技術関連の展示会は、未来の一端に触れられる魅力的なイベント!
2010年代は、スマートフォンやVR端末、電気自動車やAIソフトなど、従来の常識を大きく覆すような技術が用いられた製品やサービスが次々と誕生した10年間でした。「日進月歩」という言葉が表すように、私たちが身を置く社会は絶え間ない進化を続けています。
今後も技術革新の流れはますます加速するとも見られており、かつて空想上の存在だったSF世界のような未来が近付きつつあるといっても過言ではありません。
2020年代を迎えたいま、どのような技術が誕生しているのでしょうか。最新技術を紹介する国内外の展示会に参加すれば、その一端に触れることができるでしょう。
大小様々なテクノロジーに関するイベントが世界中で開催されていますが、今回はアメリカの「CES」や日本の「CEATEC」「東京モーターショー」といった大規模イベントに注目し、未来の技術に迫っていきましょう。
世界の最新テクノロジーが集結する「CES」

「CES」は、毎年1月にアメリカのラスベガス・コンベンション・センター(LVCC)で開催される電子機器の展示会で、2020年は1月7日〜10日まで開催されました。そのなかでも、とくに話題性の高かった展示をご紹介します。
世界初!2つ折りタブレット端末が登場
PCやタブレットなどを手がけるレノボは、世界初の2つに折りたためるタブレット端末「ThinkPad X1 Fold」を発表。13.3型(A4用紙サイズ程度)とタブレットとしては大きめの画面が中央から2つに折れ曲がり、コンパクトに持ち運べる仕様です。片方の画面にキーボードを表示したり、物理キーボードを載せたりしてパソコンのように使うことも可能です。
赤ちゃんのオムツチェックはスマホから
P&Gは、赤ちゃんの紙オムツに装着するセンサーのセット「Lumi」を発表しました。これは、専用の紙オムツと組み合わせて使うことで、オムツの濡れぐあいを検知できるシステム。オムツが濡れた場合は専用のスマホアプリに通知が届き、さらに、赤ちゃんの動きや睡眠の状態なども記録できます。
ソニー製電気自動車の試作車も展示
ソニーは、電気自動車のコンセプトカー(試作車)「VISION-S」を発表。この車は、ボディなどに搭載された計33個のセンサーで交通状況を把握して運転支援を行えることや、車内のオーディオで臨場感のある音楽を楽しめることが特徴。同社がこれまでに培ってきたセンサーや音響機器の技術が生かされています。
なお、2021年のCESは、2021年1月6〜9日に開催が予定されています。
2019年は「未来の街」も出現した「CEATEC」

「CEATEC」(シーテック)は、毎年10月に東京・幕張メッセにて開催されます。家電などあらゆるものがインターネットにつながる「IoT」関連製品や技術の展示が豊富に揃う展示会です。
2019年は10月15〜18日に幕張メッセで開催され、仮想空間と現実空間が融合する社会を意味する「Society(ソサエティ)5.0」をテーマに、未来の街を構築した展示も行われました。
遠隔からの買い物を実現する分身ロボット
ANAホールディングスは、アバターロボット「newme」を展示。ディスプレイやカメラを備えた自律走行型のロボットで、専用プラットフォームを通じてロボットに接続することで、離れた場所で買い物をしたり、カメラ越しに会話をすることができます。
介護職員の負担を軽減するAI搭載トイレ
LIXILは、介護施設での利用を想定した便器「トイレからのお便り」を展示。これは、便座に搭載されたカメラとAI(人工知能)によって便の状態を認識し、状態や大きさなどを記録するというもの。介護施設で高齢者の健康管理のために行われている記録作業を自動化することで、介護職員の負担軽減をめざしています。
AIでタクシー運転手を支援
DeNAは、「働き方改革タクシー」をテーマに出展。AIによって効率的な配車を可能にする配車アプリ「MOV」や、AI搭載のドライブレコーダーで運転状況を認識することで交通事故削減を支援する「DRIVE CHART」などが紹介されました。
2020年のCEATECは、2020年10月20〜23日に幕張メッセで開催される予定です。
未来の車を見たいなら「東京モーターショー」

東京モーターショーは、隔年で10〜11月頃に東京ビッグサイトで開催される自動車の展示会です。
新車が見られるイベントというイメージが強いかもしれませんが、自動運転などの技術に関する展示も充実しています。
2019年は、10月25日〜11月4日に東京ビッグサイトで開催され、自動運転やドローンなどの最新技術に関する展示も多数行われました。
「未来の車」を集めたテーマパーク型展示を実施
トヨタは、未来の車がある街を疑似体験できるテーマパーク型の展示を実施。一人乗りの完全自動運転車両や、非接触充電システムを備えた電気自動車など、将来的な実用化をめざした車が多数展示され、ステージではそれらの車両を使ったショーも開催されました。
自動運転を支える5G関連技術も展示
NTTドコモは、自動運転や車両の遠隔操作を実現するうえで重要となる次世代通信規格「5G」に関する展示を実施。車のガラスに設置することで、安定した高速5G通信を可能にする「車載用5Gガラスアンテナ」の紹介や、5Gを利用した遠隔自動運転のデモなどが行われました。
ドローンに関する展示やイベントも
さらに、空の移動手段として期待の高いドローンに関するイベントも実施。500機のドローンが夜空を舞うドローンショーや、日本初の国際機関による公認大会となるドローンレースが盛り上がりを見せました。
展示会に出展される製品やサービスに注目すると、テクノロジーによって今後世の中がどう変わっていくかがより具体的に見えてきます。機会があれば、ぜひ実際に足を運んでみてはいかがでしょうか?
ライタープロフィール

企業広報誌の編集を経て、フリーのライター・編集者に。IT・デジタル、ビジネス分野を中心に、書籍や雑誌、Web媒体での執筆・編集、取材などに携わる。
著書に『今からササッとはじめるLINE/Twitter/Instagram/Facebook』(秀和システム)、『今すぐ使えるかんたん FC2ブログ 超入門』(技術評論社)。所有資格に、情報セキュリティマネジメント、ウェブ解析士など。株式会社ウレルブン代表。
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