子供と未来について話し合おう!親が子供のためにできる老後のお金の準備

子供と未来について話し合おう!親が子供のためにできる老後のお金の準備

子供と未来について話し合おう!親が子供のためにできる老後のお金の準備

親の立場として「子供と相続やお金の話をするのはちょっと」と抵抗感を抱く方も多いのではないでしょうか。しかし、高齢になると介護や入院といった場面で子供が代理になることも。子供の負担を減らすため、元気なうちに準備しておきたいことを紹介します。

子供と未来のお金の話をしてみよう

子供と未来のお金の話をしてみよう

厚生労働省「令和元年簡易生命表」によると、2019年の男女平均寿命は約84歳となっています。「老後」の定義はケースバイケースですが、この統計データによるとシニアライフは決して短いとはいえません。

また、子供を持つ方の中には自身の資産寿命(※)が気になる一方で「お金の面で子供に負担は掛けたくない」と考える方も多いのではないでしょうか。
(※)資産寿命とは、形成してきた資産を老後の生活に充て、尽きるまでの期間のこと

そこで大切なのが、子供と情報を共有することです。何も伝えないままでいると、将来子供の負担が増えることがあります。

例えば、一人暮らしの親が急に入院することになったものの、加入している保険の手続きなどを親自身ができないケース。被保険者である親が受取人となる給付金については、子供と情報を共有したうえで「指定代理請求制度」という契約を済ませておけば、親に代わって子供が給付金を請求することもできます。

しかし、そもそも加入している保険の情報を共有しておらず、意思伝達もできない場合は、請求できなかったり加入状況を調べるのに苦労したりすることもあります。また、万が一、親が認知症になった場合、親がどの金融機関に口座があるのか子供が把握できないことや、家族や本人であっても原則として振り込みや引き出しができなくなり、事実上口座が凍結状態になることもあります。

これらの不安には、親が元気なうちにできる限りの備えをしておくことで対処できます。

この記事では、入院や介護、相続など親自身が今後について備えておきたいことや、子供と共有しておきたいことを紹介していきます。

高齢になるとどんなことが起こる?

高齢になるとどんなことが起こる?

病気やケガのリスクが高まる

内閣府「令和3年版高齢社会白書(外部サイト)」では、介護が必要となった原因の約13パーセントが骨折・転倒と発表されています。さらに国民生活センターの事故情報によると、自宅など屋内でのケガが多く、原因として身体機能の衰えがあげられるようです。

また、高齢になると、認知症発症のリスクも高くなります。同じく「令和3年版高齢社会白書」では、65歳以上の要介護者等の全体の約18パーセントが認知症によって介護が必要になったことが示されています。

これまで大病を患うことなく元気に過ごしていても、突然のケガや認知症で医療や介護が必要になることがあるわけです。

このような健康不安への備えの第一歩として、定期的な健康診断や体調管理は有効です。身体機能の低下によるケガのリスクを少しでも下げることができ、また検診で病気の早期発見ができれば、進行を遅らせる手段も自分で選べます。

医療費の不安が高まる

万が一、入院や介護が必要になった時の医療費の備えはしておくに越したことはありません。

70歳以上では、医療費の1割が自己負担です。しかし、入院となると食事代や差額ベッド代、入院生活用品などの雑費が必要です。さらに公的医療保険対象外の治療が発生した場合、費用は上乗せされます。

重い病気などで長期入院したり治療が長引いたりした場合、一定の金額を超えた部分が払い戻される高額療養費制度により、医療費の1ヵ月の自己負担額に上限はあります。しかし、70歳以上で年収156万円~370万円の「一般」区分の方でも、自己負担限度額は5万7,600円(平成30年8月診療分から)と、決して低い額とはいえません。そのため、支払いの遅延対策として、医療機関から保証人や保証金が求められることも珍しくありません。

ちなみに保証金の相場は、高額療養費制度の区分に関わらず5万円~10万円に設定されていることが多いようです。これも事前に確保しておきたい金額です。

介護サービスの選択

前述のように、介護が必要な高齢者は少なくありません。厚生労働省の調査によると、要介護認定者は年々増加しています。また、介護が必要になったときに頼みたい相手として、最も回答が多かったのは「配偶者」が36.7パーセント。次いで多かったのは「ヘルパーなど介護サービスの人」で31.5パーセントとあり、「子供(22.7パーセント)」より多い結果となっています。つまり、子供に依存せず、介護サービスの利用を考える高齢者は多いようです。

経済的な負担について、公益財団法人生命保険文化センターの調査(平成30年度)によると、介護にかかった費用の平均は月額7万8,000円。また介護期間については、同じく生命保険文化センターの調査によると平均で4年7ヵ月となっています。ただ、これらはあくまで平均であって、いくら費用がかかって、いつまで介護が必要かは人それぞれ。つまり、どれくらいの備えがあれば介護費用をカバーできるかを事前にぴったり把握することは難しいといえます。

しかし、できることはあります。対策として大切なのは、介護が必要になったときに、自分自身がどのような介護を受けたいかを考えること。次にその費用感を把握し、ゆとりを持って備えておくこと。そして、介護に関する意思を子供と共有しておくことが重要です。

施設入所など介護サービスの利用は、子供が身元保証人になることもあります。また、リサーチや申請の細かな手続きを子供がサポートしてくれることも珍しくありません。その他、施設入所や自宅のバリアフリー改修工事など、介護に関する費用について、子供が全額または一部を負担することもあります。親子それぞれが無理のない負担となるように、子供の経済的な事情だけでなく親の資産状況がどうなっているのか、双方で情報を共有しておいた方が良いでしょう。

また、いつ病気やケガをするか正確に予測することはできないため、介護は急に始まることもあります。その際に親が希望する介護サービスを子供と共有できていないと、手続きの時間がなく、本人の意思と異なる選択肢を取らざるを得ないケースも考えられます。経済的な情報だけでなく、親と子、それぞれの意思を事前に確認しておきましょう。

あまり考えたくないことかもしれませんが、人生の最期についても子供と意思を共有しておきたいところです。政府統計「人口動態調査(2019年確定数データ)」を見ると、約8割以上の多くの方が病院などの医療機関で最期を迎えています。また、病気や老衰による苦しみを緩和する終末医療について知っておくことも、安心して老後を過ごす一助になるかもしれません。

相続の発生

親の死後、相続が発生し、財産額によっては相続税の申告が必要な場合もあります。元気なうちに遺言の作成や資産の整理をしておくことで、子供にかかる負担を減らすことができます。

親子の将来のために必要な情報を伝える準備をする

親子の将来のために必要な情報を伝える準備をする

ここまでは、老後に向き合うことが多い入院や介護のようなライフイベントやそのリスクについて紹介してきました。次に、具体的な準備について触れていきます。

まずは、エンディングノート。以前紹介した記事「人生の最後を自分らしく自由に綴る、『エンディングノート』活用法」でも触れたように、本人にしか分からない意思や情報を整理しておくことは、重い病気などになった際にも家族の負担を大きく減らします。

・おくすり手帳への病歴や服薬歴の記載
・介護や最期を迎える場所の希望
・財産の整理、配偶者の生活

上記のような口頭では子供に伝えづらいことを、一箇所にまとめられるため、一つずつ情報のありかを探す手間が省けます。

財産分与については、遺言書の準備が有効です。遺された家族同士の相続争いを回避するために、強い効力を発揮します。2018年に法改正が行われた遺言書に関わる詳しい内容は、別記事「相続法改正6つのポイント だれでも書ける遺言書」で解説しています。

こういった準備をする際にも、認知症には注意が必要です。「まだ物忘れも気にならないし大丈夫」と思い、準備を先延ばしにしているうちに進行してしまう懸念があります。

認知症になると、自分で終活を始めようとしても、物忘れや注意散漫など、認知機能の低下で思ったように動けなかったり、金融機関での手続きが制約付きでしか行えなくなったりするなど、煩わしくなってしまう可能性があります。認知症が深刻化する前に、子供がスムーズに財産管理や生活のサポートができるように、成年後見制度などの利用も視野に入れておきましょう。

まとめ

まとめ

余計な面倒を掛けたくないという気持ちから、資産状況や介護の意思を伝えず、そのことがかえって将来子供の負担になってしまうケースがあるようです。そうならないためにも、もしもの時に備えて早めの準備をすることが望ましいです。

親の老後に向けて子供が準備しておくべきことについては「親と未来について話し合おう!親が元気なうちに話しておきたいことは?」の記事で紹介しています。親子で将来について話し合うことで、双方が安心して人生を歩む土台を作っていけるかもしれませんね。

参考:
『50代からのお金のはなし 』(プレジデント社)黒田 尚子著
『そろそろ親とお金の話をしてください 』(ポプラ新書)安田 まゆみ著
『子どもに迷惑をかけない・かけられない!60代からの介護・お金・暮らし』(翔泳社)太田 差惠子著
厚生労働省「厚生労働統計一覧」(外部サイト)
内閣府「高齢社会対策」(外部サイト)

ライタープロフィール
八坂 都子
八坂 都子
育児系雑誌の編集アシスタント、美術系出版社にて編集記者を経て2020年にペロンパワークス・プロダクション入社。マネー系を中心にカルチャーなど幅広いテーマで記事執筆・コンテンツ制作を行う。

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