2020年教育改革とは?

2020年教育改革では、大きく分けて「学校教育」「大学入試」の2つが変わります。
まずはそれぞれについて、詳しく解説します。
1. 「新学習指導要領」実施による学校教育の変革
従来の学校教育では、教師が生徒を教育する「講座形式」の授業をしていました。教科書を基に教師が授業を行い、「聞いて学ぶ」学習です。そのため「授業の理解度」を問うテストが、評価基準となっていました。
しかし最近は情報化社会が進んだ影響で、社会に求められるスキルとの乖離が起こっています。自分で必要な情報を見極めて学習し、行動・発言するスキルが求められているのです。
2020年教育改革の目玉が、小中学校と高等学校における「新学習指導要領」の導入です。
小学校では2020年度からすでに始まり、中学校は2021年度より全面実施されます。高校においても、2022年度に開始される予定です。
新学習指導要領では、新たに3つの軸として「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力など」「学びに向かう力、人間性など」を基にした学びを提供します。
例としては、3・4年生次での「外国語活動」科目の新設や5・6年生次での「英語」科目必修化といった外国語教育の強化や、「プログラミング教育」の必修化、「情報科目・理数教育」の指導強化などが挙げられます。
従来のような受動的な授業スタイルではなく、能動的・主体的に生徒が学習できるようなカリキュラムのもと進められています。
参考:
政府広報オンライン 2020年度、子供の学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート!(外部サイト)
Benesse 2020年教育改革(外部サイト)
2. 大学入試も「思考力」が問われる時代へ
大学入試にも、学校教育と同じく変革が訪れています。
「大学入試センター試験」が「大学入学共通テスト」という名前に変わり、以下のような内容に変更されることが検討されていました。

国語と数学に記述式が追加され、英語のテストもSpeaking(話す)、Writing(書く)が追加されています。
学校教育の変化に合わせて、より思考力を問う内容へと抜本的な改革が目指されているのです。
ただし、これらの方針については採点体制の整備の問題や採点精度の問題などから、2019年12月に行われた文部科学省の会見上で延期されることが発表されています。
出典:文部科学省 萩生田文部科学大臣の閣議後記者会見における冒頭発言(外部サイト)
とはいえ、会見内では各大学の試験内容にて記述式問題の活用に積極的に取り組む養成がなされており、将来的には大学入試でも従来より一層「思考力」が問われていくと見られています。
「アクティブ・ラーニング」を活用した学習の転換が起きている

2020年の教育改革に対応すべく注目されている学習法が、「アクティブ・ラーニング」です。ここからは、「アクティブ・ラーニング」の概要と注目を集めている理由について解説します。
「アクティブ・ラーニング」とは?
アクティブ・ラーニングとは、一言で表現すると能動的に学習するための「学習法」です。
文部科学省は「主体的・対話的で深い学びの視点からの学習法」と定義しています。
従来の教育では、教師が生徒に教える「講義形式」の授業が大半でした。そのため評価の基準も、「授業の理解度」が大部分を占めていました。
ただ授業を聞いて学ぶ学習法だけでは、「知識の習得」にとどまってしまいます。知識を生かした活用法や思考力を養うことが難しいのです。
それに対してアクティブ・ラーニングでは、生徒の主体的な思考力を形成するために授業内での計画立案やレポート作成といった事柄に注力したり、教職員や地域住民との対話を行ったりすることが目指されています。
暗記などのパターン化した学習ではなく、情報を咀嚼し、個々が回答に向かって深く考えていくことがアクティブ・ラーニングの目指す学習スタイルです。
厚生労働省は、アクティブ・ラーニングを以下の3つの柱を軸に導入していくと発表しています。
①主体的な学び
生徒が学ぶことに興味・関心を抱き、キャリア形成など将来への見通しを行えるような学び
②対話的な学び
生徒同士の連携や大人との交流を通して対話を経験し、自己の考えを伝えられるようになる学び
③深い学び
学習した知識を関連付けて思考へとつなげる力や、情報を精査する力、想像力や思考力などを体得できる学び
参考:文部科学省 平成29年度小・中学校新教育課程説明会(中央説明会)における文科省説明資料(外部サイト)
子供の好奇心や個性を伸ばしつつ、コミュニケーション機会を豊富に与えることで社会で活躍できる人材を育成するといった意図が込められています。とくに従来と異なるのは、自己学習で完結するのではなく、より対話や協同といった素養を伸ばしていこうとする点でしょう。
「アクティブ・ラーニング」が注目されている理由
アクティブ・ラーニングが注目されている理由は、大きく分けて2つあります。
・情報化が進み、求められる技術や知識の変化が早い
・時代に追いつくために、能動的に学ぶスキルが求められている
情報化社会が進み、問題解決速度が飛躍的に上がっています。分からないことはインターネットで調べれば、すぐに答えが見つかる時代です。
その影響で、必要な技術や知識の移り変わりが早くなっています。情報が降りてきてから学ぶ「受け身の学習」ではなく、自分で必要な知識を見極めて学ぶ「攻めの学習」が求められているのです。
これらの問題を解決できる学習法として、思考力や対応力を養うアクティブ・ラーニングが注目されているのです。
「プログラミング必修化」を皮切りにデジタル教育が加速している

2020年教育改革のなかでも、従来に無い新たな試みとして注目されているのが「プログラミング必修化」です。
「プログラミング必修化」はプログラミングスキルだけではない
「プログラミング必修化」と聞くと、「パソコンでプログラミングをする姿」を想像するかもしれません。ただ実際には、大きく分けて以下の2つを学びの目的としています。
1. コンピュータの理解を深める
2. 論理的思考力を養う
プログラミングで何かを作り出すためには、仕組みの理解が必要不可欠です。例えば「自動販売機でジュースを買う」という動作にも、プログラミングは関係しています。
プログラミングでは、以下のような処理を作っています。
・お金を検知し、入れた金額を表示する
・ボタンを押したジュースの金額と、入れた金額を比較する
・ボタンを押したジュースを、取り出し口まで降ろす
このように、仕組みについて理解を深めることを目的の一つとしています。
また仕組みの理解だけでなく、「論理的思考力」を養うことも目的の一つです。目的のプログラムを作るために必要な要素を分解・整理し、自分で作り上げるスキルです。
物事を順序立てて整理し結論を出す思考力は、社会に出たときも必要になります。教育改革のなかでも、アクティブ・ラーニングの実践や記述式問題の奨励といった論理的思考力を養うための取り組みが進められており、プログラミング学習はそういった意味でも現代の教育として重要性の高いものであるとされています。
「プログラミング教室」が増えている
「プログラム必修化」が話題になるにつれて、「プログラミング教室」が増えてきています。
プログラミング教室では、直感的にプログラムが作れる「ビジュアル・プログラミングソフト」を使って学習できます。「Scratch(スクラッチ)(外部サイト)」などのソフトが有名です。
「Scratch(スクラッチ)」では、「簡単なキーボード入力 + マウス操作」でプログラムを作れます。「概念」ではなく「動き」で学べるため理解しやすく、人気が高まっています。
参考:小学校プログラミング教育の手引(第二版)(外部サイト)
「今」、親としてできることを考えてみよう

ここまで読んで、以下のように思った人もいるのではないでしょうか。
「親として、子供とどう向き合っていけばいいんだろう……」
大事なのは、以下2つの視点です。
・子供が主体的に考えて行動できるよう、選択肢を用意する
・子供の考えを否定するのではなく、伸ばすことを意識する
学校以外で学べる場所はプログラミング教室以外にもたくさんあります。子供が何に興味があるのか、探すところから始めてみると良いのではないでしょうか。
教育や習い事にかかる費用については、こちらの記事でも紹介しています。
教育資金、いくらかかる?その貯め方は?「子供のお金」の悩みと解消法(外部サイト)
まとめ
2020年は教育において大きな転換期を迎えます。「2020年教育改革」「プログラミング必修化」で何が変わるか、抑えておくことが重要です。
未来の社会を守るのは、今の子供たちです。子供の興味を引き出し、主体的に学べる姿勢を支えられるよう、見守っていくと良いかもしれませんね。
子供の教育資金を準備する方法についてはこちらの記事でも詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
お子さまの「夢」を叶えるための備えは万全ですか?(外部サイト)
ライタープロフィール

新卒入社したメーカー系のIT企業で、システムエンジニアとして約5年勤務。
Webアプリ、業務アプリ開発において、要件定義、設計、インフラ、製造、テスト、運用保守など、様々な経験あり。
フリーランス転身後はテックライターとしても活動しており、月産200記事以上を執筆。現在はフリーランスエンジニア兼テックライターとして勢力的に活動中。
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