犬と猫、人気なのはどっち?

よく「犬派?猫派?」と問われることがあるかと思います。一般社団法人ペットフード協会の「令和元年 全国犬猫飼育実態調査(外部サイト)」によると、ペット全体の飼育頭数は減少傾向にあり、それに比例するように犬の飼育頭数も減少してきています。しかし、猫の飼育頭数は、横ばい・微増となっており、2017年には初めて猫が犬の飼育頭数を超えました。つまり、データ上では猫派に軍配が上がるのです。では、なぜこのような結果が生まれたのでしょうか?
原因の一つに、高齢者の犬離れが考えられます。前述の調査結果によると、高齢者が飼育を諦める理由として多かったのが、「最期まで世話をする自信がない」というもの。犬には散歩が必要なことなどがハードルにつながっているのかもしれません。その点、猫は完全室内飼育が一般的なため、そうした問題はないといえます。
また、データによると、犬の入手先でもっとも多かったのが、ペットショップでした。一方、猫は「野良猫を拾った」が最多。次いで、「友人・知人からもらった」となり、「ペットショップでの購入」は3位。「里親探しのマッチングサイトからの譲渡」は4位と、比較的高い割合にあります。
猫と暮らす・里親になるメリットは?

では、猫と暮らしたり、保護猫の飼い主になったりするメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
第一に、日常生活に刺激が生まれます。猫の愛らしい仕草を眺めたり世話したりすることを通じて、自然と笑顔が増えていきますし、命を預かる責任感が芽生えます。また、引き取られている猫の66パーセントが幼齢なので、幼いうちから成長を見守れる喜びもあります。
癒やし効果やストレス解消も大きなメリットでしょう。高齢者施設や養護施設、病院などで行われているアニマルセラピーに代表されるように、体と心の健康維持、増進につながるため、広義のクオリティー・オブ・ライフ(生活の質)向上も期待できます。
また、殺処分される猫を救うという社会的な意義もあります。近年は殺処分される猫が劇的に減少し、返還・譲渡数が大幅に増加しています。
【参考】
環境省自然観光局 「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(外部サイト)」
PEDGE(外部サイト)
猫の里親になるための応募先は?

では、保護猫の新しい飼い主になるにはどうしたらいいのでしょうか? 以下の3つの方法に大別できますので、それぞれにみていきましょう。
・インターネットの募集サイト
・保健所や動物愛護センターの譲渡会
・保護猫カフェ、シェルター
多くの情報を得られるのはインターネットの募集サイト。このようなサイトでは、個人はもちろんNPO法人などの動物愛護団体も募集しています。譲渡条件は様々ですが、一度に多くの猫を見ることが可能なうえに、猫の姿も写真で見ることができ、好みの猫をスムーズに探せます。猫を実際に引き取るまでには、直接募集者に会っての面談や必要書類の提出をしたり、引き渡し時には猫を自宅まで送り届けてもらったりするなどの過程が一般的です。
次にあげられるのが譲渡会です。全国各地で動物愛護センターや保健所などが主催しており、インターネットや電話での事前申込が必要なところがほとんどです。会場では猫と直接触れ合うこともできます。主催団体が定める譲渡条件を満たしていることが確認され、譲渡が成立すると1〜2週間程度でスタッフが自宅に引き渡しに来てくれます。
また、最近増加しているのが保護猫カフェやシェルターと呼ばれる施設です。触れ合うことができる猫が保護された猫ばかりであることを除いて、通常の猫カフェと基本的な利用方法は同じ。カフェの売上は猫のために使用されます。飼い主募集、譲渡をしているカフェも多いので、気軽に寄って、猫と触れ合って、相性がいい猫を引き取るといったプロセスをたどれます。
【参考】
東京都福祉保健局健康安全部環境保健衛生課 「猫の飼い方」
保護猫の飼い主になるための主な条件

保護猫の多くが、飼い主が世話をできなくなったり、捨てられたりと悲しい運命をたどってきました。そのため、保護猫の飼い主になるためには以下のような条件を満たす必要があります。
【保護猫の飼い主になるための基本的な条件の一例】
・責任と愛情を持って育てる
・同居家族すべての同意を得ている
・18歳以上で経済力がある
・6歳以下の子どもがいない家庭
・定期検診や獣医療の必要性を理解し、あたり前に医療を受けさせる
・完全室内飼育を徹底できる
など
また飼育を放棄する危険性の排除、猫の安全な暮らしを保障するため、以下の項目はNGになることが多くなっています。
【飼育不可条件の一例】
・単身の方
・学生の方
・60歳以上の方
「猫の世話を最期までできるのか?」という観点から、高齢の方は保護猫の飼い主募集に応募しても断られるケースが多くなっています。しかし、落ち着いた成猫であれば飼い主として認められる場合や、60歳以上でも特に制約がない場合もあります。
先述の条件を満たした後、譲渡元によっては次の書類の提出が必要となります。
・源泉徴収票
・本人確認書類
・勤務先電話番号、在職証明書
・ペット飼育許可証(賃貸の場合)
条件が厳しいと感じた方も多いと思いますが、これらは生き物を飼育するうえで最低限必要なもの。万が一、経済的事情や住環境によって飼育できなかったとなれば、猫は再び路頭に迷うことになってしまいます。
また、譲渡が成立した場合、去勢・避妊手術費用やワクチン代などの経費が必要となることもありますので、事前に確認をしておきましょう。
【参考】
環境省 「飼い主の方やこれからペットを飼う方へ(外部サイト)」
飼育費用や寿命について

最後に猫の飼育にかかる費用や寿命について説明します。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、猫1匹にかかる1ヵ月あたりの平均額(医療費・キャットフードなど)は、7,485円。また、完全室内飼育の猫の平均寿命は15.95歳なので、単純計算すると生涯で必要となる費用は約143万円になります。
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(記事提供元:サムライト株式会社、画像提供元:Shutterstock,Inc、ピクスタ株式会社)
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