SNSが大きく影響した! デジタルネイティブZ世代の特徴

Z世代とは1990年代後半から2000年代に生まれた、2020年現在、10代から20代前半の若者のことを指します。インターネットやデジタルゲーム機、SNSなどのデジタルデバイスが当たり前に存在する時代に生まれたデジタルネイティブな世代。学生時代からスマートフォンを使用し、その手軽さや迅速に情報を得られる環境があたり前のため、パソコンに苦手意識を持つ人が多いようです。レポートもスマートフォンで書く、という人もいるとか。
スマートフォンを持つことで、「SNSへの参加傾向」が強くなったと考えられ、これがZ世代の特徴を大きく左右しています。
まずSNS上のタイムラインには常に友人やインターネットの中で知り合った人の行動が表示されます。実際に顔を合わせたり連絡を取り合ったりしなくても、「誰がどこでいま何をしているのか」ということが瞬時に把握できるのです。そのため、インターネットの中だけの人間関係と実際の人間関係に大きな境界線がありません。
次に、SNSでは個人が自由に考えやスタイルを発信でき、多様な生き方をする人々に出会うことができます。そのため、集団に迎合しない自分のスタイルや生き方を貫くことに価値を見いだし、自分自身を主張することにためらいがないのです。
そしてZ世代は幼少期にリーマンショックなどが起きたことから、不況の中で成長しました。景気の減退を目にしてきたからこそ、安定する職業や終身雇用という言葉に対する信頼が低いことも特徴です。
Z世代が台頭する未来にはどんな変化が起きるの?

そんなZ世代が台頭する未来ではどのような変化が起きるのでしょうか?
一つ目に考えられることは、「会社組織の在り方が変化」するのではないかということです。Z世代の特徴から推測すると、大きな組織の歯車になるよりも自分にしかできない仕事をしたい、また様々な経験を得たいと考え、現在よりも起業をしたり転職をしたりする人が増えるのではないかと考えられます。
そしてデジタルネイティブなZ世代は、何においても速さを求めています。従来のやり方は一つのプロジェクトを慎重に精査し、様々な役職の人に許可をもらってようやく形になるというものですが、これではZ世代の流行のスピードに追いつくことができません。
そのため、昇進することが良いという価値観が無くなり、役職に囚われなくなると考えられます。これは、プロジェクトを迅速に進めるための組織形態への変化が必要になるということにつながります。
安定志向に甘えない、また甘えることに対する危機感があるZ世代は、臆することなく新しい組織形態を受け入れ、自分に合った仕事を選択していくのではないでしょうか。
二つ目に考えられることは「一人ひとりの多様な生き方が認められ、それに伴った社会変化が起きる」のではないか、ということです。
Z世代は、SNSにおいて、男女の役割やセクシャリティに囚われない生き方をする人々の情報に触れる機会が頻繁にあります。それを寛容に受け入れる柔軟さや、自らも「自由な生き方を選びたい」とSNS上で発信する人が多く存在します。そんなZ世代が台頭する未来には多様性を認めた制度への変化が求められるのではないでしょうか。例えば、同性婚や男女別姓、同居しない結婚生活などです。
それにより、型にはまらない生き方に適応した制度が求められ、確立されていくのではないかと考えられます。
共感の嵐!Z世代カリスマ的存在 Kemio
Z世代で知らない人はいないほど、Z世代のカリスマ的存在であるKemioさん。彼は主に動画クリエイターとして活動し、YouTuberやモデルなどマルチに活躍中です。SNSを巧みに扱い、自身のスタイルを発信しています。
「あげみざわー」など、Kemioさんの使う独自の言葉は 「けみお語」 と呼ばれ女子高生の間で流行しました。Kemioさんの最大の特徴は生き方やスタイルに対する考えをけみお語で発信しているということです。
「変わってるって笑われるなら普通で残念だねって笑ってやるのウチら」
「自分の人生のスケッチブックは自分で描くから。人のスケッチブックには落書きしないで。」
このような名言が話題を呼び、Kemioさんのエッセイ集 「ウチら棺桶まで永遠のランウェイ」 は印刷部数15万部を突破しています。この本の中で自身がゲイセクシャルであることも公表し、偏見のない社会への変革を訴えかけています。
SNSを使いこなしネット社会であたり前に生きているZ世代でも息苦しさを感じてしまうことがある現代において、自分らしく生きることを大切にしようという、KemioさんのメッセージはZ世代に勇気を与え、多くの人が共感しているようです。
オンリーワンな価値を。Z世代との向き合い方

これまでZ世代の様々な特徴や傾向をご紹介してきました。では実際にZ世代とどのように向き合い、関わっていけばよいのでしょうか。
まずは、Z世代を「若者」という固まりで捉えずに「個人」として見ることです。Z世代の特徴から読み取れるように、「若者」という集団の一部として見られることや「若者はこうである」と決めつけられ、先入観を抱かれることを嫌います。そんなZ世代と向き合うときは、 「一般的な若者」 としてではなく 「一人の人間」 として年齢に関わらず言葉を交わすことが大切だと考えられます。
またZ世代の発言に対して、頭ごなしに否定するのではなく「それも一つの考え方であると肯定すること」が必要です。Z世代は不況の時代に成長し多種多様な情報に触れ、自分の意見をしっかりと持つ人が多く見受けられます。その意見の根底にあるのは彼らが導き出した「オンリーワンの価値観」。それを、常識にあてはめることなく認めてあげることが大切です。
そしてZ世代は今まで触れたことのないものへの好奇心が旺盛です。例えば、最近ではインスタントカメラやフィルムカメラ、80年代や90年代を彷彿とさせるアートや音楽が再ブレイクしました。Z世代はデジタルデバイスによって精密なものを膨大に複製できる時代に生まれ育ちました。だからこそ、それらにほかには代えられない価値を感じたようです。このように、過去の遺物と捉えられがちなことでも、その時代に存在しなかったZ世代にとっては新しいものに感じるのです。
Z世代は多種多様な情報に寛大なため、自分の知らない時代を好奇心をもって受け入れようとします。ここでも大切なのは「一般論ではなく、あなた自身の考えを伝えること」です。一般的なことはインターネットでいつでも調べられます。Z世代が興味を持つのは検索することのできない、あなただけが知る情報です。昔の話だと遠慮をせず、あなたのオンリーワンを伝えてみてください。
彼らの特徴や傾向を知り向き合うことは、きっと未来を切り開くZ世代に価値ある影響を与えるはずです。臆することなく積極的にZ世代と触れ合ってみてはいかがでしょうか?
【参考】
Kemio YouTube(外部サイト)
MIHA CREATORS PROFILE(外部サイト)
ライタープロフィール

日本大学芸術学部演劇学科卒業。フリーランスで女優・ダンサー・ライターとして活動中。
自身がZ世代であることから、Z世代の新しい価値観や働き方などの記事やミレニアル世代女性向けエッセイを各Webメディアを中心に執筆。
代表作に「「幸せにする」なんてたわごとだ。私を幸せにするのは誰?」(朝日新聞Webメディア かがみよかがみ) など。
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