フェイクミートが注目されるのはなぜ?環境・健康との関係

フェイクミートが注目されるのはなぜ?環境・健康との関係

フェイクミートが注目されるのはなぜ?環境・健康との関係

フェイクミート(代替肉)への注目度は年々高まっており、市場規模や市場成長率も拡大中です。この記事では、そんなフェイクミートの市場がどれほど拡大しているのかということや、注目されるようになった背景について解説します。

市場規模の拡大が予測されるフェイクミート(代替肉)とは?

市場規模の拡大が予測されるフェイクミート(代替肉)とは?

フェイクミートとは、大豆・えんどう豆などの植物性たんぱく質から製造される、「肉に似ている食品」です。動物や魚の肉の代わりとして使用され、ベジタリアン、ヴィーガンを始めとした人たちの間で広まっています。

また、健康や環境への影響、動物福祉の観点などからフェイクミートを食べる人も存在します。現在、フェイクミートは海外・国内ともに注目されているのです。

アメリカでは2009年にフェイクミートの会社が誕生した

アメリカでは、2009年にフェイクミートを主商品とする会社「ビヨンド・ミート(Beyond Meat)」が設立されました。ビヨンド・ミートは、人々の健康や地球環境を守ることを使命として多くの人から支持を受け、2019年にはアメリカにある世界最大の新興企業向けの株式市場NASDAQに上場を果たしました。

また、同じくアメリカ企業である「インポッシブル・フーズ(Impossible Foods)」は2011年に設立され、「肉と地球を守る」をミッションに掲げています。インポッシブル・フーズはこれまでに1,350億円(13億ドル※1ドル104円として計算)以上の資金を調達し、事業規模を拡大し続けています。

日本でもフェイクミートが注目を集め、今後はさらに市場規模が広がる予想

日本でもフェイクミートの市場は広がり始めており、2020年6月には「ネクストミーツ」が設立されました。ネクストミーツは「代替肉で地球の未来をつくる」という理念を掲げ、フェイクミートを使用した牛丼・カルビ・ハラミなどを販売しています。

このように、フェイクミート市場は世界中で拡大し始めていることが分かります。調査会社である「MarketsandMarkets」の報告によると、フェイクミートの市場規模は2019年時点で約1,664億円(16億ドル※1ドル104円として計算)であり、2026年には約3,746億円(36億ドル※1ドル104円として計算)にまで広がるだろうとのことです。

フェイクミートに関連する企業はこれからも増えていき、食品業界全体にムーブメントが広がっていくでしょう。フェイクミート事業は今後、大きなトレンドになると予想されます。

なぜフェイクミートが注目されているのか

なぜフェイクミートが注目されているのか

なぜフェイクミートが注目されるようになり、市場規模は拡大しているのでしょうか。
その理由は大きく分けて以下の4つです。

・動物愛護
・環境保全
・健康意識の高まり
・人口増加

それぞれ解説します。

フェイクミートが注目され始めた4つの背景

1つめは動物愛護の観点から。世界には動物福祉を訴え、牛や豚などを食べることに反対の意思を示す人もいます。そのような人たちも、フェイクミートなら肉特有の食感や味を活かした料理を楽しめるでしょう。

2つめは環境保全です。従来の肉食品には、放牧のための広大な土地の開拓、牛の体内から発されるメタンガス、家畜の飼育に必要な大量の穀物と水など、様々な課題を問題視する声も上がっています。そのため、肉の代替食品であるフェイクミートを活用することで、環境保全につながると認識されているのです。

3つめは健康意識の高まりです。世界保健機関(WHO)の報告によると、赤身肉や加工肉には食べ過ぎると発がん性があると指摘されています。また、肉を摂取し過ぎるとコレステロール値が上昇するなど、健康面で不安を感じる人もいるでしょう。そのような不安を解消するためにフェイクミートを選ぶ人も増えているようです。

4つめは人口増加です。国際連合広報センターの報告によると、地球上の人口は現在の約77億人から、今後十数年で約85億人まで増加し、2050年には約100億人に達するだろうとのことです。こうした予測から、人間に必要なたんぱく質を確保できるのかどうかという懸念が生じています。そこで、食糧不足を解決するために菜食主義や昆虫食が提案され、フェイクミートもそのなかの一つです。

このように、フェイクミート普及の背景には大きく分けて4つの理由があります。

大豆由来のフェイクミートと小麦由来のフェイクミート

大豆由来のフェイクミートと小麦由来のフェイクミート

現在流通しているフェイクミートは大きく分けて2種類。大豆由来の成分で作られたソイミートと小麦由来の成分で作られたグルテンミートです。

それぞれどのような特徴があるのでしょうか?

ソイミート

ソイミートの多くは乾燥した状態で販売されており、料理に使うにはまず水やぬるま湯でもどしてから洗う必要があります。わざわざもどす必要があるのは面倒と感じるかもしれませんが、乾燥している分保存が効くため本物の肉のように冷蔵する必要がなく、買い置きができるのも大きなメリットです。

現在では多くのメーカーからソイミートが発売されており、形状も鶏の唐揚げ状のようなブロックタイプから、細かいミンチタイプ、さらには手羽先やエビを模したタイプも出ています。味がついていない商品が多いため、様々な料理に活用することができます。

グルテンミート

グルテンとは、小麦粉特有のタンパク質のこと。グルテンは私たちの暮らしに意外と身近で、実はお麩もグルテンを使用した食品です。グルテンミートもお麩と同じようにグルテンを元に作られています。

グルテンミートは瓶詰めや缶詰で販売されていることが多く、しょうゆなどで味付けされていることも。購入するだけではなく小麦粉と水で手作りすることもできるため、レシピを調べて作ってみるのも良いでしょう。

料理のレパートリーを広げる新たな食材として

「フェイク」「代替」と聞くと、本物には勝てないだろうと感じてしまう人も多いかもしれません。しかし、フェイクミートを新たな食材の一つとして捉えて食卓に取り入れれば、食べ飽きてしまった料理が新鮮に感じられたり、おいしいけれどカロリーが気になる料理もヘルシーに楽しむことができたりと、様々なメリットが感じられるはず。機会があれば試してみてくださいね。

ライタープロフィール
池田 昇太
池田 昇太
大学卒業後、介護施設に就職。本業と並行しながら、FP技能士2級を取得。過去に投資詐欺に遭った経験があることから、「人々のお金の不安を解消したい」という想いを抱きつつ、FPとして相談・執筆業を行う。不定期でウェビナーを開催しており、資産運用や保険などについての講演をしている。
池田昇太 紹介ページ(外部サイト)

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