん、そのほかの食事や衣類にかけるお金は抑える必要が出てくるでしょう。

もしくは都心在住にこだわらない暮らしも考えられます。多少通勤が不便になったとしても、郊外のほうが同じ家賃で広く快適な部屋を探せる可能性があるでしょう。

このようにお金の使い道に優先順位を決めておくと、自ずと自分の生活スタイルを見直すきっかけにもなるのではないでしょうか。

まとめ

出費の大部分を占めるとはいえ、家賃はあくまでも支出のうちの一つ。家賃だけに目を向けるのではなく、月収全体をどう振り分けるのかを先に考えたいところ。

そのためにも「月収の何割を貯蓄に回すか決める」「余ったら貯蓄、ではなく先取り貯蓄」「お金の使い道に優先順位をつける」という家計管理の基本のきから取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考:
・本多 静六『私の財産告白』実業之日本社(2013年)
・ジョージ・S・クレイソン『バビロンの大富豪』グスコー出版 (2019年)

ライタープロフィール
頼藤 太希
頼藤 太希
oney&You代表取締役/マネーコンサルタント
慶應義塾大学卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力。『SNS時代に自分の価値を最大化する方法』(河出書房新社)、『人気FPが教える! 稼げるスマホ株投資』(スタンダーズ)など著書多数。

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