あこがれの未来ガジェット「スマートグラス」の進歩

あこがれの未来ガジェット「スマートグラス」の進歩

あこがれの未来ガジェット「スマートグラス」の進歩

かつてはフィクションのなかのガジェットだったメガネ型端末「スマートグラス」。開発が進んだ今では、実用化・販売されている製品もあります。現在のスマートグラスにはどのような機能が搭載され、どのような役割が期待されているのでしょうか?

メガネ型デバイス「スマートグラス」でなにができる?

スマートグラスは、メガネやゴーグルのような形のウェアラブル端末。まだ一般的に広まっているとはいえませんが、既に建設業の現場などで利用されている機能やプロトタイプが完成し予約販売が始まっている製品もあり、これからの活用が期待されているデバイスです。まずは、スマートグラスでどのようなことができるようになるのか、どのような機能が実用に向けて開発されているのかをご紹介します。

視覚の拡張機能

スマートグラスはメガネ型のデバイスということもあり、視覚に関する機能は既に実用化されているものが多くあります。

視覚の拡張機能

視界をそのまま撮影、他者に共有

スマートグラスの持つ一般的な機能として、使用者の目の前に広がっている景色を、静止画や動画としてスマートグラスを通した視界そのままに撮影できる機能があります。撮影はコントローラーやタッチパネルを使う方法のほか、音声によるコマンドで実現できる機種もあります。

さらにはスマートグラスを通して見えている視界を他者に共有することができるものも。この機能は既に建設業などでの利用が始まっており、スマートグラスを装着した作業者が現場で起こっている出来事を撮影し、バックヤードのスタッフや専門家と共有して、指示を聞いたり解決策を話し合ったりすることも可能です。

例えば、建設物や製造物について、2人以上で仕上がりを確認することが必要な場面がありますが、現場に2人以上のスタッフを派遣するとなると、出張旅費もかさみますし、複数の人が同時に事故に遭うといったリスクも考えられます。

しかし、スマートグラスを活用すれば現地に派遣されたスタッフが観察した内容を視界そのまま撮影して、ほかのスタッフが遠隔地で確認するということができ、安全性の向上や出張旅費などの経費の削減ができるのです。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となったりんご狩りやいちご狩りの代わりに、果物を収穫する農園主がスマートグラスを装着して作業を配信し、参加者が各自タブレット端末やパソコンで視聴して果物狩り気分を楽しむ「バーチャル果物狩り」が行われた事例も。ビジネスの現場だけではなく、このようなレジャーでの活用事例も今後増えていくことが期待されます。

動画の視聴も

スマートグラスでの撮影機能の応用として、撮影後にスマートグラスで再生する機能が搭載された機種もあります。ほかの撮影方法ではなかなか難しい、視界そのまま、一人称視点で撮影した映像は、製造業や建設業の熟練の職人の作業を若手に継承していくために利用するというような使い方も考えられます。

また、パソコンやスマートフォン向けの映像を、スマートグラスで視聴することができる機種もあり、大画面での視聴を好きな場所で楽しむことができます。視線の位置に合わせて、画面の大きさを変えられる機種や動画を視聴しながら、現実の景色も確認することができるタイプもあります。

ドローンから目を離さずに映像を確認

活躍の場が広がっているドローン。これまではドローン本体が撮影している内容を確認するために、いったん手元のモニターに目をやる必要があり、ドローン本体から目を離さなければなりませんでした。

このような場合もスマートグラスを使えば、ドローンが撮影している映像をドローン本体から目を離さずに確認することができます。既に実用化されており、ドローン本体とドローン撮影画面を同時に確認できるシースルーモード、ドローン撮影画面をしっかり確認できるライブビューモードへの切り替えなども可能です。

ドローンから目を離さずに映像を確認

ARによる道案内

今歩いている場所から目的地までの道案内についても、AR活用が各メーカーにより研究され、広がりが期待されています。

ARとは拡張現実とも呼ばれ、肉眼で見える現実の景色に、デジタル情報を加えて表示する技術のこと。例えば、今いる地点から目的地までの道のりは、これまで紙製の地図や、パソコン・スマートフォンなどに表示されたものを確認してきました。スマートグラスを使えば、実際に立っている道の上に、矢印などで目的地への道のりをARで表示させ、それをたどって目的地まで到達することができるのです。

観光ガイドもARで

ARを使った道案内は観光への利用も期待されています。観光地ではガイドブックやスマートフォンを片手に、街を歩く観光客が多いですが、手元を見ながらの散策は、交通事故などのリスクも高まります。

観光客がスマートグラスを使えば、実際の景色に観光用のデータをARで表示させたり、違う言語を使う人のための翻訳機能でコミュニケーションを促進したりすることもできるでしょう。

観光ガイドもARで

音声に関連する機能

視覚に関する機能に比べると多くはありませんが、音声に関する機能も様々な用途で実用化に向けた開発が進んでいます。

音声に関連する機能

音声で通話ができる

既にイヤホンで実現している機能ではありますが、もちろん通話機能が搭載されたスマートグラスも。スマートグラスの幅広い機能を考えると、イヤホンなどでのハンズフリー通話よりも様々な使い方が期待できます。

会話しながら翻訳してもらえる

ある言語を音声認識し、別の言語の字幕として表示したり、母国語に吹き替える翻訳機能を開発しているメーカーもあります。実用化されれば、海外旅行だけではなくビジネスでも言語の壁を越えたコミュニケーションがとれるでしょう。

アスリートのための機能も

様々なセンサー機能を搭載し、アスリートの能力向上に役立てるための研究も進んでいます。

アスリートの状態を多角的に把握

スマートウォッチが既に搭載しているような、ランニングした速度、距離、その際の心拍数などのデータをセンサーで計測し、記録する機能を持つスマートグラスもあります。スマートグラスならではの強みとしては、そのデータをディスプレイ上で可視化できることです。それらのデータを確認しながら、トレーニングの質や量の調整、フォームの改善ができます。

中には世界的な大会で銀メダルを獲得した自転車チームが公式に採用している製品もあり、スマートグラスが一流のアスリートにとって欠かせないデバイスになる未来もきっと遠くはないでしょう。

アスリートの状態を多角的に把握

まとめ

様々な機能がメガネ型の端末に搭載されているスマートグラス。少し前まで「SF映画のなかのもの」のように思われていたデバイスが、現実に使える時代になりました。製造業や建設業などの現場作業で使用しやすいものから、スポーツや映画視聴、観光のためなど娯楽に使えるものまで存在します。選び方と使い方次第で新たなビジネスアイディアが生まれ、今後生活がますます便利になるでしょう。

ライタープロフィール
河野 陽炎
河野 陽炎
プロ資格マニア、ライター、起業・集客コンサルタント。
ライターとして金融・経済関係の原稿を多く手がける。次々と改正される法律や、発売される数多くの金融商品が、1人の生活者としての私たちにどのような影響を与えるのか、という点を大切に執筆活動を行う。大阪・泉州の郊外で、農家をリノベーションした住宅を自宅兼オフィスとする。趣味はディンギーヨットに乗ること、資格を取ること、日本の伝統芸能とウルトラマンに関すること。著書は「プロ資格マニアになる方法」「あなたの隣のコンサルタント」「今日から病気も友達」など。
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