20代からの保険選びに。知っておきたい保険加入のメリットとデメリット

20代からの保険選びに。知っておきたい保険加入のメリットとデメリット

20代からの保険選びに。知っておきたい保険加入のメリットとデメリット

病気やケガなど、人生で起こり得る様々なリスクに備えるのが保険。ただ、20代の中にはどういった商品や保障があるのか知らない人も多いでしょう。ここでは生命保険について最低限知っておきたい基礎知識を紹介します。

保険は人生の様々なリスクに備えるもの

保険は人生の様々なリスクに備えるもの

人生では、病気やケガなどの不測の事態が起こることがあります。ただ、生じた損害や出費について、個人の力だけでは対処できないこともあります。保険はそれらのリスクに対して、加入者から保険料を集めて、万が一のときに資金の中から保険金を給付する相互扶助の仕組みで成立しています。

日常生活では病気やケガ以外にも、死亡や高度障害、就業不能など様々なリスクと無関係ではいられません。基本的に保険はそれらのリスクに対応する形で商品や保障内容が分類されています。複数のリスクをカバーする保険もありますが、商品の分類は主に以下の通りです。

万が一の死亡や高度障害のリスクに備える:死亡保険(終身保険・定期保険・収入保障保険)
病気やケガのリスクに備える:医療保険
がんのリスクに備える:がん保険
働けなくなるリスクに備える:就業不能保険
老後の資産寿命のリスクに備える:個人年金保険、養老保険

20代の保険はどうやって選べば良い?

20代の保険はどうやって選べば良い?

保険は数多くの商品があるうえ、高齢者に比べて病気やケガのリスクが少ない20代の方からすると、そもそも保険料を払って保障を備える必要があるのか疑問に感じる人もいるかもしれません。ファイナンシャル・プランナーの藤原久敏さんは20代の保険の選び方について、「自分が抱えるリスクを軸に保険を選ぶ考え方は、年齢問わず同じ」と話します。

「20代でも家族構成や病気に対するリスクの向き合い方は人それぞれ。誰のために、どういったリスクに備えるかをまずきちんと把握しておきましょう。例えば自分が家計を支えていて、亡くなったときに困る人がいるなら、死亡したときに保険金を受け取れる死亡保険が選択肢となります。そうでない単身者の場合は、自身の病気やケガの治療でかかった医療費を保障するために、医療保険やがん保険が候補にあがるでしょう」
  
また人生100年時代といわれる現代では、老後の収入面に不安を感じる人もいるでしょう。前述の商品分類でも一部触れましたが、保険の中には長期間にわたり保険料を積み立てて、解約時に解約返戻金が戻ってくる終身保険や、個人年金保険や養老保険などの商品もあります。

20代で保険に加入するメリットやデメリットは?

20代で保険に加入するメリットやデメリットは?

自身が抱えているリスクと向き合って保険を検討すべきなのは、どの年齢の方も同じ。一方で、保険選びについて押さえておきたい20代ならではのメリットやデメリットもあります。

メリット1:安い保険料で加入できる

20代の若いうちは病気やケガのリスクが少なく、保険会社にとっては保険金を支払う可能性が低いため、同じ保障内容なら年齢が若い人の方が保険料は安くなります。契約時の年齢で保険料が算出されるため、加入期間中は保険料が変わらない保険なら、早めに加入を検討した方が家計負担も軽減されます。

死亡保険や医療保険の中には、喫煙をしていなかったり、健康状態が良好な場合は、保険料が割引される商品もあります。意識的に健康管理している人は、そういった保険を検討してみても良いかもしれません。

メリット2:選べる保険の選択肢が広い

大半の保険は病歴や健康状態の告知が必要です。告知内容によっては検討していた保険への加入を断られるケースもあり、選択肢に制限が生じることになります。

引受基準緩和型など持病や病歴があっても加入できる保険もありますが、保険料は高くなります。また残念ながら商品数も決して多くはありません。20代だから健康とはいい切れませんが、まだ健康面に大きな心配がない若いうちの方が、加入できる保険の選択肢は多いといえます。

メリット3:時間をかけて資産形成の準備ができる

前述の終身保険や個人年金保険のように、解約時や満期時に解約返戻金や満期保険金を受け取ることができるタイプの商品もあります。支払う保険料が同じなら、時間をかければかけるほど戻ってくる金額は高くなるので、若いうちから家計に無理のない範囲で保険料を積み立てておくことは、将来の資産形成において有利といえます。

一方で、デメリットについても見ておきましょう。

デメリット1:保障内容を定期的に見直す手間がかかる

保険は新商品が次々と登場し、保障内容も刷新されています。例えば、以前は入院保障といえば長期入院が中心でしたが、最近では短期入院や日帰り入院、通院治療を重視する商品も増えています。また、がん保障は一時金を受け取るタイプだけでなく、抗がん剤治療を受けた月に給付金を受け取ることができる、長期治療を見据えたタイプの商品もあり、ひとくくりに「医療保険」や「がん保険」といっても保障内容は商品やプランによって様々です。

契約している保障内容が最新商品と比べて見劣りしないか、保障内容を定期的にチェックしておきたいところです。

デメリット2:早期で解約すると戻ってくる金額が少ない

メリット3で紹介した通り、保険の中には解約返戻金や満期保険金を受け取ることができる貯蓄型と呼ばれる商品もあります。ただし、この貯蓄型の保険は契約後短期間で中途解約すると、支払った保険料より戻ってくる金額が少なくなります。

20代のうちによく検討せずに60歳で払込期間が満期となる契約で加入したものの、数年経って家計の事情で解約したとすると、結果的に支払った保険料より少ない金額しか戻ってきません。

「貯蓄型の保険は事前に資金計画を立てて、目先の資金使途のためではなく、なるべく長期計画で加入を検討した方が良い」と藤原さんはいいます。

貯蓄型保険はどんなものがある?

では、加入期間中は保障を備えつつ、解約時や満期時に解約返戻金や満期保険金が戻ってくるタイプの商品にはどのようなものがあるのでしょうか?特徴とともに紹介します。

終身保険

死亡や所定の高度障害状態になったときに保険金を受け取れます。60歳や65歳など保険料の払込期間を契約時に決めて、一定期間を過ぎてから解約すると、支払った保険料以上の金額が解約返戻金(かいやくへんれいきん)として戻ってくる商品が一般的。

養老保険

満期を迎えると、あらかじめ設定された金額を満期保険金として受け取れます。保険期間中に死亡したり所定の高度障害状態になったりしたときは、満期保険金と同額の高度障害保険金が給付されます。

個人年金保険

月払い・半年払い・年払いなどの分割払いか一括で保険料を支払い、60歳や65歳など契約時に定めた年齢に達すると年金が受け取れます。被保険者が生きている限り年金を受け取れる「終身年金」、一定期間は生死に関係なくご自身や遺族などが年金を受け取れる「確定年金」、一定期間生きている限り年金を受け取れる「有期年金」など複数のタイプがあります。保険料の払込期間中に被保険者が死亡したり所定の高度障害状態になったりした場合は、支払った保険料相当額の高度障害保険金が受け取れます。

学資保険

契約時に子供の年齢に合わせて満期を設定し、高校や大学入学前後に満期保険金が受け取れます。保険料の払込期間は15歳や18歳までなど複数の選択肢があるほか、受取方法も一括や複数回など商品やプランによって様々です。子供の教育費に備えて加入する保険であり、契約者である親に万が一のことがあった場合は以降の保険料の支払いが免除され、満期時は保険料の支払いがあったものとして満期保険金を受け取れます。

まとめ

保険はなんとなく人に勧められたから加入するのではなく、「誰のために、どういったリスクに備えるか」を自分の状況を踏まえて検討することが大切です。つまり20代から保険加入を検討することは、「自分自身が向き合うべきリスクを、若い段階で整理する良いきっかけになる」とも藤原さんは話します。

早いうちから死亡や病気などの日常生活上の不測のリスクはもちろん、老後の経済的なリスクにも向き合っておくと、余裕をもって対応していくことができそうです。

この人に聞きました
藤原久敏さん
藤原久敏さん
藤原FP事務所/藤原アセットプランニング合同会社代表、1級FP技能士・CFP(R)。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫勤務を経て、2001年にファイナンシャル・プランナーとして独立。大阪経済法科大学経済学部非常勤講師。著書は「あやしい投資話に乗ってみた」(彩図社)など30冊を超える。
ライタープロフィール
田中 雅大
田中 雅大
主にマネー系コンテンツ、広告ツールを制作する株式会社ペロンパワークス・プロダクション代表。関西学院大学卒業後、編プロ、マネー系雑誌等の編集記者を経て2014年設立。AFP認定者。

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