日本が2050年までに実現する「カーボンニュートラル」とは?

日本が2050年までに実現する「カーボンニュートラル」とは?

日本が2050年までに実現する「カーボンニュートラル」とは?

目にしたり、耳にしたりする機会の増えた「カーボンニュートラル」。菅首相が所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル宣言」を出すなど、その必要性が叫ばれています。本記事では「カーボンニュートラル」って何?どんな状態のこと?などを分かりやすく解説します。

カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルとは?

「カーボンニュートラル」とは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素濃度の上昇を抑制する概念のこと。

環境省では、「市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの責任と定めることが一般に合理的と認められる範囲の温室効果ガス排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、ほかの場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等を購入すること又はほかの場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部を埋め合わせた状態をいう。」と定義しています。

カーボンニュートラルについて理解をするためには、まず「カーボン・オフセット」について知る必要があります。

カーボン・オフセットとは、簡単にいえば、「二酸化炭素などの温室効果ガスの排出をできるだけ減らすように努力をしたうえで、削減が困難な部分については、ほかの場所での削減・吸収活動(削減・吸収量)によって、排出量の一部もしくは全ての埋め合わせをしよう」という考え方のことです。

上記の「ほかの場所での削減・吸収活動」には、下記のような例があげられます。

・森林の管理・育成などの森づくり
・バイオマス・水力・太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用
・高効率省エネ機器の導入

このカーボン・オフセットの取り組みを更に深め、事業活動などからの温室効果ガス排出総量のすべてを、ほかの場所での排出削減・吸収量で埋め合わせをした状態が「カーボンニュートラル」です。

世界各国のカーボンニュートラルへの動き

世界各国のカーボンニュートラルへの動き

日本だけでなく、世界各国や各企業なども、カーボンニュートラルに向けて動いています。なかには、既にカーボンニュートラルを実現した企業もあるほどです。ここからは、ノルウェー・デンマーク・アメリカ・中国の4ヵ国のカーボンニュートラルへの動きを紹介します。

ノルウェーのカーボンニュートラルへの動き

世界各国のなかでも、いち早くカーボンニュートラルへの舵取りをしていたのが、ノルウェーです。2008年には、既に「2030年でのカーボン中立化(カーボンニュートラル)」目標を宣言。気候変動に関する国際情勢の流れを踏まえ、一度目標を2050年までに延期したものの、2016年6月に改めて目標達成を2030年に前倒ししています。

さらに2020年2月には、温室効果ガスの排出を2030年までに1990年比で50~55パーセント削減することをめざすと発表。これまでに掲げていた削減目標40パーセントから、目標をさらに高く再設定しています。

デンマークのカーボンニュートラルへの動き

カーボンニュートラルについて、世界で類を見ないほどに高い目標を掲げているのがデンマークです。もともとデンマークは1970年代にオイルショックを受けたことから再生可能エネルギーにシフトしており、2018年時点で電源構成の60パーセント以上を自然エネルギーが占める状態になっていました。

そんななか、2019年12月6日には、2030年までに二酸化炭素排出量を1990年比で70パーセント削減すること、2050年までにカーボンニュートラルにすることを定めた「新気候変動適応法」に、与野党含めた大多数で合意しています。

なお、新気候変動適応法の達成のために、下記のような行動計画も明示しています。

・気候評議会が毎年専門的な評価を行い、気候行動に関する年次勧告を行うこと
・毎年9月に、大臣は気候変動プログラムを発表すること

アメリカのカーボンニュートラルへの動き

ドナルド・トランプ氏が大統領に就任していた際には、気候変動対策に後ろ向きの姿勢を見せていたアメリカ。しかし、そんなアメリカでも、各企業がそれぞれカーボンニュートラルへの対策を公言したり、達成を発表したりしています。

Google

Googleがカーボンニュートラルを達成したのは2007年のこと。さらに2020年9月には、創業年である1998年から2007年までに排出したカーボンレガシー(二酸化炭素排出量の遺産)もゼロにしたことを発表しました。

2017年には既に電力を100パーセント再生可能エネルギーに切り替えているGoogleですが、2030年までに世界の事業所・データセンターなどで使用されている電力を、二酸化炭素を排出しない「カーボンフリー」に切り替えることも宣言しています。

Microsoft

Googleのように、創業時代からの二酸化炭素排出量をゼロにすることを宣言しているのが、Microsoftです。Microsoftの具体的な目標は、2030年に排出される温室効果ガスよりも、温室効果ガスを吸収する割合の方が多い状態を示す「カーボンネガティブ」になること。そして、2050年までに、1975年の創業以来排出してきた二酸化炭素の環境への影響を完全に排除することです。

なお、このMicrosoftの取り組みは、毎年Environmental Sustainability Report (環境サステナビリティレポート)にて公開されています。

Apple

Appleも既にカーボンニュートラルを達成している企業の一つですが、カーボンニュートラルまでにとどまらず、事業全体・製造サプライチェーン・製品ライフスタイルのすべてに関して、2030年までに気候への影響ゼロをめざすことを宣言しています。

さらにAppleは、カーボンニュートラルを実現するうえでのアプローチの詳細を、他社に向けてロードマップとともに提供。「低炭素の製品デザイン」「エネルギー効率の拡大」「再生可能エネルギー」「工程と材料における革新」「二酸化炭素の除去」の5つのカテゴリに分類した気候ロードマップの目標を基に、温室効果ガス排出量の削減をめざすとのことです。

中国のカーボンニュートラルへの動き

2020年9月の国連総会で、カーボンニュートラルに向けての宣言を発表したのが中国です。2019年時点で、世界で最も二酸化炭素の排出量が多い中国ですが、2030年までに二酸化炭素の排出量を減少させること、2060年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しています。

日本のカーボンニュートラルへのプロセス

日本のカーボンニュートラルへのプロセス

日本でも、各企業や団体がそれぞれ目標を掲げ、カーボンニュートラル達成のために各々のプロセスを辿っています。その一例としてあげられるのが、サンゴ礁の保全活動、やんばるの森などの環境調査活動を実施している沖縄県環境科学センターの対策です。

沖縄県環境科学センターでは、サンゴ礁の調査のために使用している調査船から排出されている二酸化炭素の排出量について、カーボン・オフセットを実施しています。年間に10トンほど排出している二酸化炭素は、長崎県対馬市の森林プロジェクトを活用してオフセット。また、対馬の森に住む絶滅危惧種の動物保全にも活用しているとのこと。その結果、2012年11月には環境省が取り組みの信頼性を認めるカーボン・オフセット認証も取得しています。

そのほかにも、東京都立つばさ総合高等学校、高知県オフセット・クレジット認証センターなど、各機関・企業による取り組みは、環境省の「カーボン・オフセット フォーラム」サイト内にある「オフセット取組紹介」にて、紹介されています。

環境省:カーボン・オフセット フォーラム (外部サイト)

2020年12月13日に、政府が2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標を法制化する方針を固めたことが発表されました。この方針が有識者検討会で合意されれば、これまで以上に企業・行政などのカーボンニュートラルのための対策は進んでいくことでしょう。

個人の生活からもカーボンニュートラルの実現をめざそう

個人の生活からもカーボンニュートラルの実現をめざそう

事業活動などで排出される温室効果ガスのすべてを、ほかの物事で削減・埋め合わせしようとする取り組みを指す、カーボンニュートラル。

基本的には行政・企業の目標の一つとして掲げられるカーボンニュートラルですが、下記のように家庭・個人で温室効果ガスの排出量を減らすための取り組みを行うことが可能です。

・クーラーの設定温度は1度高く、暖房の温度を1度低くする
・待機電力を削減する
・LED電球を利用する

地球の環境を守り続けるためにも、一人ひとりが取り組む必要がある温室効果ガスの削減。この機会に毎日の生活を見直して、できることから取り組んでみてはいかがでしょうか。

ライタープロフィール
ながた さや
ながた さや
Webライター。1993年生まれ。新卒でIT企業のエンジニアとして勤務後、2018年9月からフリーランスのWebライターとして活動を開始。SEO・取材記事を中心に、美容・旅行・ITなど様々なジャンルの執筆を行っている。
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