「家を買う」がもっと身近に?がんや大きな病気も保障する住宅ローン

「家を買う」がもっと身近に?がんや大きな病気も保障する住宅ローン

「家を買う」がもっと身近に?がんや大きな病気も保障する住宅ローン

住宅ローンを利用して家を買いたい。でも、万が一のときの返済はどうなるの?そんな不安を軽減するため、住宅ローン契約時に加入する「団信」には、死亡だけでなく、がんなどの病気も保障される特約があります。今回は団信の保障について解説します。

住宅ローン契約時に加入する「団信」とは?

住宅ローン契約時に加入する「団信」とは?

住宅ローンを契約する際に加入する「団信」とは、正式名称は「団体信用生命保険」という保障制度のこと。契約者に万が一のことがあった場合、住宅ローンの返済が免除される保険です。

多くの金融機関は、団信への加入を条件に住宅ローンの融資を行います。そのため、住宅ローンを契約する際は、団信に加入することが一般的になっています。

その際、特に希望がなければ「一般団信」に加入することになります。一般団信の場合、保険料相当額は住宅ローンの金利に含まれています。そのため、一般団信に加入するために別途費用がかかることはありません。

ただ、健康状態や過去の病歴などにより、一般団信に加入できないケースもあります。その場合は、「ワイド団信」という一般団信よりも加入条件が緩和された団信への加入を検討することになります。加入にあたっては、住宅ローンの金利に、多くの金融機関では年0.3パーセントを上乗せすることになります。

なお、一般団信の保障範囲は死亡時と高度障害を負ったときのみ。対して、所定のがんや病気と診断されたときでも返済不要となる特約付きの団信が、今回のメインテーマでもある「がん団信」や「特定疾病補償付団信」です。

一般団信ワイド団信がん団信特定疾病補償付団信
死亡・高度障害
団信で定められたがん××
団信で定められた病気×××

がん団信、特定疾病補償付団信とは?

がん団信、特定疾病補償付団信とは?

がん団信は「所定のがんと診断されたら以降のローン返済が免除される」特約付きの団信。特約として加入するため、ローン契約時にしか付帯することはできません。一般的に、住宅ローンの金利に年0.2パーセント前後を上乗せすることで加入できます。

仮に借入額3,000万円で、金利への上乗せが年0.2パーセントなら、毎月の平均負担額は2,967円増えることになります(ボーナス返済なし、借入期間35年、金利年1.5パーセントの場合)。

一方、特定疾病補償付団信とは、がん団信で保障の範囲に定められたがんに加えて、所定の病気もその保障の対象に入る特約付きの団信のことです。金融機関によって保障内容は異なり、「3大疾病」や「8大疾病」などの括りでその対象を定めています。一般的には下記の病気が含まれています。

<3大疾病>
がん(上皮内がん除く)、急性心筋梗塞、脳卒中

<8大疾病>
がん(上皮内がん除く)、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性すい炎

保険料は、住宅ローンの金利に上乗せされるタイプもあれば、ローン残高や被保険者の年齢に応じた保険料を支払うタイプもあります。金利に上乗せの場合、がん団信と比べて病気の対象範囲が広いため、上乗せ率は高くなることが一般的です。

仮に借入額3,000万円で、金利への上乗せが年0.3パーセントなら、毎月の平均負担額は4,472円増えることになります(ボーナス返済なし、借入期間35年、金利年1.5パーセントの場合)。

がん団信や特定疾病補償付団信は、いざという時の強い味方になる

がん団信や特定疾病補償付団信は、いざという時の強い味方になる

がん団信や特定疾病補償付団信は、住宅ローンの返済が免除されて住居費負担の軽減につながることで、保障対象となる病気による収入減の不安を和らげます。

国立がん研究センターの調査によると、将来がんになる確率は2人に1人。さらに、厚生労働省の検討会資料によると、2011年の調査で、がん罹患後に「収入が減った」と回答した人の割合は33.3パーセントとなっています。

厚生労働省の検討会資料(外部サイト)より編集部作成

厚生労働省の検討会資料(外部サイト)より編集部作成

また、同調査では、収入が減った33パーセントのうち、罹患前と比較して「7割以下に減ってしまった人」は62パーセント(その内の33パーセントは、5割以下に減ってしまったと回答)にのぼり、がんによる収入減のリスクは軽視できません。

特定疾病補償付団信の対象となる病気についても、がん同様に、就業が難しくなる、収入が減るといったケースは十分に考えられます。

一般的ながん保険とはどう違う?

前述した通り、借入額3,000万円で金利上乗せ分が年0.2パーセントなら、毎月の返済額は平均2,967円増えるということでした。

では、一般的ながん保険ではどうでしょうか。

例えば、加入年齢30歳、性別を男性とした場合、2,967円以内で加入できる某がん保険は200万円の診断給付金(一時金)のみがもらえるタイプです。

これを住宅ローン借り入れ直後の保障内容で比較すると、がん団信において免除される金額はおよそ3,000万円。某がん保険の200万円と比較して、2,800万円ほどの差があります。

では、なぜがん団信の方が保障される最大金額が大きいのでしょうか?

それは、「がん団信の保障期間は有期」だから。がんは高齢になるほど罹患の可能性があがるといわれていますが、一般的にがん保険の保障期間は終身(一生涯)が多いのに対して、がん団信は最長35年。ローン返済満了後は保障がありません。そのため、一般的ながん保険に比べて、保険会社が引き受けるリスクが小さくなるため、同じ保険料ならがん団信の方が保障額は大きくなるのです。

がん団信や特定疾病補償付団信に加入する際の注意点

がん団信や特定疾病補償付団信に加入する際の注意点

団信の保障には、例えば、「保障が開始する日から、その日を含めて90日以内にがんと診断確定された場合は保障対象とならない」といった、加入から一定の期間後を保障対象とする条件があります。

その他、一般的には以下のような条件もあります。保障対象となる条件は金融機関によって異なるため、契約前に、条件を必ず確認しておきましょう。

加入時の告知義務、契約内容の変更

がん団信や特定疾病補償付団信の加入時には、健康状態に関する審査があり、体調や病歴について真実を告知する義務が生じます。

告知する内容として問われることが多いのは、直近の3ヵ月で医師による指示や治療を受けたかどうか。投薬を含め、医療機関でなんらかの診療・治療を受けた場合、正直に伝えなければなりません。また、保障内容によりますが過去数年以内に「脳卒中」「高血圧症」「糖尿病」「肝炎」など既往歴があるかなども質問されるケースも。万が一、告知と事実に相違があった場合、団信の契約は解除となります。

なお、住宅ローンの借入額が5,000万円を上回る場合、健康診断書などの提出を求められることもありますので、団信加入時の告知の条件をよく確認しておきましょう。

また、途中で加入したり、内容を変更したりすることはできません。仮に、ローン契約時にがん団信を選んだ場合、住宅ローンを返済し終わるまで契約は続きます。

住宅ローンは様々なリスクをカバーできるようになりつつある

住宅ローンは様々なリスクをカバーできるようになりつつある

家は人生において高い買い物。将来生じるかもしれないリスクや経済的な不安はつきものです。だからこそ、住宅ローンの契約時に、今回紹介した「がん団信」や「特定疾病補償付団信」といったと特約付きの団信を選ぶ人が増えているようです。

充実した保障によって住宅ローンを組む際の心理的ハードルが下がることで、家の購入はこれまで以上に現実的なものとなるでしょう。そして、未来の生活がより描きやすくなるかもしれませんね。


参考:
・『まったく新しい住宅ローンの考え方 本当に賢い人がやっている借金の活用法とは?』(翔泳社)中山田 明著
国立がん研究所センター 最新がん統計 (外部サイト)
・東京都福祉保健局 「がん患者の就労等に関する実態調査」報告書
住宅金融支援機構フラット35サイト 「過去にがんを患っていましたが、今は治っています。新3大疾病付機構団信に加入できますか?」 (外部サイト)
・みずほ銀行 選べる2つの疾病保険
第2回治療と職業生活の両立等の 支援に関する検討会における参考資料 (外部サイト)


・本コンテンツは一般的な情報提供を目的とするものであり、お客さまに住宅ローン商品に関して何らの推奨・勧誘も目的とするものではありません。

ライタープロフィール
田中 雅大
田中 雅大
主にマネー系コンテンツ、広告ツールを制作する株式会社ペロンパワークス・プロダクション代表。関西学院大学卒業後、編プロ、マネー系雑誌等の編集記者を経て2014年設立。AFP認定者。

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