SF映画が現実に?脳とコンピューターがつながるブレインテックとは?

SF映画が現実に?脳とコンピューターがつながるブレインテックとは?

SF映画が現実に?脳とコンピューターがつながるブレインテックとは?

脳科学とテクノロジーが融合した「ブレインテック」。今、世界中でブレインテックの研究が進められています。その進歩は、私たちの生活にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。ブレインテックの進歩によって描かれる未来を紹介します。

ブレインテックとは?

ブレインテックとは?

ブレインテックとは脳科学を活用したテクノロジーであり、“ブレイン”と“テクノロジー”が語源。医療や教育など様々な分野において、革新的な発展を担うテクノロジーの一つとして期待されています。脳の神経細胞である“ニューロン”を用いて、ニューロテックと呼ばれることもあるようです。

日本では、2016年4月に文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムが発足し、「社会に貢献する脳科学」をキーワードに脳機能の全容解明をめざすプロジェクトが進行中。この動向は、ブレインテックの研究拡大につながる可能性があるため、国内のブレインテック産業の進歩という観点からも、大きく期待されるプロジェクトと捉えられています。

ブレインテックの進歩によって、私たちは、どのような未来を描くことができるのでしょうか。以下に一例を紹介します。

意図的に脳を集中状態にする

意図的に脳を集中状態にする

脳をブレインテックにより意図的に集中状態にできるようになると、教育現場における効率的な学習への応用などが期待されます。その方法として、例えば、集中状態時の感覚を掴むことで、意図的に脳を集中状態に切り替えることが模索されています。

利用者はまず、ヘッドセットを用いて平常時と集中時の脳波データを取得。その脳波データをスマートフォンアプリに登録して、アプリ内のキャラクターとリンクさせます。キャラクターはリンクされた脳波データを動きのベースとし、利用者の脳波状態が動きに反映されるようになります。その結果、利用者が集中している時はアプリ内のキャラクターが早く走るなど、脳の集中状態が可視化され、利用者は自分自身の集中状態がいつなのかを認識しやすくなります。

そのようなトレーニングを重ねて集中状態にある時の感覚を掴めるようになると、結果的に脳波をコントロールできるようになり、意図的に脳を集中状態に切り替えることができると考えられているのです。

医療の進歩につながる

医療の進歩につながる

ブレインテックは、脳に由来する病気である認知症やうつ病などの神経性疾患の治療など、医学領域においても期待されています。例えば、これまで測定が難しかったレベルの脳波や脳血流といった細かい動きまでが医療機器により測定可能になり、新たな治療法につながる発見があるかもしれません。

また、糖尿病患者固有の脳波の分析や、脳から発せられる情報を操作することなどにより、糖尿病や心臓病といった病気の治療をめざす企業もあるようです。

思考を外部に伝達する

思考を外部に伝達する

脳に埋め込んだデバイスなどで脳とコンピューター(外部機器)を接続するブレインテックは、BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)と呼ばれます。BMIはブレインテックの中でも注目されている分野です。このBMIを介して、脳が発する指令を外部に伝えることができるようになれば、言葉を発さなくても念じるだけで他者と会話ができる、考えるだけで思い通りに自動車を運転する、といったことが実現するともいわれています。

また、身体の障がいによって機器の操作ができない人も、BMIによってパソコンやスマートフォンなどの操作ができるようになる可能性があるため、社会福祉の分野でも注目されています。具体的には、以下のような研究と期待があるようです。

ゴーグルを装着して、コンピューターに脳波を読み取らせる研究

グローバルなSNSプラットフォームを提供する企業では、脳波を読み取ることができるゴーグルの開発が進んでいます。このゴーグルを装着すると、頭に思い浮かべた文章をパソコンやスマートフォンに入力することが可能になるとされています。開発中の企業が発表した予測によると、この実現により、一般的なキーボード入力の約5倍のスピードで文字入力が可能になるとされています。

脳に埋め込んだデバイスをコンピューターとリンクさせる研究

脳に埋め込んだデバイスを利用してコンピューターとつながる研究をしている企業もあります。脳に埋め込むため、先のゴーグルのような装置は不要ですが、手術が必要となります。さらに同社では、その手術の安全性を考慮し、デバイスの埋め込み専用ロボットの開発も進めているようです。人体やデバイスを損傷させることのない精密な動作で、埋め込みを実施するインプラントロボットが登場する日は遠くないでしょう。

ブレインテック研究の進歩

ブレインテック研究の進歩

ブレインテックの歩みは確実に進んでいます。例えば、脳波を簡単に測定できるイヤホン型脳波計が2021年中に販売開始予定です。脳波をモニターすることで、人の集中の度合いや疲労度といった脳の状態が可視化され、仕事の生産性向上支援やメンタルヘルスケア分野の新しいサービス開発に役立つことが期待されています。また、前述したような、脳波コントロールの訓練を目的としたアプリは既に実用化されており、作業効率の向上などを目的に企業研修などに活用されているようです。

医療の分野においては、2019年に日本国内の研究グループが、てんかんの発作予兆を脳波から検出する人工知能の開発に成功したと発表しています。この分野におけるブレインテックは、新しい治療法や予防法につながる可能性があるとして、特に期待されています。

BMIにおいては、半身不随の患者が脳に埋め込んだ電極を介してテレビゲームで遊ぶ動画が2019年に公開されました。まだ途上段階の技術のため、簡単な操作しか行えないようですが、コントローラーを持たずにゲームをプレイする模様が大きく話題を呼びました。

大いなる可能性を秘めたブレインテック

人にとって極めて重要な役割を持つ器官でありながら、まだまだ未知の領域である脳。テクノロジーと融合し、医療や教育、福祉などにおいて今後、様々な影響や効果が期待されるブレインテックは、私たちの未来に大きな希望と期待を抱かせてくれるでしょう。

ライタープロフィール
内田 陽
内田 陽
株式会社ペロンパワークス・プロダクション所属の編集・ライター。Web制作会社での企画営業・ディレクター職などを経て入社。各種メディア記事の作成を担当。

内田 陽の記事一覧はこちら

RECOMMEND
オススメ情報

RANKING
ランキング