昔の人の先見性はすごかった。『二十世紀の豫言』に見る100年以上前の未来想像図

昔の人の先見性はすごかった。『二十世紀の豫言』に見る100年以上前の未来想像図

昔の人の先見性はすごかった。『二十世紀の豫言』に見る100年以上前の未来想像図

私たちの日常生活や働き方は目まぐるしく変化しています。その一方で100年以上も前に、今日の社会を驚くほど高い的中率で予想していた『二十世紀の豫言』という記事をご存じでしょうか?ここではその一部とあたった預言の傾向を紐解いてみましょう。

テレビ電話やエアコンも予想していた100年前の預言

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明治時代の銀座

『二十世紀の豫言(預言)(にじっせいきのよげん)』とは、1901年(明治34年)1月に報知新聞に掲載された未来予想の記事のこと。預言は科学や医療、気候変化や日常生活など様々な分野をまたいで23項目が取り上げられており、そのうち多くが的中しているとして、近年になって度々話題になる機会が増えています。

では、具体的にはどのような預言があったのでしょうか。的中したものとそうでないものを分けて、興味深い項目を抜粋してみました。

的中していた10項目の預言

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・無線電信電話
「ロンドンやニューヨークにいる友人と自由に対話できる」と預言されています。これは国際電話や携帯電話が実現。

・遠距離の写真
電気の力で遠く離れた場所を写真で確認できる、という旨を記載。これもテレビ、カラーテレビが実現しています。

・七日間世界一周
「19世紀末には80日間かかった世界一周は、20世紀末には7日間でできるようになります」と預言。飛行機などの交通機関の発達により、人も物も24時間あれば東京からアメリカまで移動が可能です。

・空中軍艦・空中砲台
この直後の1903年にライト兄弟による有人動力飛行テストが成功しました。

・暑寒知らず
エアコンの普及はいうまでもありません。

・植物と電気
温室栽培を既に予測しています。

・写真電話
いわゆるテレビ電話です。最近ではオンライン会議で実用化されていますね。

・買物便法
「写真電話で遠くにある品物を確認し、売買できる」とあります。これは今日のネット通販が該当するでしょう。

・鉄道の速力
「東京・神戸間は2時間半で結ばれます」と予想。まさに現在東京-新神戸間は約2時間40分で新幹線(のぞみ)による移動が可能です。

・自動車の世
これは説明不要でしょう。もはや20世紀の時代から一部の富裕層だけの乗り物、という時代ではありません。

いかがでしょうか。120年前にもかかわらずかなりの精度で21世紀の現代社会を予測しているといえます。次にまだ現実となっていないものをみていきましょう。

的中していない5項目の預言

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・野獣の滅亡
ライオンや虎、ワニなどについて「わずかに大都会の博物館で余命を過ごしています」と予想。WWFによると2010年時点で3,200頭とされている虎など、アフリカ原野などで一部絶滅が危惧される野性動物はいますが、野獣の完全な滅亡はまだ免れています。

・サハラ砂漠の灌漑(かんがい)
「灌漑」とは人工的に水を供給すること。砂漠の緑化は進んでいますが、サハラ砂漠南側のサヘル地域は気候変動にともなって砂漠化の進行が指摘されています。

・暴風を防ぐ
「観測術進歩して(中略)1ヵ月以前に予測する」「地震はあっても家屋や道路建築はその害を免れる」とありますが、これはまだ完全には実現されていません。

・人と獣の会話自在
「獣語の研究進歩して小学校に獣語科あり」とありますが、これもまだ実現されていません。

・幼稚園の廃止
「家庭に無教育の人無きをもって幼稚園の必要がなく、大学を卒業しなければ男女とも一人前ではない」と予測。しかし幼稚園は今なお教育機関として重要な役割を果たしています。また大学卒業者の割合も当時と比べると高まっていますが、教育の在り方は多様化が進み、一人前であるか否かは見方が分かれるところでしょう。

この『二十世紀の豫言』の解釈は人によって様々で、「的中していない」と言い切れないものもあります。的中していない預言のなかにも、気象予報の精度は当時と比べて飛躍的に進歩していたり、耐震建築など防災技術も高度化が進んでいたりと、一部達成がみられるものもあります。

的中したものとそうでないものとの差は?

前述の通り明治時代の預言としては的中率の高さに驚くばかりですが、一方で気になるのは的中したものとしなかったものの違いです。これは的中したものと、そうでないものとの違いと言い換えてもいいかもしれません。せっかくですので傾向を少し整理してみましょう。

まず、的中して実現されたものをみてみると、ほとんどが科学技術の進化が背景にあります。例えば「無線電信電話」は19世紀末に既に無線電信が発明されており、「暑寒いらず」も19世紀中頃に海外で製氷機や冷凍機が開発され、この記事のすぐ後の1902年に電気式エア・コンディショナーがアメリカで開発されています。また「鉄道の速力」は19世紀末に蒸気機関車が開発され、「自動車の世」も、ガソリンエンジンを積んだ自動車が1880年代に開発されています。

つまり実現されたものの多くはまったくの無から有へと変化を遂げたものではなく、当時の人々の努力と地続きにある、着実な科学技術の進歩が土台にあったといえます。明治時代の科学技術がどのような水準かピンとくる人は多くないかもしれませんが、この『二十世紀の豫言』の記事内にも、「19世紀は蒸気力時代、電気力時代であったが、20世紀の社会は果たしてどういった現象がみられるだろうか」との趣旨の記載があります。

これまでの社会発展を振り返ると、19世紀に鉄道技術の高度化があった後に大量輸送時代を迎え、その後20世紀になれば自動車や電気製品の進化が大衆消費社会を促進させました。そして今日の情報社会も、20世紀から急速に改良が進む半導体の生産技術と処理能力の向上が裏側にあります。このようにいわゆる「豊かな社会」の裏には、コツコツと長い期間をかけた、発明の積み重ねがあったといえるのではないでしょうか。

まとめ

100年先の予想の多くを的中させた『二十世紀の豫言』の一方で、2020年上半期の「コロナショック」のように、数ヵ月前には予想もしていなかったことが起こる昨今。

将来のことを考えるにあたって重要なのは、この『二十世紀の豫言』のように現状を見据えたうえで未来について考え、自分の将来に必要な知識やお金、予想外のことが起きたときの備えをコツコツと積み重ねていくことかもしれません。

参考:
・文部科学省「科学技術白書(平成17年版) 」第1章p7『二十世紀の豫言』
・『明治ニュース事典』第6巻(毎日コミュニケーションズ)
・『百年前の二十世紀』(筑摩書房)横田順弥著

ライタープロフィール
田中 雄大
田中 雄大
主にマネー系コンテンツ、広告ツールを制作する株式会社ペロンパワークス・プロダクション代表。関西学院大学卒業後、編プロ、マネー系雑誌等の編集記者を経て2014年設立。AFP認定者。

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