人生100年時代の転職は“時間を投資する”のもアリ。チャレンジ転職の成功例

人生100年時代の転職は“時間を投資する”のもアリ。チャレンジ転職の成功例

人生100年時代の転職は“時間を投資する”のもアリ。チャレンジ転職の成功例

転職はキャリアのターニングポイントです。それゆえに、不安や迷いがつきもの。後悔のない選択には、長期的な視点でキャリアを見据え、戦略を立てることです。リターンを得るには、時にリスクをとることも必要。“時間投資”の転職について考えてみましょう。

人生100年時代のキャリア形成は“長期視点”がカギ

人生100年時代を迎えつつある今。現在30代のビジネスパーソンであれば、この先30年ほどキャリア人生が続きます。そんな長い道のりをより充実したものにするには、長期的な視点で自分のキャリアを見据え、戦略をもってサバイブしていく覚悟と勇気が必要です。

将来どうなりたいのか、どんなキャリアを望み、どの到達地点を目指すのか。そんな“ありたい姿”を思い描き、そこに至るまでの道のりをイメージしてみましょう。目標地点から逆算して考えていくことで、今の自分に足りないものが見えてくるはず。そのためにはどんな経験を積み、どういった人脈が必要か。理想のキャリアを手にするために、転職は有効な手段です。

転職を考える際に、“これまでよりも良い条件で働きたい”と望むのは当然のことです。多くの場合、それは待遇面の向上であり、なかでも「年収アップ」を掲げる人がほとんどでしょう。これまで抱えていた不満を解消し、キャリアも年収もステップアップする。そんな理想の転職は、わかりやすい成功パターンだといえます。

その一方で、年収を下げてでも転職を果たす人がいるのも事実。では、「年収ダウンの転職=失敗」なのか。一般的には、キャリアダウンとしてネガティブに捉えられがちですが、実はすべてがそうとは限りません。望むものを手に入れるために、いったん年収ダウンを受け入れ、新たなスキルを身につけながらキャリアアップを重ねていく。その結果、大きなリターンを手にする成功パターンも存在するのです。

年収が下がっても「良い転職」になるパターンとは?

では、どういった条件なら、年収が下がっても「良い転職」になり得るのでしょうか。いくつかのパターンを見ていきましょう。

その1 スキルやノウハウ、人脈など、転職先で得られるメリットが明確な場合

転職はゴールではなく、“こうなりたい”というキャリアの理想像に向かう通過点です。そこに近づくには、ステージごとに必要なスキルをその都度吸収していかなければなりません。つまり、一時的に年収が下がっても、将来につながるような価値ある経験が積めるなら、その転職は成功だといえるでしょう。

そこでしか得られない技術やノウハウがある、この先のキャリアにとって必要な人脈が得られそう、充実した研修やカリキュラムで成長が望める、憧れの人物の近くで働くことができ学びが多いーー目的が明確であるほど、やるべきことに集中でき、短期間で成長することが可能です。

そして経験値が上がったら、次のステップへと踏み出す。会社に頼らない生き方、キャリアを築くことができます。

その2 将来性のある業界に未経験で飛び込むケース

AIの台頭をはじめ、変化のスピードが激しい現代。かつては安泰とされてきた業界や人気企業のなかにも、時代の波に取り残され、陰りが見え始めてきたところも。斜陽化していく業界に身を置き続けることは、この先長く働き続ける上で、大きなリスクになります。

今の仕事に限界を感じているなら、早めに見切りを付け、軌道修正する勇気が必要です。人は、年齢やキャリアを重ねるほど柔軟さが失われ、変化することを恐れがちになるもの。環境を大きく変えるなら、できれば30代までに動き出すほうがいいでしょう。

狙い目は、今後伸びることが期待される業界や職種です。例えば、IT業界や高齢化社会を支えるサービスなどは、その筆頭といえるでしょう。AI関連やフィンテック、介護サービスなどは、さらに市場が伸びていくことが見込まれます。

未経験で飛び込む場合、年収が下がることは否めませんが、市場が拡大し、企業が成長していけば、年収アップは十分期待できるでしょう。また、成長していく環境に身を置くことは、働く上で大きな刺激になり、モチベーションにもつながるはずです。需要の高いスキルをしっかり身につけておくことで、その後、転職をする時に有利になり、ステップアップしやすくなるのも大きな利点といえるでしょう。

その3 専門スキルを養うために、集中的に時間を作りたい場合 

資格取得やビジネススクールなどで専門スキルを身につけることは、長く活躍し続けるために欠かせないスキルアップの方法です。しかし、なかには“今の環境ではどうしても時間が確保できない”という人もいるのではないでしょうか。その場合、次のステージに挑戦するために一時的にキャリアダウンして、学びを優先させるのも一つの手です。

いったん年収が下がっても、長い目でみて生涯年収が上がるなら、有益な時間だといえるでしょう。ただし、見切り発車で後悔しないように、得たスキルをどんなふうに活かすのか、あらかじめ道筋をたてておく、あるいは部署の移動や職種転換など、転職以外で時間を作る方法を探るなど、様々な可能性を考え、慎重に動く必要があります。

未来想像WEBマガジン

未来のキャリアのために「時間の投資」をする

これら3つのケースに共通するのは、未来のキャリアを築くために、「時間を投資する」先行投資の考え方です。

先行投資とは、将来利益を生みそうな事業や人を見越して投資を行うこと。年収ダウンという目先のマイナス要素に左右されるのではなく、将来のリターンを見越して環境を変え、時間の投資をする。年収だけを転職の基準にしてしまうと、自分の可能性を狭めてしまうことになります。

明確な目的とビジョンを持ち、めざすキャリアに向かうためのポジティブな転職であれば、一時的に年収ダウンを気にしなくても良い場合もあります。

それでも不安が拭えないなら、年収が下がった時の生活をシミュレーションして、許容できる範囲を決めておきましょう。厳しい場合は、副収入を得る手立てがないか、削れるところはないかなど、家計を見直して対策を立てておくのも手です。家族やパートナーがいる人は、理解を求め、思いを共有しておくことで、仕事にまい進できるでしょう。

一時的に年収がダウンしても、長期的視点で見て右肩上がりのキャリアが描けるのであれば、足元の年収にはそこまでこだわらないことが、あとで大きな果実を得られることも頭に入れて転職活動をするといいでしょう。

ライタープロフィール
西尾 英子
西尾 英子
大学卒業後、男性総合誌で8年間編集に携わった後、フリーライターとして独立。主に女性誌やビジネス誌、書籍を中心に、女性の生き方や働き方などを執筆。これまで数多くの著名人やビジネスパーソンなどを取材。

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